浮気?
陸上部サークルでの活動後.みんなでご飯を食べに行くことになった西岡。
部員のみんなで居酒屋でワイワイ飲んでいる。
月に一度はこういう感じで部員みんなでお酒を飲みながらワイワイ話すのが楽しみだ。
『西岡先輩!』
『あ、美久ちゃん。どうしたの?』
『いえ!特に用事はないです、西岡先輩の隣に座りたくて!』
『あ‥そうなんだ』
彼女の名前は、橋添美玖。隼人の後輩で陸上サークルのマネージャーをしている。
長い黒髪をゆる巻いており、いつもピンクやふわふわしたセーターなど女の子らしい格好をしている。
西岡隼人を気に入ってるらしく、サークル活動中も飲み会でもこうやって隼人に絡みにくる。
その姿を見てみんながいじってくるのだが、それを美久ちゃんは満足そうにしている。
隼人は不服そうだ。
『おおー!美久ちゃん積極的だねー』
『あれ?西岡くん彼女いたよね?』
『ちょっと美久ちゃん.困るよ‥みんなに誤解させちゃうし』
『隣に座るだけです』
『え?』
『頻回に連絡もしません.今ここで隣に座るだけです.良いですよね?』
『‥』
『‥彼女さん.西岡先輩のこと不安な思いをさせるだけさせて、自分だけ不安もなく西岡先輩を独り占めするなんてずるいです。今ここで私が隣に座るくらいなら、バチは当たりませんよね?』
上目遣いで西岡のことをジーと見つめる美久ちゃん。隼人はたじたじだ。
意外と推しに弱いのだ、この男。
『‥はぁ。仕方ないな。』
『やった!西岡先輩!はい!どうぞ!お酌します!』
『いやいや、俺そんなお酒強くないって。あんまりベタベタされるのも困る.』
『彼女さんにヤキモチ妬かせませんか?』
『え?』
『‥嫉妬する姿見たくないですか?』
『‥ちょっと見たいかも』
『んじゃ良いですね♪』
そのあとも、美久は隼人の隣を離れずにずっとそこで楽しくおしゃべりしていた。
2人で写真を撮ったりしたものの抱きついたり、手を握ったりなどの過度なスキンシップはなかったので隼人も黙って見守っていた。
隼人がトイレに行っていると、部長さんがやってきた。
『おー、隼人.』
『あ、部長さん.』
『お前、大丈夫か?美久ちゃん。あの子ベタベタだろ?』
『あーまあ‥けど、そんな過度にベタベタされてるわけじゃないので大丈夫ですよ』
『花ちゃんに怒られない?』
『‥いや、花はあんなんじゃ怒んないですよ。』
『そうなの?』
『はい。あーみえて結構冷めてるんで』
『ほんと?そんなふうに見えないな』
『今までも嫉妬とかヤキモチ妬いてるとこ見たことないです‥』
『へー‥顔に出ないタイプとかじゃなくて?』
『眼中にないんじゃないですか?俺が』
『お前、ネガティヴだなー。』
『付き合ったのも、花がずっと片想いしてた人にフラれて悲しんでるとこでめっちゃ優しくしたんですよ.そしたらいけました。』
『お前‥意外と策士?やるなー!』
『あの場で優しくしたのが俺じゃなくても花は付き合ってますよ。その場のノリみたいなとこもめちゃくちゃあったので。』
『ふーん.まあでも、きっかけが何であれ。花ちゃんはきっと隼人のこと好きだと思うよ。見ててわかる!』
『‥そうですか?』
『うん。練習中ずっと『かっこいいー!』って顔して見てたよ.お前のこと。』
『‥ちょっと自信つきます』
『だから、あんまり彼女を不安にさせるようなことすんなよ.』
『‥はい。すみません。』
『まあ、今のところみんな美久ちゃんがまたやってんなーって感じで見守ってるから良いけどさ.これ以上踏み込まれると面倒なことになるぞ?』
『はい。すみません。気をつけます。』
ーーーーーー3日後ーーーーーーーーー
大学の講義室にて、由奈ちゃんが隣に座って休み時間にスマホを触っている。花もぼーっと参考書を開いて読んでいる.
『あ、花ちゃん花ちゃん、これって西岡くんちゃう?』
『ん?なにが?』
由奈ちゃんにスマホの画面を見せられると、隼人の腕にピッタリひっついて可愛らしい雰囲気の女の子が笑顔で写真を撮っている。
隼人は、苦笑いをしていた。
『あー‥隼人だね』
『浮気現場発覚やな!スクショしといたし、これ西岡くんに突き出してフルボッコにしとき!』
『乱暴だなぁ由奈ちゃん。てか、これどこから手に入れたの?』
『ムンスタグラムやで。あげてる子はmikuって書いてある.』
『美久‥もしかして、この前見た.陸上サークルのマネージャーの女の子じゃない?』
『あーあの子か』
『‥別に良いけど.』
『ええの?』
『隼人も鼻の下伸ばしてバカだね。』
『お?やきもちやいてんの?』
『別にー!なんともないよ!』
『えー?』
そのまま講義が始まったので、大人しく講義を受けることにした。
チラッと隼人の方を見ると、いつもと変わらず講義を真面目に受けている。
気にすることじゃないかな‥。
休み時間になり、和紗も合流し由奈ちゃんと3人で食堂へ行くことに。
隼人をチラッと見るも、そのまま友達と一緒に教室を出て行ってしまった.
飲み会から3日後‥隼人と話してない。
なんか避けられてるような気もする。
なんか嫌な感じ。
授業が終わって、今日の講義は全て終わった。
今がチャンス‥!!
『ねえ、隼人.』
『ん?花、どうした?』
『あーいや、最近話してないなーと思って.』
『あ、そうだったかなー?』
視線が合わずなぜかよそよそしい。
‥浮気してる?
『ねえ。何か私悪いことした?怒ってる?』
『いや別に怒ってないよ.いつも通りだって.』
『んじゃいつも挨拶してくれるのになんで声かけてくれないの?』
『花だって、3日間話しかけてこなかったじゃん?』
『だから今こうして話しかけてるんじゃない』
『‥別に怒ってないし、いつも通りだよ.んじゃ、俺。陸上の練習あるから。』
『ちょっと‥』
そのまま隼人は逃げるように教室から出ていった。
なにあの態度‥絶対何か隠してる‥!!
許せない‥浮気?
隼人ver.
やばい‥美久ちゃんがあのツーショットの写真をムンスタに載せるとは思わなかった。
普通に写真撮るだけっていうから撮ったのに‥あんなに顔をくっつけてツーショット撮るなんて思わなかったし、しかもSNSに載せるなんて‥最悪だ。
めちゃくちゃ浮気現場みたいになってる.そのあと、酔っ払った美久ちゃんはどんどんスキンシップが激しくなり、抱きついてきたところで部長や他のマネージャーに剥がされてた。
最悪だ。花が見たら嫌な気持ちにさせてしまってただろう。
気まずすぎてなんか避けちゃう。
向こうも何か察して怒ってるし‥どうしよう。
あっちから切り出されたら、何かと言い訳できるけど、こっちからペラペラと聞かれてもない写真の真相をは話すのも違うしな‥。
というか、ヤキモチ妬かせるためにわざと美久ちゃんにのっかちゃったとこもあるし‥。
最悪だ.こんなことしなきゃ良かった.
逃げるように講義室を出て練習場へ行く。
『西岡先輩!』
『ビクッ!!‥あ、美久ちゃん。』
『お疲れ様です!』
『あ、うん.お疲れ様。』
『‥あの、この前の飲み会すみませんでした!』
『あ‥うん。まあ、俺も止めなかったし‥』
『私、後半ほとんど覚えてなくて‥お酒に飲まれてました。変なことしてたみたいで本当にごめんなさい!』
『覚えてないの?』
『はい!ただ、マネの先輩から大変なことしてたって注意されて、すみません!』
『あー‥うん。まあ、気をつけてくれたらいいよ。あ、あと。』
『はい!なんですか?』
‥ムンスタグラムに載せた写真消してって言おうと思ったけど、正直今更だよな‥。
『あー‥いや、なんでもないよ』
『??‥わかりました!』
『‥うん。まあ、練習頑張ろうね.』
『西岡先輩』
『ん?』
『私、西岡先輩が好きなんです。』
『あ、うん。でも、俺彼女いるから‥』
『分かってます!けど、好きなので、』
『うん‥』
『別れるまで待ちますね?』
『はい?』
『花先輩と別れたら、次は私と付き合ってくださいね?』
『‥あ、まあ、別れたらね?もしも別れたら、考えとくわ。今のところその予定はないけど』
『やったー!!待ってますね!』
‥やばい女だ。
よく分からない約束をしてしまった。
まあ、別れる気はさらさらないけど。
とりあえず美久ちゃんとはしばらく距離を置こう。部長にも助けてもらおう‥。
『俺は助けないぞー』
『部長!?いつからそこに!?てか、なんで!心の声漏れてますか?』
『俺に助けてもらおうとか思ってただろ。』
『うっ‥』
『あーゆうのはお前からはっきり断らないと効果ないぞ.すでにマネリーダー鬼の柏木からがっつり注意受けてるのに当の本人はあのお調子者具合だ.』
『あー‥』
『俺が何しても無駄だよ。』
『そうですね.次ははっきり断ります.』
『そうだ、彼女から怒られなかった?』
『‥まだ怒られてないですね』
『写真回ってるけど見てないのかな?』
『あの美久ちゃんがムンスタにあげてるやつですよね?』
『‥違うぞ。』
『へ?』
その瞬間同じ部の三年の田中が駆け寄ってきて肩を組んできた.
『おーい!西岡みたぞ!可愛い彼女いるのに、2年も入れ食いか?羨ましすぎる!』
『ちょっと、なんの話だよ!』
『え、何お前知らないの?』
『これだよ。見てないのか?』
部長が見せてきたのは、美久ちゃんが西岡の上に馬乗りになって思いっきり抱きついてる写真だった。西岡の顔は映っておらず、表情がわからないが、花からもらったセミオーダーの名前入り腕時計をつけてるのですぐに自分だとバレる。
《2年マネが酔っ払って彼女持ち3年のに抱きついてて笑うw浮気現場www彼女さんまで届けー!!見てますかー?》
と題名がついてる。
『なっ‥なんですか!これ!!』
『知らないのか?このあと、すぐに俺とマネで引き剥がしたけど、この瞬間に面白がって写真に撮ってたやつがいたんだよ。』
『はぁ!?』
『俺じゃないぜ?』
『当たり前に俺でもない。』
『知ってます!けど、この題名悪意があります!』
『俺も次の日に見つけてその部員に削除するように注意したんだ。酔っ払った勢いで面白くてやったとか言ってて、投稿主はもう削除してるけど、閲覧数がかなり多くて、写真だけで大学の裏サイトに上がってたりするらしい。そこまではちょっと対応できなくて、この写真は隼人も顔が写ってないし、美久ちゃんも裏サイトに上がってるやつはモザイクかけられてたよ。』
『‥最悪だ』
『彼女に知れるのも時間の問題だぞ』
『最悪すぎる。』
『今のうちに謝っておくか?』
『‥どうすればいいんだ。』
『謝りなさい』
『‥そうですね、そうします。』
『あと、美久ちゃんとはもう距離を置きなさい.』
『はい.そのつもりです‥部の風紀を乱してすみません.』
『‥まあ、それは良いけど』
『先輩も柏木さんと一年の後輩を二股かけてて、柏木さんに全員の前で土下座させられてましたもんね!人のこと言えないッス、』
『いうな!』
『‥そんなことがあったんですね』
『西岡もなんだその目は!お前は俺と同罪だぞ!』
『あ、はい、』
『そのチベットスナギツネみたいな目をやめろ!』
ーーーーーー。一方その頃。ーーーーーーー
『‥』
『‥』
『‥』
一方その頃、花と和紗と由奈は同じ学部の女子生徒から裏サイトに上がった浮気写真を見せられていた。
『‥とっつかまえて坊主にでもするか?』
『和紗ちゃん落ち着けー!それただの傷害事件だからー!』
『‥花、大丈夫?』
『‥隼人のバカ.』
そういうと.花はバッグを持ってひとりで大学を飛び出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
練習が終わり、トボトボと家に帰る隼人。
明日、朝イチで花に謝ろう。
そして、誤解であることを伝えよう‥!!
アパートの前まで着くと、アパートの玄関に見覚えのある女の子が立っている。
『は、花!!なにしてんの!?』
『‥そっちこそこんな夜遅くまで何してたの?』
『陸上の練習だよ‥』
『こんな夜遅くまで?あの、例の美久ちゃんってことイチャイチャしてたんじゃないの?』
『‥!やっぱり見たのか!』
『やっぱりって何?いやでも目に入るに決まってるでしょ。あんなの裏サイトに上げられて恥ずかしくないわけ?』
『‥ごめん。』
『飲み会で、しかもお酒のノリで女の子と抱き合うなんてありえない!』
『本当にすみません。』
『‥言い訳ぐらいしなさい!』
『え?』
『謝罪以外に何か言うことないの?あれは、向こうが一方的にしてきたこととか!嫌だってやめてくれって言ったけど、やめてくれなかったとか!周りのノリで断れなかったとか!不可抗力だった言い訳の一つぐらいないの!?』
『‥!!、そ、そうだよ!!その通りだよ!不可抗力だったんだよ!』
『んじゃ早くそう言って!!』
『ごめんなさい!!』
そのまま黙り込む二人。
『ママーーみて。あのひとたち!』
『だめよ。みちゃいけません。』
『ダンジョカンケイのもつれ?』
『だからやめなさいってば!』
親子が通りかかって、チラチラと通行人の人が花と隼人を見ている。
『花‥いつからここで待ってたんだよ』
『‥18時に大学出てそれからずっとここにいたけど。』
『今、21時前だぞ!?』
『隼人が悪いんでしょ.なんの弁明もなくあの写真だけ回ってきて、すごい嫌だったんだけど』
『‥すみませんでした。家入って行く?』
『‥お腹すいた。あと、トイレ貸して.』
『はい。』
そのまま家の中に入る。
花は、入るなりトイレを済ませると、ビーズクッションの上に座って、丸くなった。
猫みたいだな‥。
隼人は、花を怒らせないようにするために、鍋焼きうどんを作り始めた。
すると、ふらふらと立ち上がって花が近づいつきて、後ろからぎゅっと抱きしめてきた。
『ねえ、隼人.』
『‥はい』
甘えてる‥可愛い。けど、今そんなこといったら怒られそうだ。
『美久ちゃんとは、どういう関係?』
『‥ただのマネージャーと選手だよ』
『んじゃなんで抱き合ってたの?』
『あの子が酔っ払って抱きついてきたんだよ。酒癖があんまり良くないみたいでさ、あのあとすぐに他の先輩が引き剥がしてくれて、離れて座ったし.そのまま何もなく帰ったよ。』
『本当に?』
『本当。』
『‥そう。』
『ねえ、花.』
『何?』
『もしかしてだけどさ‥妬いてる?』
『‥!!!』
『花さん?』
『うるさい。』
『えー‥妬いてないの?』
『妬かせたくてあんなことしたの?』
『‥いや別に』
『もういい!サイテー!』
『いやいや、違うって!花が可愛いって言う話だよ!』
『意味わかんない。可愛いって言っとけば何でも許してもらえると思ってるの?』
『違うよ。本当に‥ただ、嫉妬してくれたりしたら嬉しいなと‥』
『‥何言ってるの?』
『花だっていつもヒラマサと連絡取り合ってるだろ.』
『なんでこのタイミングでヒラマサが出てくるの?』
『‥もういいよ。』
『‥わかった!もうヒラマサと連絡しないよ!私からはもう連絡しない!』
『本当?』
『ほんと‥ただみんなで会ったりする時もあるから連絡先消したりはちょっとできない』
『そこまでは別に求めてないよ』
『隼人も』
『ん?』
『もう美久ちゃんとベタベタしないでね?』
『‥うん。不安にさせるようなことしないよ。』
『約束だから!』
『うん。』
すると、花は安心したのかそのまま笑顔でくるっと向きを変えてテーブルの方へ行った。
許してくれた‥。
『はい。おまたせしました。』
『美味しそう!隼人の鍋焼きうどん大好き!』
『それはどーも』
『いただきます!』
美味しそうにパクパクうどんをすする花.
『ねえ、花.』
『ん?』
『やっぱりさ、妬いてた?』
『何回同じこと聞くの?』
『‥いや、ごめん。嬉しくて‥喜びに浸らせてほしい。』
『私が嫌な気持ちになるのが嬉しいの?』
『違うって!本当に俺のこと好きなんだなって思ってさ、嬉しいの。』
『当たり前でしょ.いつも言ってるじゃない.』
『そうだね。ごめんごめん。』
『‥隼人のかまぼこ貰うから』
『はいどうぞ.』
そのあとも2人で楽しくうどんを食べてそのまま布団で眠りについた。




