第二章:皇帝の壮絶なる怒り
皇帝の座乗艦、その外部装甲の上。荒々しく冷え切った宇宙の只中において、二人は完全な戦闘態勢で立っていた。
その双眸は敵へと縫い付けられ、たった一つの隙を待っている……何百万もの自爆ドローンを盲目的に撃ち落とそうと必死になっているオリオン艦のシールドの、ほんの小さな亀裂を。
「やっとかい……あの鉄クズどもがアタシの仕事をやってるのを見てるだけで、退屈で死にそうだったぜ。いつになったらこの惨めなシールドはブッ壊れるんだい?」
ロキシーは素早く首を傾け、ゴキ、ゴキと乾いた骨の音を連続して鳴らした。その顔を、野獣のような笑みが喰い破る。彼女は体を左右に揺らし、軽い準備運動をこなしながら、カオリからの反応を待った。
だが、カオリは彫像のように微動だにしない。沈黙。
その両目は完全に閉じられ、殺人的なほど冷酷な手つきで、鞘に収められた刀の柄へと静かに手を添えていた。
オリオン艦は極限の重圧の下で燃え上がっていた。
そして……それは起きた。シールドの一部が崩壊したのだ。連鎖する爆発の胎内から生まれた、小さな綻び。
瞬きする間に、カオリが動いた。
ドローンが切り開いた経路を利用し、外科医のような正確さで標的へと滑り込むため、彼女は宇宙空間突入ポッドへと軽やかに、そして無音で跳躍した。
一方、ロキシーはどうか?
彼女は自身のポッドなど完全に無視していた。顔が裂けんばかりに笑みを広げ、重心を落とし、艦の外部装甲を両足で強く踏みしめると――跳んだ。
冷たい真空を引き裂く、ただ一度の跳躍。
彼女はポッドを追い越す人間弾丸の如く飛び出し、その肉体を高く舞い上げた。巨大な斧が振り下ろされるような圧倒的な動作で、彼女はオリオン艦の左舷へ直接一撃を叩き込み、頑強な鋼鉄をまるで脆い紙切れのように引き裂いた。
「我らの聖域に触れることを恐れぬ、この人間は何者だ!?」
青ざめた顔のオリオン将軍が、艦のシールドの残骸の中で震えながら叫んだ。彼は武器を抜き、巨大な兵士たちの一個小隊と共に、ロキシーを包囲した。
「人間、だァ?」
ロキシーの笑みがさらに広がり、凶悪な牙が覗く。
「その人間が、今すぐテメェらを跡形もなくブッ潰してやるよ、クソ野郎ども!」
彼女は狂気じみた熱狂とともに、両の拳を激しく打ち合わせた。
恐るべき衝撃波が轟く。その凶悪な音の反動だけで、巨漢の兵士たちは後方へと吹き飛ばされた。
状況を理解する隙など与えやしない。彼女は高笑いを上げながら突進した。素手で頭蓋骨を粉砕し、胸郭をへし折り始める。その間も、野蛮な笑みが彼女の顔から消えることはなかった。
反対側では、カオリのポッドがすでに船体を突破しており、その重い金属の下で二人の兵士を押し潰していた。
ポッドから噴き出した高圧の蒸気が、オリオンの部隊の視界を完全に奪い去る。
煙が徐々に晴れていく。
彼らの前に現れたのは、厳格な日本人の顔立ちをした、長い黒髪の女。彼女は致命的なまでの静けさの中に立っていた。両目は完全に閉じられ、手は刀の鞘に添えられている。
部隊は彼女に向けてプラズマ兵器を構えた。
「一歩たりとも動くな、女!」
恐怖に駆られた兵士の一人が叫び、全員が彼女に一斉射撃を浴びせる態勢をとった。
カオリが目を開く。
一閃。
彼女は瞬きする間に、刀を鞘から一インチだけ抜き……そして、軽い音と共に再び収めた。
再び目を閉じる。彼女は踵を返し、出口の扉に向かって静かに歩き出した。
彼女の背後には?
数百人の兵士たち。身長二メートルから四メートルにも及ぶ巨人ども。それらは今や物言わぬ屍と化し、切断された首からは青い血の滝が噴き出していた。圧倒的な武力が、その体躯の半分にも満たない小柄な女の手に掛かり、ほんの一瞬で全滅したのだ。
その頃、天王星の上空に浮かぶ玉座の間へ、暗号化された信号が届いていた。
『皇帝の壮絶なる怒り』作戦の前半戦が見事に成功を収めたという報せである。『絶対的盲目』戦略は完璧に機能した。何百万もの自爆ドローンが敵の防衛能力を麻痺させ、視覚システムを窒息させる宇宙デブリの分厚い帯を作り出すことで、指揮官たちのための突破口をスムーズに開いたのだ。
皇帝が高く手を挙げた。
それが合図だった。それを受けたアイヴィーが、第二段階を開始する。
何百もの宇宙突入ポッドが、艦の新たな隙間を次々と突破していく。そこから帝国軍のロボット兵士の大軍がなだれ込み、上級指揮官の暗殺と、通路に残存する兵士たちの掃討を目的とした、組織的な大虐殺が開始された。
艦の通路内における二人の対比は、戦慄を覚えるほどだった。
可能な限り遠回りの経路を進むロキシー。自身の快楽を満たし、殺戮のスコアを稼ぐため、彼女は意図的に移動距離を延ばしている。首を完全に半回転させてねじ切り、骨を粉砕し、青い肉のペーストを背後に残していく。
一方のカオリは、可能な限り最短の経路を選んでいた。
必要最低限の殺害に留め、音のない足取りで無駄なく距離を縮めていくのだった。
ついに彼女は立ち止まった……メインホールの鋼鉄の扉、すなわち艦橋の前に。
艦は死に絶えようとしていた。防御機能の大半を喪失し、数百万の自爆ドローンが艦の軌道周囲に分厚いデブリの帯を形成している。視界は完全に閉ざされていた。虚空における、絶対的な盲目。
内部では、マディ・ロール将軍が驚愕のあまり喘いでいた。
オリオンの誇りは冷や汗に覆われている。彼は緊急封鎖ボタンを叩き、チタンの壁の奥にブリッジを完全に隔離した。これでカオリの侵入を防いだと思った。わずかな時間を稼げたと思い込んでいたのだ。
だが……突如として。
その難攻不落の鋼鉄の扉が、戦慄を覚えるほど滑らかに開き始めた。
魔法などではない。艦のデジタル中枢が完全に掌握されたのだ。アイヴィーのロボット兵士たちが、制御室にいたオリオンのデジタルセキュリティ専門家たちをたった今、皆殺しにしたのである。艦の全システムは、すでに『太陽軌道帝国』の完全なる支配下に堕ちていた。
立ち込める煙の中から、カオリが姿を現した。
両目を閉じたまま、自信に満ちたゆっくりとした足取りで悠然と歩みを進めてくる。
絶望的な衝動に駆られ、マディ・ロール将軍は自身の携行武器を彼女へ向けて構え、引き金を引いた。
……何も起きない。武器は死んでいた。デジタルディスプレイは暗転している。ハッキングされ、完全に破壊されていたのだ。
恐慌状態に陥る将軍へ向け、カオリが悠然と近づいていくその時――反対側から爆音が轟いた。
ブリッジのもう一つの扉が吹き飛んだのだ。ロキシーの拳の一撃が、それを根元から粉砕したのである。狂気に満ちた高笑いを響かせながら、ロキシーは宙を舞い、将軍へと襲い掛かった。
その瞬間……カオリが目を開いた。
氷のように冷たい銀色の閃光が、空気を切り裂く。
皇帝の命令は絶対にして明確であった。『娯楽のために、マディ・ロール将軍を殺してはならない。目標は、奴を生存可能な最低限の状態で生かしておくこと』。
カオリは、無差別に彼の腕を斬り落としたわけではない。彼女が狙ったのは、オリオン星人の解剖学上、最も苦痛を伴う致命的な神経の急所だった。意識を失わせることなく、純粋な激痛の極致を将軍に味わわせるための、外科医のような一太刀。
将軍の絶叫が、彼自身の声帯を引き裂いた。
そして、ロキシーの番が来た。
彼女は巨漢の肉体に、無慈悲で暴力的な乱打を浴びせかけた。肋骨をへし折り、関節を粉砕する。完全な麻痺状態を確実なものにするため、野蛮なやり方で彼の肉体のあらゆる部位を徹底的に破壊し尽くした。青い血を脈打たせる、砕けた骨と肉の塊。将軍はただそれだけの存在に成り果てた。
オリオンの誇りであったマディ・ロール将軍の残骸は、ボロ布のように特殊拘束ポッドへと放り込まれた。目的地は――天王星。
完全に心を折られた捕虜として……皇帝の御前へと引きずり出されるために。
* * *
粘り気のある青い血の雫が、鏡のように反射する漆黒の床にポタリと落ちる。
魂を引き裂くような激痛と共に、マディ・ロール将軍は意識を取り戻した。動こうともがく……しかし、太い鎖と重い金属の冷たい音だけが響き渡った。
彼は一秒にして、その残酷な現実を悟った。自身の巨大な身体は拘束され、片腕は切断され、残されたたった一つの目だけが、この地獄を映し出していることを。
鉛のように重い頭を、どうにか持ち上げる。
目の前には、光すらも飲み込む漆黒の玉座に座る、皇帝の姿があった。
彼は怒っているわけでも、興奮しているわけでもなかった。ただ絶対的な傲慢さとともに、そこに君臨している。片足を玉座の縁に乗せ、死ぬほど退屈そうに拳に頬杖をつきながら。
その顔には……オリオンが誇る最高位の将軍のプライドが粉々に砕け散る様を心底から愉しむような、純粋にサディスティックな笑みが刻まれていた。
だが、恐怖の源はその暴君だけではなかった。
彼の周囲には、畏怖すべき威厳を放つ八つの影が整然と並び立っていたのだ。女の姿をした、八つの『厄災』。彼女たちが放つオーラは、将軍の肺を直接押し潰すかのように、広間の空気を重く圧迫していた。
皇帝の右側には、刃のように鋭い顔立ちをした金髪の女が立っていた。恐ろしいほどに厳格で真面目な彼女は、人間の感情など一切持ち合わせていないかのような冷徹な視線を、地に這う将軍へと向けている。
そしてその隣には、純白の白衣が眩しく輝いていた。青い髪と青い瞳を持つ女が、狂気じみた好奇心で眼鏡のブリッジを指で押し上げる。彼女は、皇帝からこの捕虜の解剖と研究の許可が下りるのを、今か今かと待ちわびていた。
別の角からは、深紅の閃光が放たれていた。
燃え盛る炎のような赤髪と、血のように赤い瞳を持つ女。その野獣のような笑みを極限まで広げて牙を剥き出しにし、狂気じみた熱狂と共に両の拳を何度も激しく打ち合わせている。彼女は、将軍の残された骨を一つ残らず粉砕する許可が下りるのを、今か今かと待ち構えているのだ。
対照的に、その傍らには純粋なアラブの美貌を誇る妖艶な女が立っていた。
絹のように滑らかな黒のストレートヘアを揺らし、モナ・リザのような謎めいた微笑を口元に浮かべている……。優しげで魅惑的でありながらも、その視線は精神を完全に麻痺させるほどの猛毒を滴らせていた。
その背後には、死のような静寂が立ち込めている。
伝統的な和服に身を包んだ女。長く艶やかな漆黒の髪。その顔には一切の感情も笑みも浮かんでいない。氷のような規律をもって佇み、その手は刀の柄に添えられている。まるで、誉れと鮮血、そして真の侍の怒りによって彫り出された彫像のように。
さらにその隣では、毛先が淡い水色に染まった白髪の女が、ゆらゆらと体を揺らしていた。
床にぶちまけられた青い血の光景を、彼女はうっとりと魅了されたように見つめている。まるで将軍の苦痛から新たなシュールレアリスム絵画のインスピレーションを得ているかのように、おぞましい笑みを浮かべ、その屈辱の姿を己の絵筆で描き出すことを渇望していた。
突如、その重苦しい空気を打ち破るように、魅力的な褐色のラテン肌と短いブロンドヘアを持つ女が前に出た。
彼女はこれみよがしにポーズを決め、大胆で弾けるような笑顔を見せる。星を散りばめたような輝く瞳でウインクを放つその姿は、まるで何十億ものフォロワーに向けて、この惨めな将軍の屈辱をライブ配信しているかのようだった。
そして最後に、広間の最奥……そこには恐ろしいほどに天使のような静けさがあった。
瑞々しい若葉のように緑色の髪をした女。両目を閉じ、完璧なまでの平穏を保っている。その平和的なオーラは、将軍が這いつくばる血の池という凄惨な現実と、あまりにも残酷なまでに矛盾していた。
重苦しい沈黙が、広間の空気を窒息させる。
皇帝がわずかに身を乗り出した。そのサディスティックな笑みがさらに広がり、鋭い牙が覗く。将軍の頭蓋骨に直接響き渡るような、重々しい声で彼は囁いた。
「地獄へようこそ……オリオンの者よ」




