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異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
再会の旅路

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成長するための戦い

 足を取られる沼地を進んで行くと、周囲にモンスターの気配がしてくる。それがマッドフロッグだ。Dランクモンスターというだけあって、そこそこの数がいる。


「まずは肩慣らしかな。水があるし、雷を使わないようにしないと」


 雷鎚ミョルニルと打ち出の小槌を出す。そして、打ち出の小槌で鉄杭を出して、その杭の頭を叩いてマッドフロッグに向かって飛ばす。勢いよく飛んだ杭は、マッドフロッグに突き刺さる。

 そこから動かなくなったので、傍に行きインベントリに回収して倒した事を確認する。


「これが安全な倒し方になるかな」

「皮が破れると価値下がるわよ」

「あ、やっぱり? 二人はどうやって倒してるの?」

「普通に私が拘束して、キティが突き刺す形。打撃の浸透も悪いのよ。だから、結局突き刺す形が良いのよ。穴をなるべく小さくするのが良いわよ。だから、今のヒナの倒し方が一番理想ね。斬撃は一気に価値が下がるから」

「なるほどね」


 価値は下がるけど、倒す方法としては刺突が一番理想的みたい。私の打撃なら倒せる気がしなくもないけど。


「次はミョルニルで倒そうかな」

「話し聞いてた?」

「聞いてた。でも、私とミョルニルなら倒せるかもでしょ?」

「話し聞いてた?」

「聞いてたって。圧倒的な力の前には何者も存在出来ない!」

「まぁ、勝手にして」

「は~い」


 沼地を進んで行き、私に向かって飛び掛かってくるマッドフロッグの横っ面に雷鎚ミョルニルを叩き付ける。弾力のある感覚が雷鎚ミョルニルを通して伝わってくる。マッドフロッグは野球ボールのように勢いよく吹っ飛んでいき、遠く離れた場所に落ちた。

 マッドフロッグは、痙攣しながらそれでも動いていた。


「本当に軽減されてる……でも、一応通用はしてるか」


 私は打ち出の小槌で鉄杭を出して離れた場所に落ちたマッドフロッグに飛ばす。倒されたマッドフロッグをアリサに回収して貰ってインベントリに入れる。


「まぁ、杭が良いかな」

「そう言ったけど」


 リタのジト目が痛い。そんなジト目から逃れるためにスレイアにくっつくとスレイアが頭を撫でてくれる。スレイアはこんなに優しいのにね。まぁ、どう考えても私がいけないのだけど。


「凍らせる……?」

「ゴムって凍らせると駄目なんじゃ……まぁ、モンスターだからいっか」


 スレイアは『氷薔薇』を使って目に見えているマッドフロッグ達を凍らせていった。その手際を見て、リタが唖然としていた。


「これがスレイアの実力。本当だったら、この沼地全部を凍結させられるくらい造作もないよ」

「雪姫って、本当にあの御伽噺の事なの?」

「私はそう思ってる。内容は若干都合の良く改変されてるけどね」

「都合良く?」

「まぁ、その話はまた今度で。そろそろマッドトードが出て来る場所でしょ?」

「そうね」


 場所的にそろそろマッドトードが出てもおかしくないので、あまり話し込むような事はしないようにする。


「あっ……ヒナちゃん……あれ……」


 キティが指差す方向を見てみると、私達よりも少し大きな岩のような塊があった。いぼいぼしているので、それがマッドトードだという事が分かる。


「マッドトードってさ。マッドフロッグと同じ? 身体に毒が含まれてるって事は調べた時に知ったんだけど」

「打撃は効きにくいって話よ。主に魔法か弓で倒すのが安全で確実ね。ヒナは遠くから杭を飛ばすだけが良いわ。私も一体だけ倒した事があるけど、キティに移動を手伝って貰って安全な距離を維持しながらだったもの」

「毒を飛ばしたりはしないって書いてあったけど」

「毒はないけど、舌が結構な距離まで伸びるし、それに捕まるとパクリよ」


 基本的に調べた内容と変わりない。それなら考えていた通りの方法で戦えば、十分に良い経験を積める。


「なるほど。アリサ、サポートお願い。スレイアはリタを守って。リタはチクチク攻撃して意識を分散させて。キティ。一緒に突っ込むよ」

「えっ……だ、大丈夫かな……?」

「大丈夫。私がいるから。行くよ。アリサ!」


 私の合図でアリサが土魔法を使い、泥ではない地面を作り出す。その地面を使って一気にマッドトードに突っ込む。その私の後ろにキティが付いてくる。アリサは次々に踏み切りやすい足場を作ってくれるので、マッドトードに接近しやすい。

 マッドトードは、接近してくる私達に気付いて舌を伸ばそうとしてくる。そこに水魔法の『水槍』が飛んでくる。見た感じ、水を細長い円錐状にして螺旋回転を加えた魔法だ。刺突系統の魔法で命中したマッドトードが傷つく。それにより視線が魔法が飛んできた方向。リタとスレイアがいる方に移る。接近してくる私達よりも実際に攻撃してきたリタを危険視した結果だ。

 ゲームのヘイト管理みたいだけど、実際に危害を加えてきたという事実は警戒が移るのに十分な理由だ。

 私が意識が逸れた瞬間を狙って、マッドトードの正面下に入り込み、下から雷鎚ミョルニルでかち上げる。お腹を剥き出しにしたところで、半透明な手甲のようなものを出現させたキティが飛び込み手甲で覆われた爪を突き刺す。

 私の打撃はそこまで効いていないけど、キティの突きは通っている。やっぱり打撃への耐性が高い。なので、キティと入れ替わりで下に潜り込み、打ち出の小槌で作り出した大きめの鉄杭を雷鎚ミョルニルでキティが開いた傷口へと叩き込む。

 マッドトードの呻き声が聞こえる。ダメージになっているという事がよく分かる。そのままマッドトードがひっくり返るので、一気に飛び上がって、上からお腹に突き刺さった鉄杭を更に奥へと叩き込む。その間にキティはアリサが作ってくれる足場を利用してマッドトードを爪でどんどんと斬り裂いていった。マッドトードはひっくり返ったまま何をする事が出来ず動かなくなる。

 キティが警戒を解き、私はマッドトードをインベントリに仕舞う。


「か、皮……傷だらけかも……」

「大丈夫。命優先だよ。マッドトードが何に使うのか分からないから、価値が下がったかどうかは分からないけど、こっちの皮は使わないと思う。綺麗とは言い難いし」

「マッドトードは、基本的に油を使うみたいよ。だから、皮が破れていても気にされないと思うわ」


 リタがこっちに来ながら教えてくれる。取り敢えず、この倒し方で問題はないみたい。


「他にも狩りたいけど、この近くには居なさそうだね。もう少し粘ってから帰ろうか。基本的な狩り方はこれで。リタはもう少し援護増やして良いよ」

「当てないようにするのも難しいのよ?」

「練習練習」

「はぁ……頑張るわ」


 リタは困ったように笑う。私達に当てる事が怖いのだと思う。でも、それで肝心な時に援護出来ないというのは良くない。これはリタにとって乗り越えるべき障害だ。頑張って貰わないとね。

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