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〜神堕騎士道浪漫譚〜『竜血のカミーユ』  作者: 林美鈴
第三章:其は神話の激動。「貪欲」と「慈悲」の母を殺し、「真なる神」すら粉砕する、愛と神堕ちの最終詩
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旅立ちの朝。主従の永遠の別れの詩

【さあさあ皆様、しばし足を止めてお聞きくだされ、今宵お話しするのは。主従の別れの物語にございます】


 ――――――――――――――――――――


 目覚めたカミーユは、乙女たちを起こさないように寝台を降りる。


 床に座り、朝の瞑想をする。


 すると、いつものように師ゴダールの気配がする。それと、巨大な威圧感の気配も。


「お師様。それに、この気配はシド・クオンですね」


「姉上と呼べと言った。二度はないぞ、誤るな」


 気配だけでも、姉、シド・クオンの威圧感は凄まじい。


「姉上、私の空間転移の術は完成いたしました。お師様。それでよろしいですよね」


 師、ゴダールは答える。


「うむ。今のそなたの魔力であれば、思うまま、誰とでも、どの場所にも行くことができるであろう」


 カミーユは頷く。


「姉上、貪欲の女王のもとへ行きましょう。地獄からの軍勢を止めるにはそれしかありません」


 シド・クオンは嬉しそうな。どこか寂しそうな。だが尊大な口調で答える。


「愚妹よ。神堕とし程度一人で。と、言いたい所だが、よかろう。最も傍で見守るも、また良き肴となろう」


 師、ゴダールはカミーユに語る。


「矢筒に細工をしておいた。もう、魔法の矢、ミスリルが尽きることはない。それと」


 ゴダールは言葉を一旦区切る。


「そなたの愛刀。星影。あれは神竜の言葉を合図に。真の力を発揮する。あれはもともと星の影、この星が作られたときの裏打ちの剣。星と同じ価値のある剣。そなたがどれだけ振るっても、折れず、曲がらず、壊れなかったのはそのためよ」


 カミーユは、師に習った竜の言葉を心の中で反芻する。


「お師様。行ってまいります」


 カミーユは瞑想を終える。


 眼の前には、弓と矢と剣を持った従者フローラが立っていた。


「カミーユ様。これを」


 従者フローラは、いつものようにカミーユに武具を着けてゆく。

 そして、カミーユのおくるみ。聖骸布をカミーユに着せ、ミスリルのピンで止める。


 その間、カミーユは何も言葉にしない。ただ微笑む。


「カミーユ様。いってらっしゃいませ」


 フローラは、主との別れを、せめて笑顔で見送ろうと努めていた。


 そして、カミーユの姿は消えた。


 ――――――――――――――――――――


【今宵の調べはここまで。神との戦いに赴く騎士。また明晩、リュートの弦が弾ける時まで取っておくことにいたしましょう】

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