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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 終章:学校の七不思議 ――
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【082】裏学校

 そうして、教室からぼく達三人以外誰もいなくなった。


「行こうか」


 立ち上がった道家くんが、扉にむかう。ぼくと哀名はその後ろについていった。

 道家くんが教室に出て、壁ぎわによる。ぼく達もその横にならぶと、道家くんが扉を閉めた。教室の後ろ側の扉だ。扉の正面に、道家くんが立つ。


「ここで、『裏学校』って三回言うと、扉の向こうが裏学校になるんだ。誰もいない放課後に。言ってみて」

「わ、わかった。『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』」


 ぼくが言うと、うなずいた道家くんが、扉をあけた。

 中を見て、ぼくは目を丸くした。さっきまでぼく達以外誰もいなかった教室が、ざわざわしていて、全部の机の前に、男子や女子が座っている。ぼくと哀名は顔を見合わせてから、また中を見た。ぼうぜんとしてしまう。だれも見たことがない子だ。


「入るよ」


 しかし道家くんに気にした様子はなく、中に入っていく。哀名がぼくの腕をそっと掴んだので、ぼくはそのまま二人で中に入った。哀名も怖いんだと思うから、ぼくは大丈夫なふりをした。なにかあったら、哀名を守ってあげたい。


「ここは幽霊の学校なんだ。人の呪い方、 取り()いて殺す方法とかを教えてる」


 道家くんの説明に、ぼくはゾクっとした。


「今はボクが気づかれないようにしてるけど、一人で来て気づかれると、呪い殺されるんだよ。だから七番目を知ると死ぬのは本当だよ」


 ぼくは息をのんだ。ぶわりと冷やあせが出てくる。

 すると教室の前のほうの扉が開いて、先生らしき人が入ってきた。


「えー、みんなそろってるな? 今日は人間を事故に遭わせる方法を教える!」


 怖くて、ぼくはこおりつきそうになった。哀名も、ぼくのうでをギュッとだきしめている。ふだんだったらうれしくてよろこんだかもしれないけど、今はそんな場合じゃない。


「道家くん、帰ろう」


 ぼくは小さな声で言った。すると道家くんがうなずき、外に向かって歩きはじめた。ぼも哀名を連れて、急いで教室から出る。ぼく達が出てから扉をしめた道家くんが、今度は小さく笑って言った。


「あとは、『学校』って三回いえば、元の世界に戻るよ」

「『学校』『学校』『学校』!!」


 ぼくが言うと、道家くんが扉を開けた。そこにはだれもいない、無人の教室が広がっている。力が抜けた僕は、ほっとした。哀名もほっとしたみたいで、手の力がゆるんだ。そちらを見るとハッとした顔をして、照れるような顔をしてから、哀名が手をはなした。ぼくまで照れてしまった。


「まぁ、学校にかぎらず、きさらぎ市には、違う世界に繋がっているところがたくさんあるんだよ。鏡の中もその一つだけどね」


 道家くんがそう言った。実際に見たから、なっとくして、ぼくはうなずいた。

 こうしてぼく達は、三人で生徒玄関まで向かい、一緒に帰った。




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