戦闘技術の向上を目指して
そこからマッドトードを探したけど、さすがはCランクという感じで全然姿が見えない。二人の安全も考えて、なるべく近場が良いと判断し、アリサに空から見てもらったりしていたけど、割と距離が離れていたり奥に行かないといけなかったりした。奥は奥で危険だから却下って感じだ。
なので、マッドフロッグに対してリタ達を中心として戦って貰う事にした。さすがにキティとリタの連携はちゃんと取れている。この辺りは恋人同士の繋がりが大きいかな。
大きな危険があれば、アリサやスレイアが入り込めるようにはしておいたから安全マージンはしっかりと取れている。私は私で間引きのためにマッドフロッグに杭を飛ばして倒したりしていた。
私も雷鎚ミョルニルと打ち出の小槌の組み合わせで出来る戦闘方法をしっかりと練習して起きたかったので、ちょうど良かった。杭を飛ばすのが最適解のモンスターが相手だというのが大きいかな。
そうしてマッドフロッグを六十三体、マッドトードを一体狩って、エスキモードッグに戻る。ブーツがかなり汚れているので、後で洗わないと。
ギルドに入った私は受付嬢のお姉さんに解体場まで連れて行ってもらい、狩ったモンスターを出していく。
「依頼はマッドトードでしたが、マッドフロッグも狩ったのですね。マッドフロッグはいつの間にか大量発生している事もありますので、一緒に狩って下さるのは助かります。最低限の損傷ですので、マッドフロッグの査定額が45万リル。マッドトードは78万リル。ここに報酬額を合わせて、135万リルとなります」
「はい。リタ、半分持って」
「良いの?」
「リタ達も受けてるんだから良いに決まってるでしょ。もしもの時に必要になるかもしれないし」
「分かったわ」
リタと半分こして持つ。【アイテムボックス】を持つリタにも持って貰う事で、仮に私がいなくなっても大丈夫なようにしておきたいという考えだ。
「取り敢えず、大分稼ぐ事は出来たね。マッドトードの依頼を隔日で受けつつ、メインに狩るのはマッドフロッグって感じで進めるかな。午後はステータスを上げるために色々とやるよ。
リタは魔法を使いながら筋力を上げつつ耐久も上げる。【体術】を手に入れて貰うって感じ。短剣だけよりも手足を使って戦えるようになった方がより安全になるから。これはスレイアもね。アリサが見てくれるから。
キティはひたすら走りながら攻撃かな。私と一緒にね。私も【体術】のレベルを上げたいし、もっと速度を出したいから。ついでに耐久も上がるし」
「分かったわ」
「う、うん……」
二人のステータスを上げるのに、ただ自分のレベルを上げるだけでなく、他にもスキルで上昇させるという手段を使う。加えて、ステータスやスキルでは賄えない戦闘センス的なものも向上させていく方針だ。
家に帰って昼食の時間にし、ブーツを洗って干しておく。替えのブーツを履いて、皆で街の外に出る。そして、アリサ、スレイア、リタの組と私とキティの組に分かれた。
「さてと、それじゃあやろうか」
「う、うん……で、でも、私は爪使うの?」
キティは心配そうに半透明の手甲を出す。指先から軽く出るような状態の爪を私に見せる事で危険性を伝えようとしてくれているのだと思う。
「うん。それでやって。私も態勢を上げたいし、キティはそのスタイルが基本でしょ? そこをしっかりと伸ばしたいから。遠慮しちゃだめだよ?」
「う、うん……」
心配そうな表情をするキティの額にデコピンする。
「あぅ……」
「これから旅をするのに、二人の実力を底上げしないとね。私達と違って不死じゃないから」
「う、うん……」
「じゃあ、行くよ」
私は腕輪の状態になっている雷鎚ミョルニルから、雷による身体能力上昇だけを発動する。これでキティも【雷耐性】を得られるかもしれない。
キティに怪我をさせたいとは思っていないので、全力でやる事はしない。軽く距離を取ってから、一気にキティに向かって突っ込む。
キティもすぐに対抗して突っ込んで来た。キティが少し気後れしながら爪を振るう。その躊躇いが、大きな隙になる。
私に爪が届く前に懐に入り込んでキティを投げる。
「んっ……!」
「ほら、すぐに立たないと」
私がキティに向かって拳を振り下ろすと、キティはすぐに横に転がって避けた。そうして立ち上がったキティの眼は、さっきまでと違う。真面目にやってくれる気になったみたい。
私が駆け出すと、キティは即座に追ってきた。キティの足の速さは私よりも上だ。ステータスもそうだけど、身体の造りからキティの方が素早い感じだ。
追いついてきたキティは、私に接近すると爪を振ってくる。その攻撃は割と分かり易い攻撃だったので、簡単に避ける事が出来た。攻撃を避けた後に脇腹に軽く蹴りを当てて蹴り飛ばす。
キティは地面を手で叩いて、着地するための姿勢を整える。そこに向かって一気に駆ける。雷の身体能力の上昇のおかげで追いつく事が出来た。
私が振るう拳をキティは身体を傾ける事で避ける。こっちの攻撃を見切っていたという事だ。スキルを持っているのもあって、状況になれたら冷静に対処出来るみたい。
逆に懐に入り込んだキティのお腹に対して、軽く膝を入れる。
「うっ……」
キティはお腹を押さえて蹲る。ちょっと入りすぎたかな。
「大丈夫?」
蹲るキティを介抱しようとしたら、爪がこっちに振るわれる。痛がるふりをしていたらしい。ギリギリのところで避けて、キティの腕を取り、関節を決める。
「そんないけない事覚えて……」
「うぅ……痛い……」
ずっと関節を決めている必要はないので、キティを解放する。すると、キティは即座に振り返って爪を振るう。それを予見できたので、上体を反らして避ける。
そこから常にキティと走りながら、拳と爪をぶつけていく。キティもいつまでも弱いままでいるという事はない。こうして段々と強くなっていっている途中なのだと思わされて、嬉しい気持ちになる。まぁ、人を騙すという事を覚えているのは、若干ショックだけど。




