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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅢ】―― 終章:学習発表会 ――
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【098】時空のおっさん

「明日、七海とデート行くんだもんな! 水族館、たのしみだな!」

「ちょっと西くん、声が大きい!」


 幸せそうな二人を見る。七海さんは真っ赤になって、ポコポコと西くんを叩いているけれど、西くんは平気みたいで、とってもうれしそうだ。ぼくと哀名が付き合ってることは、今、みんながウワサしてるみたいだけど、ぼく達とは違い、あの二人はみんなに自分達で説明していた。


 今日は哀名がお休みだったので、ぼくは早めに一人で下校していた。

 しばらく歩いて行くと、ぼくはなんだか不思議な気分になって立ち止まった。

 いつもなら車が走ってきたり、ほかの児童がいたりするのに、誰もいない。静まりかえっている。瞬きをしてみると、いつもと同じ風景に見えた。


 だけど、そこでコンビニの前にさしかかって、大きく首をかしげた。

 コンビニのかんばんに、『アゑ田』と書いてある。いつもと違う。


「まるで違う世界に迷い込んだみたいだよね……」


 ぽつりとつぶやいて、ぼくはコンビニを外からのぞいてみたけど、やっぱりだれもいない。ぜったいにおかしい。〝けげん〟に思いながらカドをまがると、やっと人がいて、ぼくはカタから力を抜いた。


「おう、ああ……そうだ。処理しておけ」


 スマホで電話をしている大人の男の人で、だるそうな目をしていた。

 やせていて、黒いスーツとネクタイだ。


「だから、それはそちらで処理して――……何故ここにいる?」


 そのとき、男の人がぼくを見た。

 つかつかと、ぼくに歩みよってくる。


「どうやって入ってきた?」

「え? いつも通りに帰ってるんだけど……?」


 ぼくの返事を聞くと、男の人が、なにやらスマホをそうさした。


「いいか? この道をまっすぐ歩け。ぜったいにだ。そうしないと帰れなくなるぞ」

「う、うん。まっすぐ歩きます」


 なんだか怖くなったけど、うなずいてぼくは歩きはじめた。

 しばらく歩くと、急に視界がぱっとひらけたようになった。


「あ!」


 いつも通り道を歩く人がいるし、振り返ればコンビニのかんばんももとに戻っていた。なんだったんだろう? 不思議に思いながら、ぼくは神社の石段のところまで歩いた。すると透くんがいた。


「透くん! あのさ、今ね――」


 ぼくは、今起こった出来事を、透くんに説明した。

 すると透くんが目を丸くした。


「時空のおっさんじゃない? 顔覚えてる? 時空のおっさんなら、顔を覚えてないはず」


 そう言われて考えてみたら、ぼくは思い出せないことに気がついた。


「帰ってこれて、運が良かったね」


 ぼくはうなずきながら、これも道家くんが言って他の世界に通じるものだったのかなと考えた。それから透くんと少し話をして、家に帰った。





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