【094】図書室ピエロの行き先
ぼくは月曜日に学校に行ってすぐ、道家くんを見た。
「おはよう、瑛」
「おはよう。ねぇねぇ、道家くん」
ぼくは声をひそめて、静かに聞いた。みんなには聞こえない音量だ。
「道家くんは、中学校はどうするの? ここに残るの?」
すると道家くんがうでを組んだ。
そしてしげしげとぼくを見た。
「ううん。もうボクは外を歩けるし……なんでも泰我も市立中に移動になるかもしれないって話だから、ボクは瑛と泰我がいくなら、中学校に行ってみようかと思ってるよ」
それを聞いて、ぼくは思わず笑顔になった。
「じゃあこれからも一緒なんだね」
友達が一緒だと、心強いし、うれしい。ぼくがよろこんでいると、道家くんが照れたように、ほほのペイントのところを指でかいた。
「そうだね」
ちなみにその日の午後は、まるまる合奏の練習だった。本日もカスタネットを叩いたのだけど、とっても難しい。だけど放課後は今日も哀名と会えると思って、ぼくは頑張って乗り切った。
放課後は、いつもの通り、哀名と話せたので、ぼくの気分は浮上した。
そしてぼくは家に帰ってからも、リビングでさっきまで一緒に話していた哀名にメッセージを送りつつ、宿題に取りかかった。
本日の宿題は、漢字の練習だ。ぼくはあまり漢字は得意ではない。
すると目の前で自習していた薺が顔を上げた。
「ねぇねぇ、この算数の問題なんだけど――」
薺が学習帳を指さして、ぼくに問題がわからないと聞いてきた。
――三年生の問題なのに、ぼくもわからなかった。
困っていると、亮にいちゃんがくすりと笑いながら、ぼくの隣に座った。
「見せてみろ。ああ、これはな――」
亮にいちゃんが代わりに答えてくれた。すごくわかりやすくて、ぼくにもやっとわかった。
……ぼくも来年中学生だし、薺に教えられるように、きちんと小学校の勉強をしよう。これからは、大人のフリをするためじゃなく、自分で学んでいきたいと思い直した。




