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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 第二章:黒板じじい ――
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【068】二宮金次郎像

 残りの、ぼくと道家くんの担当は、七不思議の一つである二宮金次郎像の噂の確認だけとなった。放課後になると目が開いて、夜になるとたまに走り出すという。


 ぼく達の小学校では、職員玄関のすみっこに、像があった。


「今日中に終わらせられそうだね」


 二宮金次郎像の前で、目が開いていないことを確認しながら、ぼくは言った。今は放課後だから、間違いないはずだ。すると道家くんもうなずいた。


「コレは、ウワサされてるだけで、ただの置物だからね」

「あ、そうなんだ?」

「うん。ボクはこれが動いたところなんて、一度も、見たことも聞いたこともないね」

「じゃあ二宮金次郎像……像というか、本人の歴史をまとめる?」

「いいんじゃない。図書室に本があるし」


 こうしてその足で、ぼく達は図書室へと向かった。

 なんだかここに来るのも懐かしい気持ちだ。道家くんは、鏡をちらりと見てから、ぼくを本の場所に案内してくれた。どうやら図書室の本に詳しいみたいだ。


 まとめ終えてからわかれて、ぼくは家に帰った。

 すると透くんが来ていた。

 リビングに入ろうとすると、亮にいちゃんと何やら話し込んでいた。


「でもさ――」

「いや、それはない。瑛の兄として断言する」

「お兄ちゃんやるの楽しそうだね」

「瑛はかわいいからな」

「はいはい。まぁ俺もお兄ちゃんだし? 気持ちは分かるよ? 亮可愛いからね」

「言ってろ。それより、だからさ、もっとこう――」


 なんの話かはわからないが、ぼくの話かもしれない。


「ただいま」


 ぬすみぎきはよくないと思って、ぼくは声を上げた。すると二人が同時にびくっとして、ぼくにふり返った。あわてた様子まで、息もぴったりで、たしかにこの二人が兄弟だというのはなっとくできる気がした。亮にいちゃんは、ぼくのお兄ちゃんだけども。


「おかえり」

「おじゃましてます」


 二人にうなずいてから、ぼくは手洗いうがいに向かった。そしてもどると、透くんがぼくに言った。


「瑛、ところでカノジョには、連絡先聞けたの?」

「か、カノジョじゃないよ! 哀名にちゃんと聞けたけどさぁ」


 カノジョだったら、苦労はしない。ぼくはどうやって告白したらいいのか、今も考えているって言うのに。


「え? 瑛、カノジョがいるのか? いないのか? どっちにしろ、好きな子がいるのか?」


 すると亮にいちゃんが目を丸くしておどろいた顔になった。

 聞かれてしまったのがはずかしくて、ぼくは両手で顔をおおう。


「いやぁ、青春だね」

「そうだな。瑛が恋かぁ」

「……二人はどうなの?」


 ぼくが話を変えようとすると、透くんが笑った。


「俺は今はいないよ」

「俺もいない。バイトがあるし、それどころじゃないからな」


 二人ともいないようだ。しかしどうせなら、参考になる意見が聞きたい。


「小学校とか、中学校の頃はどうだったの?」

「俺? 俺は、けっこうモテるから、初めて付き合ったのが小五で、最後に別れたのが三ヶ月前だよ。亮は?」

「俺は中二で付き合って、高一で別れた。振られた」


 それを聞いて、ぼくは亮にいちゃんを見た。


「亮にいちゃんが振られたの? どうして?」

「ええとな、別の高校に進学して、その子が市外にいったんだけどな、遠恋がきついって話してて、だんだん連絡が取れなくなって、別れようって言われた」

「……そっか……」


 亮にいちゃんほどカッコイイ人でも、そういう場合があるのかと驚いた。


「次いこ、次」


 ポンポンと透くんが亮にいちゃんのカタをたたいている。

 その日は透くんも夕食をたべていくことになった。亮にいちゃんが作ったハンバーグを見ながら、透くんが言った。


「俺、この家に来るようになるまで、家庭料理ってほとんど食べたことがなかったんだよね」

「じゃあなにを食べてたの?」

「俺の家、シェフがいるからさ」

「シェフってお店の人?」

「まぁ、そういう感じだよ。プロだね」


 透くんは、本当にお金持ちみたいだ。ぼくはぼんやりとそう考えた。

 だけどぼくは、お見せの料理も好きだけど、亮にいちゃんの料理が、今のところ一番大好きだ。




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