事件
大学が終わり、家でご飯を作るにも冷蔵庫は空っぽだったので近所のスーパーで買い出しをしようとスーパーに入る花。
かごをとると、目の前にいたのは‥
『あ、隼人.』
『花じゃん!お疲れー!何してるの?』
隼人は、ジャージ姿でリュックを背負っている。おそらく、サークルで陸上の練習帰りだろう。
『おつかれ。私は買い物だよ.夕ご飯食べようと思ったんだけど、冷蔵庫空っぽなんだよね。』
『へー。そうなんだ。‥んじゃごはんまだ?』
『ん?まだだけど‥』
『んじゃこれから一緒にご飯でも行かない?』
『あ‥うん。いいよ。』
隼人に誘われて行ったのは、隼人の好きなラーメン屋さんだった。
結構混んでいるので店の前で2人で並ぶ。
『ここ最近きてなかったからきたかったんだよね〜♪』
『隼人ここ好きだもんね』
『おう。やっぱり豚骨醤油かな』
『私は熟成醤油ラーメンかな。トッピングは味玉.』
『俺はネギ増しにさせようかな』
『そういえば、就活してるって聞いたよ。どう?進んでるの?』
『あーまあまあかな‥何社か落ちたけど』
『そうなんだ。やっぱり結構大変なんだね.』
『花は、どうすんの?附属病院に就職?』
『うん。その予定だよ。』
『そうかー。』
『隼人は薬剤師になるんじゃないの?』
『うーん、MRとか気になってるんだよね』
『え!MRって病院とかで営業する仕事だよね?お給料はいいって聞くけど、大変そうだ.』
『うん大変だと思うけど.やっぱり給料が良いし、企業で頑張りたいんだ.』
『そうなんだ‥お給料いい方が良いもんね』
『うん。そのほうが将来誰かを養えて、いいだろ?』
『確かにね』
『‥最近はどうなの?』
『どうとは?』
『えっと、ヒラマサとか仲良くしてるのか?この前2人で帰ってただろ。』
『あー、でもヒラマサ忙しいみたいであれ以降特に会ったりしてないよ。ご飯行こうねって話してはいるんだけどね』
『へー‥そうなんだ』
『隼人は?なんかいい人いないの?』
『いないねー』
『そうなの?あれは、一年の後輩の‥美玖ちゃんだっけ?』
『‥なし。』
『あ、そうなんだ?付き合ってないの?』
『ないよ。』
『へー‥』
『‥花は、ヒラマサのこと好きだろ?』
『え?何急に』
『いや好きそうにみえる』
『どうでしょうね‥あはは』
『‥別にいいよー.教えてもらわなくても大体わかるから。花はわかりやすいからな.』
『そ、そんことないし!』
すると、列が進みお店の中へ入れた。
2人でラーメンを食べて、そのま帰ることになった.
花の寮の前まで送って行き、そこで別れた。
『花の寮と俺のアパートめちゃ近いしまた会うかもな!』
『そうだね。スーパーも一緒だしね。』
『またご飯行こうぜ、話聞くから』
『うん。いいよ。ありがとう』
『んじゃ!またなー!』
電柱の影からそんな2人を見ている人影。
ゆっくり消えていった。
1週間後、花はヒラマサと連絡を取り合い今晩二人で食事に行く約束をした。
楽しみだな‥ヒラマサと2人でご飯なんて‥高校生の時にカフェでランチしたぶりだよ。
何食べようかな‥。
『花、なんか機嫌いいね』
『うん、まあね〜』
『ヒラマサとご飯でも行くの?』
『あのイケメンくんやな!』
『な、なんでわかったの?』
『大体わかるわよあんたの顔見てたら』
『うそ‥そんなにわかりやすい?』
『花ちゃんすぐ顔に出るもん』
由奈と和佐と話していると、1人の女の子が声をかけてきた。メガネとマスクをしているせいで顔がよく見えない。
『‥あの。隣の席いいですか?』
『はい.どうぞ.』
そういうと彼女は花の隣の席に座った。
花は、講義の準備をするために参考書やタブレットなどを用意する。
講義が始まる時間になり、教授が入ってきた。
けど、花は横に座ってる見慣れない顔が気になってしまい、はてなマークを浮かべている。
誰だろう‥こんな子いたかな?
すると隣に座っている女の子は、髪をそっと耳にかけた。
するとピアスがきらりと光って見えた。
ハート型のシルバーの小さなピアス。
つけるとこがハートになっており、下に小さなビジュがついており揺れる仕様になっている。
見覚えのあるピアスだ。
‥あ、私も一緒のやつ持ってる。
一昨年に隼人とクリスマスマーケットに行った時に購入したものだった。
なんとなく嫌な予感がした。
そっと目を逸らす。
そういえばあのピアスどこやっただろ。
‥隼人の家に忘れてきた気がする。
別れた話をした日に、つけて行って、そのまま別れ話になったから寝る時に外してベッドの枕元に置いてそのままつけるの忘れて帰ってしまった。
‥まさか同じもの?
『ねえ、花さん。』
ドキッ‥
隣の女の子が声をかけてきた。
『このピアス見覚えないですか?』
『え‥あ‥そ、そういえば私も同じやつ持ってますね』
『そうですか。奇遇ですね。私、彼氏にもらったんですよ。』
『へー‥そうなんですね』
『‥』
『‥』
え、なになに?誰?この人誰?
全く同じものを彼氏にもらった可能性もなきしもあらずだよね。で、この人誰?
『あの、失礼ですけどお名前は?』
『‥美玖です。橋添美玖。』
ピンときた。隼人の陸上部のマネージャーだ!
そして、隼人のことが好きな女の子だ。
え、どういうこと?隼人からもらったってこと?
隼人は付き合ってないって言ってたけど‥
ど、どういうこと?
『隼人先輩と別れて一年ぐらい経ちましたよね。』
『そ、そうですね‥』
『私もです』
『‥え?』
花の横にいる和紗が異変に気付いた。
花の腕を引っ張って、花の耳元でぼそっと呟く
『やばいやつだよ。こいつ。いったん席から離れたほうがいい。』
『‥え?』
『このピアス。実は隼人先輩からもらったって嘘なんですよ。部屋に転がってたからぶんどってきました。』
『‥えっと』
『大好きな人と2人でベッドで寝た後に枕元に元カノの形跡があったら不愉快でしょ?そのうえ、それを大事にとってるなんてキモくないですか?』
『えっと‥』
横にいる由奈ちゃんもその事態に気付き、ドン引きで固まっている。
『なんでこんなものがあると思います?別れてたはずなのに‥』
『‥忘れてたの、取りに行くのも面倒で捨てて欲しいってお願いしてたんだけど.不快な思いさせてごめんね。』
『‥は?』
すると、隣の席にいる美玖ちゃんは花の顔を覗き込むように顔を見つめる。
『綺麗で可愛い顔しちゃって‥お肌も綺麗ですね。お目目も大きくてまつ毛も長くてお人形さんみたい。』
『えっと‥』
『澄ました顔して、もう隼人には興味ないふりしてるくせにちゃっかり2人でご飯行ってるんだー?1週間前にラーメン屋さん行ってましたよね?そんで今日はまた別の男とデート?股ゆるくないですか?男遊び激しいんですね?』
『‥ご、ごめん』
『ちょっと‥あんた、さっきから何言ってんの?』
和紗がキレ始めてる。
その瞬間だった。
『あんたみたいなクソ女⚪︎ねばいいんだよ!!!!!』
講義室全体に響き渡るような大きな声で叫びながら、美玖ちゃんがポケットから取り出したのは刃渡り10cmほどのフルーツナイフだった。
そして、講義室に血飛沫が広がった。




