旅立ちの朝。主従の永遠の別れの詩
【さあさあ皆様、しばし足を止めてお聞きくだされ、今宵お話しするのは。主従の別れの物語にございます】
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目覚めたカミーユは、乙女たちを起こさないように寝台を降りる。
床に座り、朝の瞑想をする。
すると、いつものように師ゴダールの気配がする。それと、巨大な威圧感の気配も。
「お師様。それに、この気配はシド・クオンですね」
「姉上と呼べと言った。二度はないぞ、誤るな」
気配だけでも、姉、シド・クオンの威圧感は凄まじい。
「姉上、私の空間転移の術は完成いたしました。お師様。それでよろしいですよね」
師、ゴダールは答える。
「うむ。今のそなたの魔力であれば、思うまま、誰とでも、どの場所にも行くことができるであろう」
カミーユは頷く。
「姉上、貪欲の女王のもとへ行きましょう。地獄からの軍勢を止めるにはそれしかありません」
シド・クオンは嬉しそうな。どこか寂しそうな。だが尊大な口調で答える。
「愚妹よ。神堕とし程度一人で。と、言いたい所だが、よかろう。最も傍で見守るも、また良き肴となろう」
師、ゴダールはカミーユに語る。
「矢筒に細工をしておいた。もう、魔法の矢、ミスリルが尽きることはない。それと」
ゴダールは言葉を一旦区切る。
「そなたの愛刀。星影。あれは神竜の言葉を合図に。真の力を発揮する。あれはもともと星の影、この星が作られたときの裏打ちの剣。星と同じ価値のある剣。そなたがどれだけ振るっても、折れず、曲がらず、壊れなかったのはそのためよ」
カミーユは、師に習った竜の言葉を心の中で反芻する。
「お師様。行ってまいります」
カミーユは瞑想を終える。
眼の前には、弓と矢と剣を持った従者フローラが立っていた。
「カミーユ様。これを」
従者フローラは、いつものようにカミーユに武具を着けてゆく。
そして、カミーユのおくるみ。聖骸布をカミーユに着せ、ミスリルのピンで止める。
その間、カミーユは何も言葉にしない。ただ微笑む。
「カミーユ様。いってらっしゃいませ」
フローラは、主との別れを、せめて笑顔で見送ろうと努めていた。
そして、カミーユの姿は消えた。
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【今宵の調べはここまで。神との戦いに赴く騎士。また明晩、リュートの弦が弾ける時まで取っておくことにいたしましょう】




