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予期せぬ

肌寒くなってきた。10月。

隼人と別れて1ヶ月が経過した。


実習準備も兼ねて大学の自習室で勉強している。和紗と由奈もいる。


『はぁ‥眠い‥』

『最近、花ずっと眠そうだよね。ちゃんと寝てるの?』

『冬眠期にでも入るんちゃう?』

『私は蛙か?』

『寝不足なんちゃう?最近勉強頑張ってるもんな。無理したらあかんよ。花ちゃん。』

『ありがとう、由奈ちゃん。割と寝てるんだけどね、あんまり体調良くなくて‥』

『病院行った?』

『うーんん。行ってない。』

『行った方がいいんちゃう?』

『でも、別にこれと言って決定打があるわけじゃないから。なんとなくだるいって感じで。』

『ふーん‥無理しないで休みなよ。』

『ありがとう』

『花ちゃん。これ食べる?美味しいよ〜』

『ありがとう〜いただきます〜』


由奈が差し出したスナック菓子を口に入れようとした瞬間。

お菓子の脂の匂いが鼻に触れたその瞬間、強い吐き気と眩暈が出てきた。


『うっ‥』

『花ちゃん?』

『ご、ごめん‥』


そのまま口を抑えてトイレまで走って行った。

そのまま嘔吐した。

全身から冷や汗が出る。


『何か変なものでも食べたかな‥』


トイレからゆっくり出ると。和紗と由奈が待っていた。


『大丈夫?花ちゃんごめんな。私のせいで、賞味期限過ぎてないしさっき開封したところやから傷んでた訳じゃないと思うねんけど‥』

『いや、違う違う。最近胃の調子も悪くて‥心配かけてごめんね。』

『今日はもう家帰り』

『うん‥』

『‥花。最後に生理来たのいつ?』

『え‥』


和紗が真剣な表情で聞いてきた。


『そういえば、もう2ヶ月くらい来てないかも』

『‥!!』

『え、それって‥』

『ドラッグストアかコンビニに行けばあるんじゃない?検査薬。』

『そやな。買いに行こう。』

『‥、、』


和紗がドラッグストアまで走って検査薬を買ってきてくれた。

そのまま3人で一人暮らししてる和紗の家に行った。結果はすぐに出た。陽性だ。


『‥すぐ産婦人科に行った方がいい』

『うん‥』

『‥相手は西岡くんか?』

『うん、それしか考えられない‥』

『なら、西岡にもすぐ伝えなさい。』

『まだこれだけじゃ確定診断にならないよ。産婦人科に行って、ちゃんと診断されないと言えない。』

『‥言えるんか?』

『‥』

『ちゃんと言いなさい。』

『分かってるよ』


実家のベッドに寝転がって天井を見上げる。

明日、夕方から産婦人科の診察予約をとった。

産婦人科は基本的にすぐに予約が取れないらしく、1週間以上先になりそうだったが、事情を説明すると明日くるようにと急遽枠を空けてくれたみたいだ。

お腹は痛くない。

いつもと違うところなんて少し眠いくらいだ。


和紗に言われたことを思い出す。


隼人に言わないと‥。


隼人に言われたことを思い出す。 


迷惑かな‥もう会うつもりないって言ってたし、会ってくれるだろうか、連絡とって返事してくれるのかな‥。

本当に大丈夫かな。不安が加速する。

とりあえず、隼人に連絡した。


《話したいことがあります。明日10時に、駅前の公園で会えませんか?》


ピロロン♪

夜中に誰かから連絡が来た。


『‥花からか。』


ベランダで椅子に座ってスマホを触る隼人。

片手には缶チューハイを持っている。

花からの連絡を黙って見つめている。

ガラッとベランダのドアが開く。

そこには、薄手のショートパンツとタンクトップを着ている美久がいた。


『隼人先輩、何してるんですか?シャワー浴びましたよ♪』

『‥別に何もないよ』


そのまま立ち上がると、隼人は部屋の中に入った。


『‥メールに返信しなくていいんですか?元カノさんでしょ?』

『いいよ。今日はもう寝るわ。』

『えー!つまんない!一緒に寝ましょうよ』

『狭い。ベッドで寝ていいから.俺はソファで寝る。』

『えー感じ悪い〜。』


電気を消して毛布にくるまって目を瞑った。

明日、花と会うのか‥話すのなんて1ヶ月ぶりかな。


次の日.公園で待っていると、約束の時間に隼人がやってきた。

不機嫌そうな表情で花に近づいてくる。


『‥話って何?』

『ひ、ひさしぶり。元気?』

『うん、別に普通』

『そう、普通ならそれが1番だよね!』

『話って何?』

『えっと‥この前、カッとなって叩いてごめんなさい』

『別に、俺も言い過ぎたから‥』

『隼人はもう私のこと好きじゃないんだよね。』

『‥うん。もう好きじゃない。』

『‥』

『‥好きじゃないからもう2人では会いたくない。』

『‥そうだよね』

『伝えたいことってそれだけ?んじゃもう帰っていい?俺、この後用事あるんだよね。早く行かなきゃいけないし、もういい?』

『‥あの、』

『‥俺のこと忘れてくれていいから。んじゃ』

『えっ‥ちょっと、まって‥!!』


そのまま隼人は、去って行ってしまった。

言えなかった。


もう好きじゃない人からこんなこと打ち明けられても、嫌な気持ちになるだけだろう。


それに、最近は大学内でもあの陸上部のマネージャーの女の子と一緒にいるところをよく見る。別れる時に他に好きな子がいるって言ってた.きっとあの子だろう。

もう付き合ってるのかな.


んじゃ、もうやめよう。

新しく彼女がいるのに、元カノに妊娠したとか言われたら、隼人も私も辛くなるだけだ。


そのまま家に帰る途中に産婦人科を受診すると妊娠していることを告げられた。

頭が真っ白になった。

しかし、異所性妊娠であった為、正常妊娠とは異なり、すぐに手術してとれば大事には至らないと言われた。

現在妊娠8週であり、すぐに手術をしないと大量出血のリスクがあるため3日後に手術となった。


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