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隼人の気持ち

『はあああ!?!?!?』


和紗の声が教室に響き渡る。


『まあ、そういうことなので‥』

『いやいやいや待て待て!!!!』

『落ち着いて!和紗ちゃん!てか、あんなに仲良かったのになにがあったん!?どっちから!?』

『もういいの、他に好きな人ができたから別れて欲しいって言われたの。』


『えええええー!?!?』


今度は、杏奈と和紗の声が響き渡る。



『あいつ何考えてんの!』

『知らない』

『直接聞きに行こう!』

『だめ!!絶対やめてよ!!私が悪いの!!』

『‥そうなの?』

『私が悪いからもういいの。』

『指輪は‥?』

『ちゃんと返したよ』

『‥』

『大丈夫か?花ちゃん。』

『ありがとう由奈ちゃん。私は意外と大丈夫だよ。』

『ならええけど‥』


すると、西岡が教室に入ってきた。


友達といつも通り仲良さそうに話している。

笑顔でいつも通りだ。

もう切り替えてるんだ。

引きずってるの私だけか‥。

ちょっとショック。


『‥話聞いてこようか?』

『いいよ。ほんとに。しばらくそっとしててほしい。』

『‥分かった。』


そのまま、和紗と由奈は目を合わせて静かに席に座った。

むしゃくしゃする。気持ちの切り替えができない。

モヤモヤした気持ちのまま1週間が経過した。

このままじゃダメだと思い、思い切って美容院を予約した。

次の日‥


『いやーん!花ちゃんボブヘアになっとるやん!可愛い!よく似合ってるやん!』

『えへへ。ほんと?』

『めちゃ可愛いわ!』

『花、切ったの?』

『うん!実習も始まるし、さっぱりしてきた!』

『めちゃ似合ってる!』

『ありがとう!‥私、気持ちの切り替えとかあんまり上手くなくて、髪の毛切ったら気持ち切り替わるかなって思って思い切って切ってみた!!小学先ぶりのショートヘアだよ。』

『‥そっか!良いじゃん!切り替えられそ?』

『うん!なんかスッキリしたんだよね!』

『なら、よかった!』


その様子を教室の隅っこから見つめる。

西岡。頭をぽりぽりかいている。


『隼人〜!お前、佑々木と別れたってマジ?』

『え?ああ‥本当だよ』

『まじで?結構長かったよな?』

『うん‥まあ、』

『へーだから佑々木髪切ったの?』

『それは知らない』

『ふーん‥んじゃさ、合コンでもする?』

『お前さ、春から病棟実習なのによくそんなこと言えるな?』

『失恋には新しい恋が一番効くんだぜ?』

『‥当分恋愛はいいわ』

『えー残念。』


またチラッと花を見つめる西岡。

名残惜しそうに大きなため息をついた。


佑々木と西岡が別れた噂は一瞬で広まった。


そして、彼の耳にも。


『あ!将生!お疲れ!』

『ああ、寺倉か。お疲れ。』

『そういえば知ってる?』

『何を?』

『佑々木さんと西岡別れたらしいよ!』

『‥は?』

『知らなかったんだ!僕も最近、和紗に聞いたんだよ。』

『えっ‥え、え?なんで?なんで別れたの?』

『いやよく分かんないけど、佑々木さんがフラれたらしいよ。失恋したせいかロングヘアをバッサリ切ってショートにしたらしい。』

『‥は?え、は?』

『よく知らないけどね、本人たちに聞いたわけじゃないから。でも、朗報かな?と思って早く言わなきゃーって思ったんだよね!』

『‥今日って午後から講義ないよな』

『ん?そうなの?』

『‥帰るわ。』

『え?』

『もう講義ないし帰る。』

『ええ!?』


そのままヒラマサは、大学を出て。

花たちの紫翠大学のキャンパスへ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一方。

花たちのいる紫翠大学キャンパス内。

帰る支度をしている西岡に和紗が声をかけた。


『やっほー西岡。んで、もう帰んの?』

『‥まあ、講義終わったんで』

『ふーん、このあと用事あるの?』

『ないです‥』

『んじゃちょっと話さない?』

『‥』

『大学内のカフェで少し話すだけ15分でいいわ』

『‥どうせ拒否権なんかないんだろ』

『分かってるなら話が早い』


そしてカフェで少し話した。

というか起こったことと思ってたことを西岡は全て洗いざらい和紗に話した。

花のことがずっと好きだったけど、ヒラマサの影がちらついていた。

連絡を取ってるところをみると不快になることを何度か注意したら、連絡する頻度は減ったがなくなることはなく、隠されるようになった。

花は一見すると隼人と仲良しそうに見えるも、内心はヒラマサに心があるように見えて不安な気持ちが拭えずずっとしんどかった。このまま気づかないふりをして付き合い続けて結婚することも考えたが、花とヒラマサのことを考えると身を引くのが良いと思った。花に下手に引き止められないようにわざときつい言葉で傷つけて別れたと‥。


『はぁー‥なるほどね。』

『‥』

『あんたも馬鹿ね』

『なんだよ』

『最初からわかってたでしょ。こうなることぐらい。付き合いのきっかけもほぼ賭けみたいなもんじゃん?』

『分かってるよ。』

『ここまで来たら最後まで騙し騙しで結婚までしちゃえば良かったのに。花はあんたと結婚するつもりだったんだよ。』

『‥このまま結婚したら後悔するだろ。』

『ヒラマサのことが好きな花を近くで見続けるのが嫌になっちゃったってことでしょ?』

『付き合ってるのに両思いじゃないだろ。それが嫌なんだよ。』

『私には両思いに見えたけどね‥』

『花は誰と付き合ってもそれっぽく過ごせるよ』

『そうかしら‥』

『そうだよ。』

『それで頬が赤く腫れてるのはビンタでもされたの〜あっはははは!』

『‥まあ、ちょっと』

『‥え、ほんと?』

『ほんと』

『花って怒るんだ‥!!そんな感情的に怒ってるとこあんまり見たことないよ?』

『俺もなかった。あんなに怒ると思わなかった。』

『‥あんた、何言ったのよ。』

『別に‥なんでも良いだろ』

『はぁーそんで、他に好きな人って誰よ?』

『‥そんな奴いるわけないだろ』

『だと思った。そんな嘘すぐバレるわよ』

『バレないよ。もう花と話すつもりないし』

『このまま喧嘩別れでいいの?』

『下手に情を残して、未練たらたらよりそっちのが良いし、存分に嫌いになってもらった方が気持ちも楽だろ』

『ふーん‥西岡と別れたからって花がヒラマサと付き合えるとは限らないんだよ。』

『別に』

『またクソ男に捕まるかも?』

『それは、花が自衛しなきゃだめだろ。そもそもガードがゆるいし危機管理が無さすぎる。』

『それは実体験からのセリフ?』

『うるさい。それに、友達なら和紗が止めてやれよ。』

『止めれたらね。あの子、意外と頑固だから。』

『‥それはそう』

『んじゃもうみんなで飲みに行けなくなるのか残念。』

『‥別に2人きりじゃなければ友達として付き合いは続けるつもりだし』

『んじゃ喧嘩別れなんてしないでよー』

『‥ごめんって』

『まあいいや、西岡も自暴自棄になって変な地雷女と付き合うとかしないでねー』

『するか。』

『んじゃ時間作ってくれてありがとね。』

『おう、』

『見舞金としてコーヒー代は奢ってあげる』

『それはどうも』


そのまま和紗は、ひらひらて手を振ってさっていった。

西岡は、その姿を見送ると、ポケットから指輪を取り出した。花が置いていったやつだ。


『はぁ‥惜しいことしたかな。』


涙が少し溢れた。

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