天体観測
夜になり、天体観測をすることになった。
みんなで交代番子でテントの中と実際に撮影する人でそれぞれの仕事をする。
ヒラマサは、遥香先輩とペアになった。
‥この人、姉ちゃんと話してるみたいでちょっと苦手なんだよな。姉ちゃんのことは別に苦手じゃないけど、。
『よろしく!将生くん!』
『はい。よろしくお願いします。』
夜空をみると望遠鏡を覗かなくても美しい星空が空一面に広上がっていた。
周りに電気や照明、住宅街がない分、星の光のみが地上に届いている。新月のに2週間前なこともあり、月明かりが小さく星がよく見える。
肉眼でもはっきりとそれが見えた。
『おおー‥綺麗ですね』
『そうね。ここからみる光景はいつ見ても圧巻ね。冬も来るけど、冬はもっと鮮明に見えるのよ。』
『へー楽しみです。』
『んじゃ撮影するわよ』
すると、遥香先輩は、一眼レフカメラと三脚を使用し、カメラの準備を始めた。
『カメラ触ったことある?』
『ないですね‥』
『オッケー、夜空を撮る時のポイントは沢山あってね、とりあえず焦点距離24mm以下の広角レンズを使用するの。そして、今日みたいに月明かりのない新月2週間前がベスト!そして、ここみたいな郊外で撮ること、あとは三脚で固定して、ピント合わせは一度だけ。』
『一度だけ?』
『天体はどれも果てしなく遠いからね、1つの天体にピントを合わせれば、ほかの天体にも合うの。だから一番明るくて分かりやすい天体でピント合わせを写真を撮る。もうフォーカスリングは触らないようにしてね。天体なら∞(無限遠)で良い気もするけど、それでは微妙に合っていないことが多いから、ライブビューモニターとかでしっかりピントが合っているかの確認が必要なの。』
『分かりました。』
『シャッターを切るときはリモコンやタイマーを使用すると手ブレを防げるわよ』
『勉強になります。』
『後、長時間撮影してると夏場でも夜露がレンズに付くことがあるからカイロをつけてあげると良いわ。』
『分かりました。』
『あと、最初の2分から3分はシャッターを開けたままでテスト撮影をしなきゃだめ!』
『はい』
『モニターで確認して、背景の空の色が灰色や水色っぽい、つまり明るい場合は絞りの数値を大きく。画面が暗く、写っている星の数が少ない感じがしたら、絞りの数値を小さくしてね。それぐらいでもまだ暗いようだったら、ISOの数値も大きくしてみましょう。
何回かテストして、ちょうど良いセッティングを探すのよ。』
『こうですね‥おっと‥』
『あー!だめよ!動いちゃダメ!本番では10分以上、できるだけ長くシャッターを開けておくの。この間、カメラを触るのはもってのほか。近くを歩いたり、椅子に座ったときのわずかな振動にも注意しなきゃだめだから撮影が始まったら椅子に座って基本的には動いちゃダメ!立ち上がったりするのもダメ!
撮影途中でバッテリーが切れないよう、本番撮影の前にフル充電のバッテリーに取り替えておくことも忘れずね。』
『バッテリーの充電は完璧です。』
『さすが将生君!』
ある程度説明を終えると、遥香先輩と2人で椅子に座って星を見る。
撮影中はひたすら座って、写真が撮り終わるまで待つのだ。
『‥ねえ。将生くん。』
『はい。』
『星って綺麗ね。いつまでも見ていられる。』
『そうですね。』
『自語りになっちゃうけど、私ってほら浪人したでしょ?現役落ちしたとき一生分ぐらい泣いたわ。あんなに泣くこともう二度とないだろうな。』
『‥。』
『先生や親や周りからももう諦めろって言われて、けどこの大学が諦められなくて、1年間必死で勉強したの。365日毎日ずっと1日も休まなかった。他の友達が大学生活楽しんでるときに必死で勉強するのはすごい惨めだった。だからSNS全部やめちゃった。友達いなくなったの。ダサいでしょ?』
『ダサくないですよ』
『‥ほんと?』
『めちゃくちゃかっこいいです。遥香先輩は努力の人なんですね。』
『‥ありがとう。星はいつも綺麗だよね。浪人中に勉強の合間を縫って誰もいない夜の街を望遠鏡と一眼レフ持って星を撮るのが唯一の楽しみだったの。』
『危ないですね、女性が1人で夜道なんて』
『あはは、そうだよね。今思えばそう。』
『だから、私星好きなんだ。地球上で浪人したぐらいでクヨクヨ泣いてる私がどうでも良くなるくらい遠くから光ってるんだよ。規模でかすぎて私の悩みなんてどうでもよくなっちゃう。』
将生は、星を見ながら話して、チラッと遥香先輩をみると涙がきらっと見えた。
将生はその涙を見ないふりをして、もう一度星空を見上げた。
『ほんとですね。星はどんな時も綺麗です。』
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合宿最終日
ヒラマサと寺倉と杏奈と遥香の四人で片付けをしていた。
『今回撮った写真は、大学の印刷機を借りて印刷してまたサークル部屋の記録に加えるけど、遥香や他の編集メンバーしてくれるのよ。』
『そうなんですね。』
『うん。パソコンでちょいちょちょいとね!』
『そうなんですね、教えてほしいです。』
『え?将生くんが私に?』
『はい。遥香先輩のカメラや写真に対する知識や技術は凄いなと思ったので、自分でもいつか撮影して編集までできるようにしたいので。』
『おお!良いわね!良い熱意よ!教えてあげる!』
『ありがとうございます』
その日からヒラマサは、時間があるときを見つけて遥香先輩に編集を教えてもらうようになった。
中庭のカフェスペースで寺倉と一緒に昼食を食べて、そのままパソコンを出して編集作業をしていた。
『そういえば、将生は最近、遥香先輩と仲良しだね』
『あー、編集教えてもらってるから』
『そうなんだ。やっぱり勉強になる?』
『うん。なるよ。圭吾もくる?』
『うーん僕は大丈夫かな。正直、勉強についていくので精一杯でサークルまで手回らないわ。』
『そうか、頑張ってな』
『うん。ありがとう。』
そのまま寺倉は、講義に行ってしまった。
大学生活は充実していて、楽しく新しいことが沢山学べて勉強も今のところ楽しいが勝っている。サークル活動での天体観測も好きを伸ばせる場所でとても楽しい。
今度、綺麗に写真が撮れるようになったら佑々木にも見せてあげよう。
佑々木って星好きかな。
ウサギだし、月の方が喜ぶかな。
そんなことを考えながら作業を進める。
すふと、遥香がやってきた。
『お疲れ、将生くん。』
『お疲れ様です。遥香先輩。』
『編集進んでる?』
『はい。一応ここまで‥』
『お!すごい!さすがね!頭良いだけあって少し教えただけで一気に吸収してくれるのね、さすが、杏奈の弟ね!お姉ちゃんと一緒で優秀!』
『いやそんなことないですよ。あ、そうだ遥香先輩』
『ん?なに?』
『この写真一枚、いただいてもいいですか?』
『あーいいよ!何に使うの?』
『いや、友達に見せようかなと』
『あーなるほどね〜、良いわよ!』
『ありがとうございます。』
『将生くんは、カメラとか持ってるの?』
『あ、あの後、実家に帰ってカメラを探したら父のお下がりでもう使用していない一眼レフカメラがあったので貰ってきたんです。』
『え!良いじゃん!撮るの?』
『撮ろうかなと思ってます。ただ、古いカメラなので使い方がいまいちわかんないですね。帰ってから調べてみようと思います。』
『へー‥私でよければみようか?』
『え、良いんですか?だいぶ古めのタイプみたいですけど』
『私ね、父がカメラマンだから父の古いカメラも沢山使わせてもらってたの。だから、そういうの得意なんだよね!将生くんの家にあるの?』
『ありがとうございます!助かります。一人暮らししてる部屋にありますよ。』
『また時間ある時にでも行こうかな。どんな部屋に住んでるか気になるし見てみたい。』
『普通の部屋ですよ。面白いもん何もないです。』
『えーそれが面白いのよ!』
『‥よく分かんないですけど、んじゃ明日とか空いてます?』
『空いてる空いてる!放課後だよね?5時ぐらいからでも良い?』
『はい。』
2人は将生の部屋に行く約束をした。




