表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 第九章:図書室ピエロ ――
51/66

【051】ピエロの気持ち

「寂しい? 図書室ピエロは、寂しいから、鏡に引きずり込んでたの?」

「そうだよ! それの何が悪い! ボクと一緒にここにいて、一緒に遊んでよ!」


 ぼくは胸が締め付けられそうになった。

 気持ちが分かる気がしたからだ。このように暗い場所に一人でいたら、誰だって寂しい。


「――ねぇ、小学校の人体模型、覚えてる?」

「は?」

「きみと競争をしたってはなしてたけど」

「ああ。ボクの少ない友達だよ」

「そうなんだ」


 ぼくはもう知っている。都市伝説のお化けは、怖い存在だけじゃない。いいものもいるし、よくしてくれるものもいる。


「ぼくもきみの友達になる」

「だったらずっとここにいろよ!」

「いいや、違う――一緒に外に行こう! 学校に戻ろう! 学校の中なら歩けるんでしょう?」


 ぼくの言葉に、ピエロがおどろいたようにビクリとした。


「ぼくのクラスには人体模型や学校わらしだっているんだ。図書室ピエロが増えたって誰も何も言わない! 一緒にみんなと遊ぼうよ!」


 そう言って、ぼくは護符をポケットにしまい、図書室ピエロに向かって手を差し出した。


「一緒に行こう。帰ろう? 学校に。そして、一緒に遊ぼうよ!」


 すると迷うように手袋をした指を震わせてから、ピエロがポツリと言った。


「本当に、ボクも遊べるかな?」

「うん。ぼくと、一緒に遊ぼう。ぼくがついてる。絶対に、一人にしない。約束する」


 今、ここにある絶望を、解消して、ピエロを救えるのは、きっとぼくしかいない。

 今、図書室ピエロを救わなければ、きっとまた、同じ悲劇が起きる。

 ぼくはそれを、見過ごせない。それは大人だからでも、子供だからでもない。ぼくだから、ぼくがそう思うからだ。ぼくは、自分が正しいと思うことに正直に生きる。


「早く!」


 ぼくは再び手を差し伸べる。

きっと、ぼくに大人の在り方や、優しさというもの、弱さというものを教えてくれた人達だって、同じ判断をするだろう。


 おずおずとピエロが手を差し出した。僕はその手を強引に掴んで引きよせる。


「行こう!」


 ぼくは図書室ピエロの手を掴んで、鏡に振り返り、地を蹴った。そしてぐるぐると歪んでいる鏡の前に向かい、改めてピエロに振り返る。そしてその腕を両手で引っ張り、後ろから鏡に突っ込んだ。


「っ」


 するとぼくの体を冷たい膜のようなものが通過し、次に気づくと外の風景があって、僕の手は確かにピエロの腕を握っていた。


「ありがとう」

「早く!」

「もう大丈夫。学校に戻るよ」

「っ」

「キミは先に帰っていて、外の世界に」


 図書室ピエロはそう言うと、僕の手を振り払った。その衝撃で、ぼくはトイレの床にしりもちをつく。


「瑛にいちゃん!」


 薺が抱きついてくる。振り返ると、步夢くんも無事にそこにいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ