妻と従者と乙女たちの詩
【さあさあ皆様、しばし足を止めてお聞きくだされ、今宵お話しするのは。乙女の慟哭の物語にございます】
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「どうして止めなかったの。どうして私に知らせなかったの。どうして、カミーユは、行ってしまったの」
ロザリアはフローラの胸を叩き慟哭する。
乙女たちの悲しみの声を、一人で代弁しているかのような大声であった。
「カミーユ様は何も変わりませんでした。いつもと同じ微笑みでした。ですから、私たちも、同じであるべきです」
フローラの覚悟は堅かった。彼女は最後まで従者の任を、カミーユとの愛を全うする気概があった。
「あなたは良いわよね。そうやって、私だけはいつも通りって気取って。妻の私は、皆はどうすればいいのよ。いないのよ。カミーユが」
ロザリアは叫ぶ。天と地に届かんばかりの嘆きの声であった。
「私は諦めたりなんかしない。あんたみたいに気取ったりしない。私はカミーユの帰りを待つ。ずっと待つ。ずっと、ずっと待つ。カミーユは、必ず帰って来る。帰ってくるんだから」
ロザリアは立ち上がる。そして、カミーユのいなくなった寝室を後にする。
彼女は待つ。彼女だけではない、乙女たちは皆、カミーユの帰りを待つ。
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【今宵の調べはここまで。乙女の希望は断たれてしまうのか。また明晩、リュートの弦が弾ける時まで取っておくことにいたしましょう】




