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異世界旅はハンマーと共に  作者: 月輪林檎
再会の旅路

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エスキモードッグの依頼

 翌日。朝のルーティンを終わらせた後、リタと一緒に朝ご飯を作り、皆で朝食を済ませていく。そして、依頼を受けるための準備をしていく。それぞれの装備を身に纏い、リタの案内でギルドへと向かう。ギルドに入ると、スレイアが私の背後に付く。まだ苦手は改善されていない。

 依頼が張り出されている掲示板に来ると、Cランクの依頼を探していく。


「本当にCランクを受けるつもり?」

「うん。貯金は馬鹿みたいにあるけど、消費が多くなりすぎると困るしね。それに私のレベル上げもあるから。強い相手と戦うと、それだけで良い経験になるよ。基本的にキティにはアリサ、リタにはスレイアをサポートに付けるから、大船に乗ったつもりでいなよ」

「が、頑張る……」


 スレイアが少し自信なさげに言うから、若干リタが心配そうな表情になっていた。まぁ、スレイアが戦っているところを見た事はないし、レベルしか聞いていないから仕方ないかな。


「さてと、このマッドトードの討伐にしようか。巨大なカエル?」

「ああ……うん。沼地の手前側にはマッドフロッグが沢山いるけど、その奥の方に少数が生息してるわ。フレアリザードは更に奥ね」

「沼地……スレイアの靴はブーツにしようか」

「うん……」


 アリサとリタに依頼の受注を頼んで、椅子にスレイアを座らせて靴をブーツに替えていく。汚れても良いブーツにしているから、これで沼地も歩きやすくなるし、靴が持っていかれる事もなくなるはず。


「受けてきた」

「ありがとう。アリサ達の事も伝えられた?」

「見てすぐに察していたわ。何かあればギルドまで来て欲しいって」

「いつも通りだね」


 取り敢えず、アリサ達の事情がギルドに広まっているという事も確認出来たので良かった。スレイアについての事も特に言われていないから、スレイアも同じだと思う。


「よし。それじゃあ、行こう」


 スレイアの靴をインベントリに仕舞って、私達は沼地へと向かう。そこまでの道程で、少し話しておく事があった。


「そうだ。手紙でも話した事があったと思うけど、魔王の信奉者が色々と動いているみたいなの」

「ああ、お父さんが話してるのを聞いた事があるよ。輸送経路を変えるかべきかどうかって」

「その経路にモンスターがいっぱい出たとかなら変えた方が良いだろうね。基本的に魔物を誘導して街に多大な被害を与えようとしてくるの。ここまでの道中で何度か阻止はしてるけど、本当に数が多かったり、危険な魔物だったりするから、無闇に止めようとしちゃ駄目だよ。私達は死なないから良いけど」

「良くはないでしょう?」

「そ、そうだよ……」


 リタとキティが私を責めるような目でこっちを見てくる。私が死を前提としているから、それを責めているみたいな感じだ。


「私もそこまでの無茶はしないって。アリサ達にも心配掛けちゃうし」

「ふ~ん……まぁ、一番怒るのはメイリアさんとレパね」

「正直、再会した時が怖くはある」


 メイリアさんもレパも確実に叱ってくるので、それだけは怖い。まぁ、どっちも優しさから来るものだろうけど。


「というわけで、モンスターが異常に多かったり、分布が急に変わっていたりしたら気を付けてね」

「ええ」

「う、うん……」

「まぁ、これに関しては、その土地に住んでいる人達じゃないと分からない事がほとんどだと思うけどね」

「じゃ、じゃあ、どうやって調べるの……?」

「周辺のモンスターの分布を調べたり、依頼の説明とかの時に聞いていた話と違うとか」


 いるはずのないモンスターとかは、即座に分かるわけじゃない。ギルドに報告した時に初めて分かる事だ。だから、ギルドで確認をすれば良いだけ。そう考えていたら、アリサが会話に混ざる。


「それヒナが受付のお姉さんと親密な関係になっていたりするのが大きいと思う」

「あ……」


 情報の大半は、身体の関係を結ぶまでに仲良くなった受付嬢の人から受ける事が多かった。そのくらい色々と話せる仲になっている事がほぼ前提だったりする。融通を利かせてくれるのもそういう事情が大きかったりする。


「ふ~ん……受付嬢を落としていたわけ」

「まぁ、一番仲良くなりやすいからね」

「普通はないわよ……ここでも仲良くなるつもり?」

「機会があれば?」


 あっけらかんとそう言ったら、リタが呆れたような表情をしていた。節操のなさに呆れた感じかな。私も前の世界の感覚のままだったら、絶対に呆れていたと思う。大分こっちの世界に馴染んでいる感じかな。


「でも、結局私がその人を好きにならないと相手もそういう風に見てくれないから、アリサとかが受注していたら機会はないかな。おっ、沼地が見えてきた。割と街近くまで来てるんだね」

「別に沼地が進行してきてるわけじゃないわよ。前からずっとここのまま。この沼地の近くに街を作ったってだけじゃないかしら」

「マッドフロッグの素材をよく使うとか?」

「耐水性や防汚性が高いから、そういう点で利用するのよ。この依頼の問題は、マッドトードを倒すために沼地を進まないといけない事よ。沼の深さは脛くらいで時々腰まで深い場所もあるから気を付ける事。滅多にないけどね」

「なるほど。スレイア、気を付けてね」

「うん……」


 リタから注意事項を聞いたところで、私達は沼地の中を進んで行く。アリサは空を飛んで沼地の影響を受けずに移動している。もしもの時に素早く動ける人材がいるのといないのでは大きな差がある。

 アリサという特大の戦力がそういう風に動ける事は、これに加えて更に大きいな利点となる。


「凍らせる……?」

「範囲が問題になるし、今度は滑って進みにくいからなし。沼地対策としては良い考えではあるけどね」


 沼地の足を取られるという点を解決するなら、スレイアの凍結は効果的だ。問題はそれで滑って移動しにくいという点だけだ。スパイク系の靴でも用意出来れば話は変わってくるけど。

 この広い沼地を完全に凍結させられるという時点でスレイアの凍結能力の強さを改めて認識させられる。


「乾かす?」

「あぁ……まぁ、そっちは有りかもしれないかな」

「モンスターの分布が変わるからやめなさい」

「それもそうか。そういえば、キティはこの沼地だとスピード出せないけど大丈夫そう?」

「う、うん……頑張れば……沼地走れるの……」

「沼地を……?」

「う、うん……」


 水面をバイクが走るみたいな感じで速度を出せば大丈夫って事なのかな。割と凄い事を言っている気がする。


「私が足場作った方が良い?」


 アリサがそんな提案をする。アリサスレイアの魔法なら地面を軽く盛り上げて沼ではない踏みしめられる足場を作る事が出来る。その方が安定だろうけど、まずは色々と試行しておきたい。


「まぁ、戦闘してみて確認かな」

「分かった」


 そうして沼地を進みマッドトードの棲息地を目指していく。

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