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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅢ】―― 第二章:寺生まれのTさん ――
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【097】寺生まれのTさん

 本日は、ぼくと哀名と道家くんで、図書室に向かった。

 宿題の作文を書く場所を探していたからだ。教室はみんながいたから、静かなところにいくことにした。


 今日の宿題に、教科書の絵をみて、『この絵をもとにした物語を書きましょう』というものがあった。作文だ。ぼく達は三人で、それを完成させることにした。


 ぼくは教科書を開く。ぼくには大陸の地図に見えた。そこでぼくは旅をするお話を書いた。モデルはぼくと哀名、そして道家くんだ。冒険をしたり、ドラゴンと会ったり、創造するとわくわくする。一区切りついたとき、ぼくは原稿用紙からちょうど顔を上げた道家くんを見た。


「道家くんは何に見えたの?」

「ボクはコウモリに見えたよ」


 すると哀名も顔を上げた。それに気づいてぼくは聞いた。


「哀名は何に見えた?」

「私はリボンに見えたの」


 ぼく達は全く別のものに見えていたみたいだ。もしかしたら、世界の見え方も、様々なのかもしれない。異世界も現実世界も、見方の違いだったりするのだろうか。


 ――家に帰るとお父さんが、ぼくにココアをいれてくれた。今日は亮にいちゃんはバイトみたいだ。


「しかし寺生まれのTさんはすごいな。今は次男の――泰我先生の方が、そうなんだな」


 お父さんがぼくに言ったので、ぼくは首をひねる。


「どういうこと?」

「寺生まれのTさんはな、病いすら吹き飛ばすんだ。呪いも幽霊もなにもかも『破』と言って吹き飛ばす、すごい人なんだよ」


 たしかにぼくも、何度も『破』と聞いている。


「寺で会ったというし、薺が奇跡的に全回復したのは泰我先生のおかげかもしれないな」


 お父さんはそういうと、うれし泣きするような目をした。


「薺がな、原因不明だったんだけどな、完全に回復したんだ。みんな奇跡だと言ってる」

「本当!?」

「ああ、今回の定期検診で、どこにも異常がみつからなかったんだ」

「やったぁ!」


 ぼくは思わずとびはねてよろこんだ。


 翌日学校で、ぼくは泰我先生を呼び止めた。昼休み前に先生が教室を出ていくときをみはからって、声をかけた。


「どうしたんだ? 楠谷」

「あ、あの! もしかして薺の病気を治してくれたんですか?」


 すると泰我先生が顔をそむけて、せきばらいをした。


「内緒だぞ?」

「うん」

「あれは 霊障(れいしょう)だったからな」

「なに? それ」

「霊障というのは、たまたま幽霊や呪いなどに触れてしまい、病気になることだ。病気の種類も様々なんだ。ただな、世界には薺くんと同じで原因不明だけど霊障でないものも多いし、めったに霊障はない。病気になったらまずはお医者さんにかかるべきだ。いいな?」

「はい!」

「それに俺は少しだけ、気合いを入れただけだ。ケセランパサランの 加護(かご)があると気づいたから、それに力を込めたんだ。だから治ったのは、ケセランパサランがもたらしてくれる幸運と、薺くんの体が頑張ったからだよ」


 それを聞いて、ぼくは頷いたけど、先生を見て笑った。


「それでも、本当にありがとう、先生」


 すると泰我先生は、ぼくのカタをポンと叩いてから、職員室に向かって歩いていった。





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