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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 第四章:テケテケ ――
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【078】プラネタリウム

 次の土曜日、ぼくと哀名はプラネタリウムの前で待ち合わせをした。

 そわそわしてしまって、ぼくは早めについてから、何度もうで時計を見た。


「楠谷くん、待たせた?」

「う、ううん。ぼくも今きたところなんだ」


 やってきた哀名に、ぼくは早く来すぎたことは言わなかった。待ち合わせ時間の護符前にきた哀名は、時間通りだ。


 チケットはぼくが買っておいたのでわたした。すると哀名がお財布をとりだしたので、ぼくは首を振る。


「今日は、ぼくがおごるから!」

「いいのに、私も自分のぶんは払うよ?」

「いいから! それより中に入ろうよ」


 ぼくはあんまりおこづかいを使わないので、かなりたまっている。昨日スマホで、デートと検索したら、男子が払うと 好印象(こういんしょう)と書いてあったから、ぼくははらうと決めた。でも、 割り勘(わりかん)も人気みたいだった。


 中に入ると、ぼく達以外だれもいなかったけど、二人で並んで座る。

 そしてぼく達は、天井の星を見上げた。

 プラネタリウムはどうやらあんまり人気がないみたいだ。哀名も退屈だろうか。不安になって哀名を見ると、優しい笑顔で星を見ていた。大丈夫そうで、ぼくは安心した。


「綺麗だね」

「ええ」

「あの中に、占いに出てくる星座もあるんだよね?」

「そうね。たとえばあれは、ルクバトといういて座の星」

「へぇ! そうなんだね」


 哀名は〝はくしき〟だ。ぼくもやっぱり、哀名に負けないように、というよりは、哀名の横にいられるように、もっと勉強をした方がいいと思う。


 二人きりだというのもあって、静かな小さな声だけど、ぼく達は、ずっと話をしていた。哀名と話していると楽しい。


 そんな風にして、一時間プラネタリウムを楽しんだぼく達は、終わってからこのビルの一階にあるカフェに入った。昨日メッセージアプリで、お昼ご飯も一緒に食べようと約束していたからだ。そちらへ向かって歩きながら、ぼくは哀名を見た。


「プラネタリウム、楽しかった?」


 ぼくは楽しかったけど、哀名がどうだったか気になる。


「うん。すごく楽しかった」


 哀名がやわらかく笑ったので、ぼくはほっとした。

 それからカフェに入ると、店員さんが、ぼく達を奥の席に案内してくれた。

 二人でそれぞれメニューを見て、パスタを注文する。ぼくはたらこパスタ、哀名はキノコとベーコンとしそのパスタを頼んでいた。店員さんが運んできた水を飲んでいると、哀名が口を開いた。


「瑛くんといると、ほっとする」


 ぼくはその言葉に、二つうれしくなった。はじめて名前でよんでもらえた。それに、ほっとしてもらえるのもうれしい。


「ぼくも、詩織といると、ホッと……は、しないかな。なんだろう、ただ、胸が温かくなるんだ」


 ぼくも名前で呼んでみた。ただはずかしくなって下を見てしまう。

 それからちらっと哀名を見ると、笑顔の哀名と目が合った。

 とっても可愛い。思わずぼくも笑顔になる。哀名はぼくが名前を呼んでもいやじゃないみたいだ。ぼくは、もう少し勇気を出してみてもいいのかもしれない。


 ご飯を食べてから、ぼくは店を出てすぐ、哀名に行った。


「手を繋いでもいい?」


 すると哀名が、目を閉じて、満面の笑みを浮かべた。そして目を開くと、大きくうなずいた。


「うん」


 こうしてぼく達は手を繋いで歩き、きさらぎ駅でそれぞれわかれた。哀名はそこまで家族が迎えに来てくれるそうだった。ぼくは、勇気を出して本当によかった。



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