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エンディング

 同日夜。湾岸公園。


 いつものゴザの両サイドに大吾と真守が胡坐で座っており、真ん中には少年が正座している。銀杏の木近くのベンチには雪火と亜希子とてももが腰掛けている。そして全員の手にはカレーが盛られた皿。勝利の美酒ならぬ、戦いの後の一杯である。


「なぁおまえ、またここに来るのか?」


 少年を挟んで向こうにいる真守に大吾が聞いた。


「まぁ今日はあんなことになったけどね」


 真守が軽く後ろに振り向きながら言う。


 火力発電所跡にはジオーの残骸が転がり、夜を徹しての撤去作業が続いている。また一ヶ月くらいは解体作業やら整地作業が続くだろう。


「僕たちの平和な時間を作るのを願うなら、やっぱり大吾には海兵隊のトップくらいにはなってもらわないと」


 真守はまだ大吾のスカウトは諦めていないらしい。


「今日は本当にイレギュラーだったからね。でもこれのおかげで自衛隊三軍の発言力は低下するのは目に見えているから、僕的にはちょっとやりやすくなるね。水上保安庁の設立もすぐに実現しそうだ」

「まだ作んのかよ!」


 保安庁なる組織がまだ増産されるのかと大吾は思わず全力で突っ込んでしまった。


「東京湾に水様性戦車怪人が沈んで、変な生き物がいっぱい出るようになったのは知ってるでしょ」

「ああ」

「それの専門駆逐組織だよ」

「そういうのは海自とか海保とか陸保の水上部隊とかそういうのに任せときゃ良いんじゃねえのか?」

「そうもいかないんだよ。それに今日倒したジオーみたいなのもあれで最後じゃないんだからね」

「マジか?」

「先進国と呼ばれる国は一国につき最低一体くらいはあんなのを作ってる」

「マジなのか?」

「僕たち一人一人が軍隊一軍と同戦力で、更に全員の力を合わせればダイセンシャオーと言うなんでも壊せる必殺兵器を使える。むしろこの国以外の国が脅威に感じているんじゃないのかな?」

「じゃあやっぱり俺たちを国家所属にするのはまずいんじゃないのか?」

「まぁそれとこれとも別問題だよ」


 真守はそう言うと「ごちそうさまでした」と言いながら立ち上がった。


「じゃあそろそろ帰るよ」

「そう? もうちょっとゆっくりしていけば良いじゃない? おかわりならあるわよ?」


 亜希子から声がかかった。もちろん本日のカレーも亜希子お手製のあのカレーである。


「うん、ありがとう。でも今度だね。こう見えても結構忙しい仕事に就いちゃったからね」


 真守は「また来るよ」と言い残して去っていった。


「じゃあそろそろあたしも帰るか。真守ほどじゃないけどあたしも忙しい仕事に就いちゃってるしね」


 食べ終えた雪火もマントをバサリと羽織なおしながら立ち上がった。彼女は悪の幹部のスーツでここに来ているのでずっとこの格好である。


「あたしもまた来るわ。真守とはまた別で大吾に用事もあるし」


 そういってマントを翻しながら去っていく。


「じゃあ私たちも帰るか」

「そうですわね、お店も開かないといけませんし」

「店開くつもりだったのかよ?」


 てももの言葉に大吾が思わず突っ込んだ。


「当たり前じゃない。私たちが救った世界は、ちゃんと私たちのお店が開いている世界。だったらそれをちゃんとやらなきゃね」

「そうですわ」


 そうして二人も別れの言葉を残して帰って行った。


「……」


 後にはこの公園を定宿にしている大吾と少年が残された。


「じゃあ僕もそろそろ帰ります」


 今日一日で様々なことが起こり、少年の頭の中にも様々な想いが巡った。


 なんだか自分みたいな人間がここにいて良いのかと少年は想い始めていた。


 ただの中学生でしかない自分がいても邪魔なだけではないのかと。


「……」


 少年は鞄を取り立ち上がる。


「……」


 このまま去ってしまえば、もう二度とここには来ないような気もする。


 それで良いのだろうかと思うけど、自分の気持ちがその方に流れていこうとしているのがわかる。


(これで、お別れなのか)


 少年が心の中で独語し覚悟を決めた時


「また来いよ」


 何気ない大吾の声が耳に届いた。


「……良いんですか?」


 思わず少年は訊いてしまう。


「良いも何も、おまえ戦車乗りになりたくてここを訪ねてきたんだろう? その夢を果たすまではとりあえず来やがれ」

「ほんとうにいいんですか!?」

「ああ、良いよ」


 少年は痛くなるほど頬を綻ばせると嬉しさのあまり全力で飛び出した。


「また来ます、師匠!」

「だから師匠じゃねえ!」



 ――おわり――

あとがき


 自分としては何らかの形で戦車を題材にした作品を作ってみたいなと思っていたのですが、まさかこんな形になってしまうとは思いませんでした(汗)

 戦車戦隊やら戦車妖精やらダイセンシャオーとか戦車剣とか色々を思いついた時点で「ヒドイハナシ」にしかならないのはほぼ確定していたと思うので、もう開き直って好き勝手書いてます(酷)


 一応灼熱の犬飼さんや他の話の前日譚ではあるのですが、このお話そのものを龍焔の機械神の作品群に入れてしまうのはちょっと抵抗があるので、ナンバリングは振らずに別物にしてあります(入れるんだったらもうちょっと書き直したい)


 次回からは新作の投稿になります。こちらは龍焔の機械神の作品ナンバーを振ってある作品です。

 翌日午前十一時投稿予定。

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