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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅡ】―― 第二章:黒板じじい ――
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【066】クラスの出し物

 月曜日に学校に行くと、本日も朝の会から一時間目にかけて、学習発表会の話し合いをすることになった。


「今日は、クラス全体の出しものを決めるぞ。誰か、案があるものは?」


 泰我先生の声がすると、さっと西くんが手を挙げた。


「はーい! 劇がいいと思います! ももたろうとか!」


 すると続いて七海ちゃんも手を挙げた。


「私は合奏がいいと思います! ももたろうなんて子どもっぽいし」

「なんだと?」

「本当のことでしょ?」

「うっ……」


 西くんが七海ちゃんに言い負かされた。


「ほかには?」


 泰我先生の声に、みんな黙っている。


「じゃあ多数決にしよう。劇がいいものは、挙手!」


 すると男子の半分くらいが手を挙げた。ぼくも手を挙げた。ぼくは得意な楽器がないからだ。


「では、合奏がいいものは?」

「はーい!」


 七海ちゃんの大きな声がしたと思うと、クラスの三分の二が手を挙げた。


「じゃあ合奏に決まりだな。曲はどうする?」


 多数決はざんこくだ。ぼくがギュッと目を閉じている間に、みんながあれやこれやと話しはじめる。曲は、さいきん流行っている映画の主題歌に決まった。


「じゃあ楽器は――ピアノは、誰か習っているか?」

「私習ってます!」


 椿ちゃんが手を挙げる。すると黒板に、泰我先生が名前を書いた。


「他には、クラリネットの担当は……」

「私、吹けます」


 控えめな声で哀名が言った。泰我先生が笑顔でうなずき名前を書く。


「俺小太鼓に自信がある。音楽室でよく遊んでたし」


 道家くんまで声を上げた。こうしてぞくぞくと決まっていき、ぼくは何も言えなかったため、ほかの何も言えなかったクラスメイトと一緒に、カスタネットと決まった。ぼくにはカスタネットもハードルが高いんだけど……。本当にぼくは楽器が何もできない。音楽で唯一できるのは、歌をうたうことだけだ。昔お父さんや亮にいちゃんとカラオケに行ったおかげだ。


 こうして一時間目が終わると、泰我先生がぼくの席まで歩いてきた。


「楠谷」

「はい」

「お前の自由研究が、市で賞を取ったんだ。すごいな、おめでとう」

「えっ!?」

「『架空の動物の観察日記』は、たしかに研究とは言えないかもしれないが、観察方法もしっかりしていたし、なにより自由な発想が評価されたそうだ。だから、特別賞を受賞したと連絡がきた。よくやったな、さすがだよ」


 泰我先生がうれしそうに笑っている。ぼくにクラスの視線が集まった。

 信じられない気持ちもあったけど、ぼくもうれしくて思わず両方のほほを持ち上げる。


「すごいね、楠谷くん」


 そのとき哀名に言われて、ぼくはそちらを見た。哀名にほめてもらえたのが、なによりもうれしかった。




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