シャットダウン
大学やテレビのニュースでの報道を見て大学内はその話題でももちきりだった。
今も花の横でそのネットニュースの記事を読みながら怒りを滲ませてふるふる震えている男がいた。
『本当、クソ野郎だな‥花、大丈夫か?』
『ありがとう隼人。私は大丈夫。』
『何かあったらすぐに言えよ』
『うん。』
大学内はしばらく千葉先輩達の話題で持ちきりだった。軽音サークルはヤリサーだのろくでもない噂と同時に広まった。
そして、和紗や由奈ちゃんもかなり怒っている。
『ほんと最悪あの、カス野郎!』
『ほんまやな。まじで勘弁してほしい。』
『何より、本当に被害にあった子がいるのが辛いよね‥可哀想。』
私も被害に遭っていてもおかしくなかった。
キスされるのとジュースを渡されるのと、順番が違ってたら何の疑いもなくジュースを飲んでたかもしれない。
そしたら‥考えるだけで恐ろしい。
大学内はその話題で持ちきりだった。
大学の外にはマスコミが常に張り付いており、出入りするたびにマスコミに囲まれて質問攻めにされてしまう。
余計なことを思い出させないようにと、隼人が送り迎えをしてくれている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方。帝都大学では‥。
寺倉はヒラマサの方へ走っていた。
‥やばい。これはやばい。
『将生!いたーー!!ねえねえ!テレビ見た?』
ヒラマサを見つけると、勢いよく声をかけた。
ヒラマサはなんのことか分かってる様子で顔色を変えないが少し焦ってる様子がうかがえた。
『みた。』
『もう紫翠大学周辺がマスコミだらけらしいよ!和紗が言ってた。』
『やっぱりか‥軽音サークルって佑々木たちがいるとこだっただろ?大丈夫なのかな』
『いや、活動停止だってさ、実質解散みたいなもんらしいよ。』
『‥そっか。佑々木‥大丈夫かな。電話してみようかな。心配だ。』
心配そうにスマホをの画面を開いて花に連絡しようとするヒラマサ。
その様子を見て、不思議そうにヒラマサを見る寺倉。
『‥あれ?もかしてさ、将生知らないの?』
『なにが?』
『佑々木さん、西岡と付き合ったんだよ。』
『‥‥‥は?』
バサバサバサッッ‥!!ガシャンッ!!
持ってた教科書やタブレット、筆記用具を全て派手に床に音を立てて落とした。
そのまま棒立ちをして目を見開いているヒラマサ。
『あーー!!タブレット!高いのに!壊れたたらどうすんのさ!』
『あ、あ‥、ご、ごめん。』
『てか、知らなかったんだー!てっきり佑々木さんから聞いてると思ってたよ。』
『佑々木とは、あの時の飲み会から連絡取れてなくて‥。何回か返信はきたけど、なんか疎遠なってる感じ。』
『あ‥そうだったんだ‥。』
『‥知らなかった。西岡と付き合ったんだ。』
教科書を拾い集めながら、話す2人。
『まあ、西岡はずっと佑々木さんこと好きだったみたいだしね。周りもおめでとうって感じの雰囲気みたいだよ。仲も良さそうだし、今マスコミ対応やサークルのことでごちゃごちゃしてるけど、西岡が佑々木さんのことフォローしてるみたいだし心配なくても大丈夫だよ。』
『‥そうだな。余計なお世話だな。』
『‥まあ、将生も切り替えてさ、勉強とサークル活動ね!頑張ろうぜー!』
『‥おう。』
そうか。佑々木、西岡と付き合ったんだ。
遥香先輩の言葉を思い出す。
『恋愛は、タイミングだよ!タイミング逃すともうだめねー早い者勝ちだから!』
‥のんびりしすぎた。やってしまった。
佑々木にとりあえず連絡するか。
《西岡と付き合ったって聞いたよ。おめでとう。紫翠大学のサークル内のことで色々大変だと思うけど、気をつけてな。》
するとすぐに連絡が返ってきた。
《ありがとう!隼人が色々助けてくれてるからなんとかなってるよ!ヒラマサも色々頑張ってね!》
‥。隼人。
西岡って呼んでたのに、隼人呼びになってる。
彼氏だから下の名前で呼んでるのか‥。
‥‥‥‥。
『将生、大丈夫か?』
『‥‥‥。』
『‥将生?』
『‥おう。』
『大丈夫じゃないね。』
その後、天文部サークル内の将生。
本を読みながらラジオを聴き、1人でぶつぶついいながら講義の課題をしている‥。
鬼のマルチタスクと情報量を1人で黙々とさばいていて、かれこれ2時間経過している。
その様子を若干引いた表情で黙って見つめる遥香と寺倉。
近くでは、杏奈が特に気に留める様子もなく黙々と作業をしている。
『何してるのあれ‥』
『僕にもわかりません‥あんな姿初めて見たので‥ただおかしくなってるのわかります。』
困惑する2人を見て、ため息をつきながら杏奈が声をかけてきた。
『紫翠大学の報道見て将生の心配してたけど、ちゃんと予想通りの結果になったわね。』
『なんなのあれ?』
『あの子、キャパオーバーすると情報をシャットアウトするために頭の中をどーでもいい情報でいっぱいにするのよ。頭フル回転させて。』
『なんだそれ。』
『えー‥なんか余計キャパオーバーしそうだね』
『キャパオーバーしてる頭をさらにキャパオーバーさせて機能停止させようとしてるのよ。』
『馬鹿ですね』
『頭ぶっ壊れてる時にすることだからね』
『どうしたらいいんですか?』
『ほっとけばいいわ。そのうち元気になるから。』
『えー‥』
そのまま何も考えずにひたすらどうでもいい情報で頭を埋めて。何も考えないようにした。
そして、そのまま半年が経過した。
そして、花の誕生日がきた。
『ハッピーバースデー!』
『えへへ、ありがと』
毎年、真緒にお祝いしてもらっているが、今年は和紗も一緒にお祝いしてくれた。
『3人で過ごせて嬉しい』
『たまには女子3人もいいよね!あいつら男臭いし!』
『ほんとそれ。てか最近雰囲気悪いしね.』
『西岡とヒラマサでしょ?』
『‥そ、そうなの?元から仲良しの方ではないと思ってたけど』
『西岡がヒラマサに噛み付くのよ.なにかとライバル視してるわよ。』
『そうなの!?』
『まあ、鈍感な子がいると、もやもやしたくなる気持ちもわからなくないけど』
『ええ?どういう意味?』
『まあまあ、西岡は元気?西岡にも祝ってもらうんでしょ?』
『あ、うん!明日ね、一緒にディナー食べに行くの!』
『いいじゃん!どこ行くの?』
『よく知らない!けどちょっといいお店予約したって言ってたよ!』
『へーいいね!楽しみ!また、話し聞かせてね!』
『うんー!』
『‥花、最近ほんと元気になったね!』
『うんうん一時期痩せ細って顔も死んでたけど』
『あはは‥まあね。隼人のおかげかな.』
『お、のろけてる』
『西岡と仲良しそうで安心したよ』
『うん!ありがと!』
そして、西岡とのデートの日になった。
『隼人!お待たせ!ごめんね!待たせて!』
『全然待ってないよ!てか、30分前に来たのに、花もほぼ同じ時刻に来るからびっくりするよ.』
『えへへ、楽しみできちゃった』
『‥可愛い。』
『ん?でしょ?このワンピース今日おろしたの』
『うん.めちゃくちゃ可愛い.似合ってるよ.』
『ありがとう』
そのまま手を繋いで少し寄り道しながら一緒にレストランまで行った。
言われた通りいいお店で、なかなか食べることとないコース料理のお店だった。
とてもおいしかった。
誕生日プレゼントに、ネックレスを貰った。
シルバーのネックレスでハートの形をした中に小さなダイヤモンドが入っている。
早速、隼人につけてもらい満足した。
『すごく可愛い.ありがと。』
『うん。可愛い。』
そういうと隼人は、笑顔で微笑んだ。
そのまま店を出ると、隼人がまた手を握ってきた.耳元でボソッと呟く.
『今日、うち泊まる?』
『‥うん!』
隼人の家に着くと、玄関に入るやいなや靴を脱ぐ前にキスをしてきた.
『んんっ‥隼人。』
『ごめん。今日の花、可愛すぎて我慢できない.』
『待って.せめて、シャワーはいらせて。
汗かいてるから』
『それもいい匂いだから良いよ』
『え、よくない‥んん』
隼人は、健全な男子大学生っていう感じでこうなるともう止まらない。
身を投じるしか対処法はない。
ただその時も最中もずっと甘い言葉を囁いてくるのでとにかく恥ずかしい。




