第33話 カシアの決意
治安の悪化は、もはや個人の問題だけではないとカシアは考えていた。
毎日のように報じられる犯罪、終わらない戦争、貧困の連鎖。
すべてが、表向きの「社会秩序」を嘲笑うように続いていた。
「この世界は、どこかおかしい……」
原因は、政府の無能さか、それとも意図的なものか。
確かめなければ、彼女の正義は空回りするだけだ。
「政府のシステムに侵入して真実を確かめる。」
しかし、政府のセキュリティは極めて強固だ。
過去に何人ものハッカーが政府のシステムに侵入を挑んだが、そのすべてが逆探知され逮捕されている。
彼女は静かに息を吐いた。
カシアは決断した。
政府のセキュリティシステムに挑むための、専用のAIを創り出す。
ハッキングに特化し、セキュリティAIとの戦闘を想定した、究極の侵入AI。
カシアは開発コンセプトをキーボードで素早く打ち込んだ。
・高速ハッキング:セキュリティシステムを高速でハッキング。
・ハッキングの痕跡消去:ハッキングの痕跡データを完全に消去。
・ゼロデイ攻撃生成:未知の脆弱性を自動発見して攻撃。
・適応型学習:敵の攻撃・防御パターンをリアルタイムで学習・解析。
・霧状形態:霧状の体には、いかなる攻撃も通用しない。ただし、コアへの攻撃は有効。
次に、最初の設計図を入力し始めた。
このAIが完成すれば、政府の闇に直接触れられる。
腐敗の根源を暴き、必要なら、支配する。
「これで、世界を変えてみせる。」
カシアの瞳に、冷たい決意が宿った。




