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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 第二章:黒板じじい ――
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【067】保健室から聞こえたセキ

 自由研究のことを帰って亮にいちゃんに話すと、ものすごく喜んでくれた。

 なんだかうれしな気持ちのまま、次の日も登校した。

 そして給食が終わりお昼時間に入ろうとしたとき、ぼくは日直だったので黒板の前に向かった。消し残しを見つけたからだ。すると泰我先生がぼくを見た。


「あ、楠谷。悪いんだけどな、午後の授業で模造紙を使うから、資料室から二枚持ってきてくれないか?」

「はい!」


 ぼくは元気に返事をした。というのも、自由研究で哀名がほめてくれたのが頭にあって、いろいろ頑張ったら、もっとほめてくれるんじゃないかと思ったからだ。哀名にかっこいいところを見せた。そう思ってちらっと哀名のほうを見ると、哀名はすっかり治った椿ちゃんと話をしていた。ぼくのほうには気づいていない。逆に道家くんが、呆れたような顔でぼくを見ていた。ぼくが手招きしてみると、道家くんがこちらに来た。


「お、道家もいってくれるのか。いやぁ助かる」


 泰我先生は、笑顔だ。道家くんは小さくうなずいたが、めんどうくさいというのが顔に出ていた。


「行こう!」


 こうしてぼくは道家くんと一緒に教室を出た。

 少し歩くと、道家くんがボソっといった。


「ボクには理解不能だね。女子にかっこいいところを見せるために、色々がんばるとかって」

「えっ」

「哀名に見せたいのがよくわかったよ、見てて」

「……そ、その」


 道家くんはするどい。ぼくが思わず赤くなると、道家くんが大きく息をはいた。


「自分をいつわって、無理をして付き合うのって楽しい?」

「!!」

「そのままの瑛でチャレンジすれば?」


 それも〝いちり〟ある気がした。

 そんなやりとりをしんがら、資料室がある、保健室の前の廊下を通ろうとしたときだった。ゲホゲホと大きなセキが聞こえてきた。


「大丈夫?」


 ぼくは思わずその場で声を出した。

 やっぱり風邪ははやっているのかもしれない。


「あ、おい――」


 道家くんがあわてた声を出したときには、ぼくは保健室の扉を開けていた。


「大丈夫?」


 もう一度声をかけたけど、聞こえてくるのはセキだけだ。保健の先生はいないみたいだけど、苦しくて呼べないのかもしれない。ぼくはベッドの周囲のカーテンを開けた。


「ねぇ、大丈夫!?」


 そう言ったぼくは、ベッドを見て目を丸くした。誰もねていなかったからだ。

 びっくりして、ぼくは口を半分開けた。


「今のが、七不思議の一つの『保健室の少女』だよ。『大丈夫』と三回言うと消えるんだ。心やさしい相手だと判断すると、なにもしない。だけど、中身を知らずに、本当にやさしく声をかけるお人好しはあんまりいないけどね」


 ぼくは歩み寄ってきた道家くんを見る。道家くんは笑っていた。


「え、えっと……じゃあこの七不思議の一つも確認したことにして、『大丈夫』って三回言えばいいってまとめようか?」

「そうすれば」


 道家くんの言葉に、そうすることに決めてから、ぼく達は資料庫へと向かい、無事に模造紙を手に入れた。




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