隼人
朝。
日が登ってきて目が覚めた。
一緒に寝てたはずの西岡‥いや、隼人がいない。
『‥え、あれ?隼人‥?』
体を起こして周りを見る。
そこで自分がまだ服を着ていないことに気づいた。
急いで掛け布団で身体を隠して、衣類を探す。
『あ、起きてる。まだ寝てても良かったのに』
『‥!どこに行ったのかと思ったよ!』
『別にどこにも行かないよ。シャワー浴びてきた。』
『‥そっか、おはよ』
『おはよう。花もシャワー浴びてきたら?』
隼人は、半袖Tシャツにジャージを着ていた。
いつもの格好の隼人だ。
髪の毛も少しぼさっとしていて、髪も濡れていていつもと少し雰囲気が変わる。
なんか、こんなにカッコよかったっけ?
朝だから?
ドキドキしてきた‥。
すると隼人は、花の横に座ってキスしてきた。
『身体大丈夫?』
『‥うん』
『どこか痛く無い?』
『うん。』
『なら良かった。』
すると西岡は、黙って私の顔をじっと見つめている。
『‥何?』
『いや、可愛いなと思って』
『ッ!!急に褒めないでよ』
『ごめんごめん。‥改めてさ、これから花って呼んでいい?』
『‥うん。なんかでもちょっと恥ずかしいけど。』
『なんだそれ』
『んじゃ、私も、隼人って呼んで良い?』
『‥やばいな』
『なにが?』
『ヤバい!』
『なにがよ。』
『もう一回言って』
『なんて?』
『‥名前呼んで』
『‥隼人』
『最高です。』
『変なの』
すると隼人は、ぎゅっと抱きしめてきた。
『幸せだ。』
『うん。私も。』
『え?まじ?』
『うん。』
『なら嬉しい』
『隼人ってこんなにかっこよかったっけ?って思ってる』
『花は昔からずっとめちゃくちゃ可愛いよ』
『‥ふふ、ありがとう。』
すると、スマホが光って着信があった。
着信音の設定を1人だけ変えているため、音だけで誰か分かる。
‥ヒラマサからだった。
チラッとスマホの方を見ると、その様子に気づいたのか、隼人は花の頬に軽くキスをした。
『‥!!なに?』
『別に何も』
そっぽを向く隼人を見て、良心が痛んだ。
花は鳴り響くスマホ画面に映るヒラマサの文字をみて、電話を出ずにそのまま切った。
『出なくていいの?』
『うん。もういいの。』
そのまま隼人にシャワーを借りて、シャワーを浴びた。
起きたのも遅かったことがあり昼前に隼人のスウェットを借りてそのままアパートを出た。
『なんか食べて帰ろっか。』
『うん。ハンバーガー食べたい!』
『オッケー』
そのままファストフードでハンバーガーを食べた。
隼人は、優しくて穏やかで一緒にいるととても落ち着く。横顔を見ると、ニコニコ笑いながらハンバーガーを頬張っている。
『ふふ』
『何笑ってんの?』
『なんか、隼人って犬みたい!』
『どういう意味だ!?』
『可愛いって意味』
『んじゃ花は猫みたいだな』
『ええ!?そう?』
『うん。小さくてもふもふしてるとこが』
『もふもふ?』
『うん。もふもふ。あとツンデレ』
『‥複雑だ』
そして、アパートに泊めてある隼人のバイクの後ろに乗って、家の前まで送ってくれた。
『送ってくれてありがとう』
『いーえ、またうち来て。』
『‥うん』
うち来て。で、昨日会ったことが少しずつ思い出される。‥思い出すだけで顔が赤くなる。
『あ、そうだ。順序が逆になっちゃったんだけど‥』
『ん?』
『俺と付き合ってくれる?』
『もちろん‥よろしくお願いします。』
『ふ、嬉しい。めっちゃ幸せにするから。』
『私も幸せにする』
すると隼人は、頬に軽くキスした。
『あらあらー!彼氏!?』
後ろから声が聞こえた。
庭から回って玄関からではなく直接お母さんが現れた。庭の手入れをしていたようだ。
『てか、誰かと思ったら西岡くんじゃない!久しぶりね!男前になったねー!』
『お母さん!お久しぶりっす!花さんとお付き合いさせてもらってます!』
『はーい!こちらこそ!よろしくねえー!初めて朝帰りなんてしてくるからよく分かんない男連れてきたら夜まで事情聴取するつもりだったけど、西岡くんだなんて!安心よ!』
『ちょっとお母さん‥』
『あら、花さん。友達の家に泊まるっていうのは嘘だったのかしら?』
『うっ‥それは‥』
『西岡くん上がってかない?』
『すみません、今日は今から部活練習とバイトなので帰ります。
花さんお疲れだと思うんで、ゆっくり休ませてあげてください!また今度お邪魔しますね!』
『あら〜!男前で尚且つ優しいなんて‥またいつでもきてね!』
『もうお母さん!やめて!隼人困ってる!』
『はいはい。んじゃね!西岡くん!わざわざ送ってくれてありがとうね!』
『はい!んじゃあ、花また連絡する!』
『うん。私も!』
そのまま隼人はバイクで帰って行った。
『はい。花さん。』
『‥はい。』
『なんでもっと早く言わないのよ!西岡くんなら母さん大歓迎って知ってたでしょ?』
『お母さん西岡大好きだもんね』
『高校生の時付き合ってた時、あんな良い子いないよ!って言ってたでしょ?』
『言ってたねー』
『やっと良さが分かった?』
『はぁー‥まあ、良さは分かる。』
『あら惚気てくれるわね』
『もう家入るから!』
『はいはい!』
そのまま家にはいって、ベッドに横になりながら和紗や真緒、杏奈、北川くんたちから届いているメッセージに返信していった。
ただ、ヒラマサからの着信には、折り返し電話はしなかった。
着信音も変えた。みんなと同じやつに。
もうヒラマサのことを好きだなんて言ってられない。




