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〜神堕騎士道浪漫譚〜『竜血のカミーユ』  作者: 林美鈴
第三章:其は神話の激動。「貪欲」と「慈悲」の母を殺し、「真なる神」すら粉砕する、愛と神堕ちの最終詩
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妻と従者と乙女たちの詩

【さあさあ皆様、しばし足を止めてお聞きくだされ、今宵お話しするのは。乙女の慟哭の物語にございます】


 ――――――――――――――――――――


「どうして止めなかったの。どうして私に知らせなかったの。どうして、カミーユは、行ってしまったの」


 ロザリアはフローラの胸を叩き慟哭する。


 乙女たちの悲しみの声を、一人で代弁しているかのような大声であった。


「カミーユ様は何も変わりませんでした。いつもと同じ微笑みでした。ですから、私たちも、同じであるべきです」


 フローラの覚悟は堅かった。彼女は最後まで従者の任を、カミーユとの愛を全うする気概があった。


「あなたは良いわよね。そうやって、私だけはいつも通りって気取って。妻の私は、皆はどうすればいいのよ。いないのよ。カミーユが」


 ロザリアは叫ぶ。天と地に届かんばかりの嘆きの声であった。


「私は諦めたりなんかしない。あんたみたいに気取ったりしない。私はカミーユの帰りを待つ。ずっと待つ。ずっと、ずっと待つ。カミーユは、必ず帰って来る。帰ってくるんだから」


 ロザリアは立ち上がる。そして、カミーユのいなくなった寝室を後にする。


 彼女は待つ。彼女だけではない、乙女たちは皆、カミーユの帰りを待つ。


 ――――――――――――――――――――


【今宵の調べはここまで。乙女の希望は断たれてしまうのか。また明晩、リュートの弦が弾ける時まで取っておくことにいたしましょう】

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