【096】三者面談
次の検査で、薺がすごく良くなっていると判明した。先生もこれには驚いていたらしい。
それにしても泰我先生ってすごいんだなぁ。
泰我先生も中学校が一緒だったら安心するんだけど、本当に移動するのだろうか。
さてこの日は哀名が家の都合で早く帰ったので、ぼくは一人で帰ることにした。
すると生徒玄関のところに、青い女の人が立っていた。赤いワンピースをきてる。よく見ると……それは、赤いワンピースではなかった。血で濡れた白いワンピースだ。
ゾクっとして、ぼくは両腕で体をだいた。
「破ぁ!」
そのとき声がして、青い女の人にビームのようなものが当たった。女の人が吹き飛び、かべに当たるスレスレですぅっと消えた。
ぼくが振り返ると泰我先生が立っていた。
「今のは?」
「瑛が相手だから素直にいうと、まぁ幽霊だな」
「そうじゃなくて! ビームみたいなの!」
「ああ、寺に伝わってる――まぁ、気合いだな!」
泰我先生はそう言うと、笑った。
「早く帰れよ」
頷いてぼくは帰ることにした。
家に帰ると、お父さんがぼくを見た。
「明日は三者面談だな」
――ぼくの学校は、いつも十月に三者面談があるらしい。
「うん」
うなずいたぼくは、明日の放課後お父さんが学校にきてくれるのだったと思い出した。
翌日。
お父さんが来てくれるのを、ぼくは待っていた。
先に呼ばれた哀名の横にも、この前会った哀名のお父さんがいたので頭を下げて挨拶した。哀名のお父さんは優しく笑って、ぼくに手を振ってくれた。
こうしてぼくの番がくるころ、お父さんが来た。
「次、楠谷くん」
泰我先生に呼ばれたので、ぼくとお父さんはイスから立ち上がって、面談をする小会議室に入った。
「どうぞよろしくお願いします」
泰我先生がそう言ったので、ぼくとお父さんはそろってうなずいた。
「楠谷は、どの中学校に行くのか、改めて聞かせてくれ」
「ぼくはきさらぎ市立中学校に行きます」
「お父さんは、どう思われますか?」
「瑛の行きたいところでかまいません。応援しています」
「そうですか――それなら、決まりだな。楠谷は、部活はどうしたい? あそこは部活動が活発なんだ。先生も卒業生だから、よくわかる。楠谷はなにかしたいことはあるか?」
明るく笑っている先生を見て、ぼくは少しの間、考えた。
「どんな部活があるのか分からないけど……先生は何部だったの?」
ぼくが聞くと、先生の目がおよいだ。
「俺は……まぁ、正式名称は民俗学研究部だったな」
するとお父さんが、納得したようにうなずいた。
「ああ、通称オカ研か。都市伝説や幽霊のお祓い……ああ、その、研究をする部活」
泰我先生が困ったような顔になった。口元だけで、無理に笑っている。
どうしてだろう? すごくおもしろそうな部活だと思うけど。
ローレルの役にも立つかもしれないし、もし道家くんと本当に同じ中学校だったら、道家くんのこともさそいたい。泰我先生がその部活の顧問だったら面白いのにな。我ながら、いい考えだと思った。
そんな風にして、三者面談は終了した。




