表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/24

9.異世界とは


 私が押し入った家の住人であるコーディアルさんに案内されたのはリビングだった。


 堅牢な外見とは裏腹にセンスの良い家具が配置され、落ち着いた雰囲気を醸し出している。暖炉や本棚が設置され壁には槍や剣などが掛かっていた。


 そんな室内でコーディアルさんに色々とこの世界について教えてもらった。


 まず、この土地についてだが私が居るのはルヴェルジュ王国と言うらしい。周囲は別の国と面しており南は海に繋がっている。北は山脈が連なっており、国境から直接他国に向かう事はできないそうだ。


 また、平坦な土地が多いため穀倉地帯が広がる農業が盛んな国という事だった。


 そんな国でも辺境に位置するのがこのメニル村だ。この村も農業や酪農で稼いでおり、外行商人も訪れるそうだ。


 昔は戦争なども多かったみたいだか、現在は同盟を結んでおり平和が維持されている。


 ただ、最近になって宗教国家であるネフィティリア皇国が戦争を企てているのではと噂されているらしい。周辺国に数人のグループを送り込んでいるのが目撃されているようだ。


「戦争…ですか」

「ああ、他にも武器を買い漁っているらしいぞ」


 幾つも国を挟み、さらに北にある国家なので影響は無さそうだ。あまりに離れ過ぎているため、実感がわかないとも言える。


 ニュースや新聞などで紛争が勃発したなど聞いても、可哀そうだなと思うばかりで安全な日本居たら危機感など抱かなかった。やはり遠い国の出来事でしかなかったのだ。


 これで国については理解できた。


 次は魔法についてだ。魔法は大まかに分けて4つの種類に分類される。


 一つ目は通常魔法だ。魔物を滅するために生まれた対抗手段だったらしい。属性は4種類あり火、水、土、風。才能がある者が鍛錬を積めば発現できる。


 魔法を扱うためには魔石から魔力を引き出し、術式を構築する必要がある。


 人間は魔石を持たないので魔物の体内に存在する魔石を媒体として魔法を発動するのだ。


 コーディアルさんは剣を取り出して見せてくれた。剣の柄頭に黄色の石が嵌っている、これが魔石らしい。


 二つ目は特殊魔法と呼ばれるものだ。通常魔法とは違う属性を持つ魔法の呼称である。この魔法に関しては、生まれが関わってくるそうで、努力は関係なく適性がある者だけが発動できる魔法だ。


 攻撃以外にも治療や強化、収納など様々な種類が確認されており、稀に複数適性が有る場合もあるようだ。


 コーディアルさんも特殊属性持ちであった。


 あの聖剣じみた剣は魔法を付与したものであるそうだ。


 祝福属性と呼ばれ、武器に属性を宿らせたり斬撃を飛ばす事を得意としている。


 先ほど話にあったネフィティリア皇国に多く見られ、コーディアルさん自身そこの出身だった。


 彼は幼い頃に冒険者となって世界各地を旅したいたが、歳と共に体が衰えた事で引退を決意し、お世話になったこの村に住まわせて貰っていると穏やかに語っていた。


 故郷には戻るつもりは無く、余生はここで暮らすらしい。


 三つ目の魔法についてだが簡単に言えば家電魔法である。


 正直、魔法と言うより技術の総称みたいなものだ。照明やコンロなどの現代で活躍している電化製品の魔法版。


 素体となる物に術式を刻む事で発動する。魔力を動力源として稼働するため、魔石が埋め込まれた形になるのが基本みたいだ。


 中世ぐらいの発展具合だと考えていたが魔石のお陰でそこそこ快適な世の中みたい。


 最後の魔法は根源魔法だ。術式を用いた魔法が台頭する以前は根源魔法が主に使用されていた。だが現在は禁忌魔法として扱われているため存在自体知らない住民も多いそうだ。


 術式で制御を行わず意志の力で魔力を操るため、暴発しやすい不安定な技術として禁術にされた。


 きっと暴発した際の被害が大きかったのだ、安全装置の付いていないガスコンロのような物だろうか。そもそも難易度が高いため発動以前の問題らしいが。


 以上が魔法についてだった。


 最後は魔物についてだ。ここまでの道中で戦ったオオカミやゴブリンなどの魔物が存在している。基本的に人類とは敵対関係にあり、積極的に襲ってくるみたいだ。ドラゴンや大型の蛇、人食い植物などバリエーションは豊富だ。


 そんな魔物達が使用する魔法は根源魔法であると提唱されている。


 地図の形が変わるほどの大規模な魔法を展開したり町以上の巨体で浮遊するなど人の扱う魔法では実現不可能であるからだ。他にも根源魔法自体が魔物の使う魔法を模倣したと記された書物も残っているそうだ。


 そんな魔物に襲われて壊滅した国もあり、かつて領土だった場所は周辺国に吸収され跡形も残っていないらしい。


 ただ、滅多にそのような怪物は出現せず、魔牢と呼ばれる魔物の楽園で暮らしているようだ。魔物は寿命では死を迎えず、餓死や殺されるかしなければ永遠に生存するらしい。


 故に魔牢にはどんな化け物が潜んでいるかわからないと話していた。


 ちなみに、私が苦労して倒したオオカミはゲイルウルフという名前で、少し経験を積んだ冒険者なら簡単に倒せるらしい。


「あの、私にも魔法使えたりするんですかね?」

「わからない、異世界人に会ったのは初めてだからな。試して見ないと判断できないだろう」


 確かにその通りだ、転生など前代未聞の出来事であろう。いくら経験豊富なコーディアルさんでも知識量には限りがある、逆に知っていたら驚愕を通り越して薄気味悪い。


 この世界では魔法が一般的に普及しているが転移魔法は存在していない。厳密には存在しなくなっただが。大昔の魔法は意思で発現するため奇特な人物が編み出した可能性は否定できない。


 だが、昨今の魔法は術式によってなされる。あまりに物理法則から逸脱した魔法は術として成立しないらしい。特殊魔法も同様に明確な理論が確立されている。


 故に別の世界を観測した人物もおらず、そこに行きつく能力もありはしないのだ。

 

 転生者は私一人だけだ、実際にはとだまちゃんも転生者かも知れないが事実確認が不可能なのでこの際は置いておく。


 転生の先達者は居ない、私が初なのだ。面白そうじゃないか、これは目的成就と並行して試していきたい。


 さて、そのためには、しっかりとした拠点が欲しい。了承してくれるかな?


 私は姿勢を正し真っすぐに彼を見つめて口を開いた。


「ここに置いてもらえませんか?」

「ふむ、何故だね?」


 安全を確保したい、食事や睡眠は必要なくても安心できる場所があるのは精神的に余裕ができる。いつ襲われるかと気を張り続けるのは幽霊でも疲れるのだ。それに、まだまだこの世界に疎い。


 何故だか言葉は通じるがこの世界の文字は読めなかった、人に戻れた際に読み書きが出来ないと不便であろう。


 それに、本が読めれば実体化に関する内容が書かれているかもしれない。だから文字も学びたいのだ。


 また、以前コーディアルさんは私みたいな魔物と戦った経験があり、その魔物は言葉を発していたそうだ。残念ながら対話は叶わなかったらしいが、その魔物を探れば糸口を見つけれる事もあり得る。


 さらっと流されてしまったからもっと詳しく話を聞きたい。


 何よりも、幽霊であると理解してもらえたのが一番大きい。他の人を探すにも時間がかかるし、会話をするのも難しいのだ。


 様々な理由からここが活動拠点に相応しいと思える。


「負担をかけてしまうと思います、だからその代わりお手伝いします」

「家事でも掃除でもなんでも申し付けてくれて構いません、お願いできませんか?」


「…魔物は狩る予定はあるかね?」

「え? はい。一応予定しています」

「なら、まあ、いいだろう」


 この歳で長時間森に籠っているのも大変だからな、と続け相好を崩した。


「それに今更放り出すのは気が咎める。これからよろしく頼むよ」

「はい! よろしくお願いします!」


 こうして、私は村の近郊の魔物を狩る条件で拠点を確保できたのだった。


今更ですがいいね、ありがございます。読んでいただいた皆様にも感謝申し上げます。

朝と夜、投稿するにはどちらの時間の方がいいんですかね。

よろしければ皆様のご意見をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ