天文サークルの合宿
大学での講義中。
ダメだ、集中できない。
昨日のことが頭から離れない。
ヒラマサのことが好きな美人な先輩、遥香さん。
なんであんなこと言って来たんだろ‥。
好きなものとかなら杏奈さんの方が詳しいはずなのに‥。
好きなのバレるの恥ずかしいのかな‥。
ヒラマサのこと教えたくないな‥。
できればもう会いたくない。
てか、よくよく考えたら私、ヒラマサのこと何も知らないじゃん!
好きなもの‥甘いパンといちごミルクと天体観測。
嫌いなもの‥なんだろ。
意外とにんじんとかピーマンが食べられなかったりして‥いや、それはないか。
『花、花、‥花!!』
『わぁ!びっくりしたー!!』
『もう講義終わったわよ。いつまで教科書逆さに読んでるのよ。』
『え!?ああー!!ごめんごめん!! 』
やば、全然集中できてないないじゃん‥。
恥ずかしい‥。
『どうした?佑々木なんかあったのか?』
『え‥』
『なんか今日の佑々木変だぞ』
西岡に聞かれて少しドキッとしてしまう。
和紗と由奈もじっとこっちを見てくる。
『いや‥別に、何もないよ。ちょっと寝不足なだけだよ。』
『ふーん?』
『‥まあ、いいけど。ご飯食べに行こ。』
『う、うん!』
『花ちゃん!寝不足は美容の敵やで〜?』
『は、はい!しっかり寝ます!』
その後、食堂でみんなでご飯を食べて、各自サークル活動へ出かけた。
ギターの練習をしていると、千葉先輩がきた。
『おつかれーうさぎちゃん!』
『お疲れ様です。あ。そういえば!千葉先輩!あの時助けてくれましたよね?』
『ん?あー!!あの受付でOBに絡まれてたやつ?ごめんね!あの人たちいつもあーやって一年生に絡みたがるんだよね。』
『困ってたので、助けてくれてありがたかったです。杏奈ちゃんも安心してました。』
『本当?よかったー!気にしないで!』
『いえ‥』
あの時のライブの後を思い出した。
あ、ヤバいヤバい嫌なこと思い出した。
遥香さんの顔が思い浮かぶ‥
'私、将生くんのこと好きなんだよね"
‥なんであんなこと言って来たんだろ。
『‥うさちゃんなにかあった?』
『え?』
『なんか落ち込んでるじゃん!元気ない!』
『そ、そうですか?』
『うん!なんかギターに身が入ってない!』
『うっ‥すみません。』
『2年先輩の僕がアドバイスしようか?なんでも答えるから相談乗るよー?友人関係から恋愛相談までなんでもこい!』
『あー‥あはは。』
『ほんとほんと!なんでもウェルカム!全力で相談に乗るよ!花ちゃんは可愛い妹みたいなもんだしさ!』
『そうですか‥、実は。私、好きな人がいるんです。』
『ほおほお』
『その人の女友達っていうんですかね。先輩なんですけど、その人に『私の好きな人のことが好き』って言われたんです。『応援してね』『好きなものとか色々教えて欲しい』って。』
『へー‥なかなか修羅場だね!』
『でも、教えたくなくて‥』
『そりゃそうだ』
『好きな人もその先輩も違う大学の人たちなので、なかなか会えなくて‥気になってしまうんですよね。
つい‥。』
『なるほどねー!花ちゃんってそういうのに巻き込まれそうなタイプだしね!』
『うっ‥自覚してます』
『教えなくて良いんじゃない?だって花ちゃんもその人のこと好きなんでしょ?んじゃライバルじゃん?』
『‥はい。』
『友達ならまだしも、ちょっと知り合っただけでしょ?それで応援してーとか図々しいな。自分で頑張れよ!って感じ?』
『あー‥確かに!』
『でしょ?俺なら好きな子が出来たら全力でアピールするし、全力で毎日話しかけるけどね?』
『そうですよね‥!そうします!』
『お!いいね!その意気だよ!』
『ありがとうございます!応援するのはお断りさせてもらおうと思います!!』
『うん!それが良いね!頑張ってね!』
ピロロン♪
メールの通知音だ。
ヒラマサからだ‥!!
『好きな人から?花ちゃん分かりやすいね』
『‥!!』
《 この前のライブお疲れ様。俺も天文部サークルで週末に夏の合宿へ行くことになった。週末の三連休で2泊三日に猿鳥山で天文観察してくる。また面白いことあったら連絡して報告する。》
『なんか、業務連絡だね。おじいちゃんみたい。』
『2泊三日の合宿‥』
額を汗が伝っていく感覚があった。
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《8月》
ヒラマサ天文部サークルで夏の合宿
登山をして、頂上にある山小屋で天文観察を行うというものだ。
男子が重たい望遠鏡や遠近レンズ、カメラ、三脚など重たいものを運んでいる。
ヒラマサも1人で自分の荷物合わせて10キロほどの荷物を持っていた。
『将生〜‥はあはあ、すごいね、』
『いや、キツイよ。大丈夫か?圭吾』
『いやーキツイ。けど、俺の分まで持ってもらってごめん‥。』
『いいよ、圭吾俺より筋肉ないし‥』
『‥。まあでも、将生最近筋トレ始めたの?なんか筋肉つき始めたよね。すごい。』
『ああ、まあ‥』
『そこー2人!大丈夫ー?』
『はーい。』
『よし、もう少しで頂上だ。頑張ろう。』
『帰りは車希望っす!』
上に上がると、もうすでに到着した組から続々と天体観測コーナーに三脚や望遠鏡の設置をし始めていた。他にはテントを設営し、炊事スペースで早速昼食の準備をしている人たちもいた。
将生たちもテントの設営や準備、焚き火用のキットを組み立てたりしていた。
『はーい!お昼にするよー!』
昼食はカレーライスだった。
みんなでワイワイバーベキュースペースにて、カレーライスを食べる。
元々予約していたスペースだが、他のスペースは人でいっぱいだった。
『なあなあ、将生。今日ってなんか山の頂上にあるコテージに泊まるって言ってたよね?なんでテントなんて設営する必要あるの?泊まるのに!』
『天体観察しやすいようにだろ。テントの中にカメラや機材置いて、記録用のパソコン作業するためだろ。寝るためじゃない。』
『だ、だよね!よかったー!』
御坊ちゃまで潔癖の圭吾は、外で寝るのが嫌なようだった。
『2人ともお疲れ様!食べてる?』
そういってやってきたのは遥香先輩だった。
『はい!』
『はい。』
『天体観察は、夜に始めるのよ!それまでは、みんなで観光するよー!』
『観光?』
『猿鳥山には、有名な滝や峡谷があるの。それを見に行こうって話になってるよ。』
『へー』
『まだ歩くんですか‥』
『圭吾くんもうヘロヘロじゃない』
『いやキツイですよーもう無理です夜まで持ちません。』
『あはは今日は早めに戻って来て夕方にはお風呂もご飯も済ませて仮眠とって夜に備える予定だよ。もう少しの辛抱だよ!ファイト!』
『は、はい‥』
『将生くんは‥まだいけそう?』
『そうですね。まだいけます。』
『頼りになるね!頑張ろうね!』
『はい。頑張ります。』
その後、山の頂上にある神社でお参りをし、流星の滝と呼ばれる滝の裏側に入れる滝をみんなで見にいった。
『ここはね、流星の滝っていって滝の内側を通れるんだけど、そこからみえる光景が流星群みたいに見えるんだって、お願い事が叶うらしいよ。行ってみよっか!』
『そうですね。行きましょうか』
遥香先輩とヒラマサは、滝のそばまで行くことにした。杏奈や寺倉、他のみんなも付いていく。
『本当だ綺麗ですね』
『ね!ここだと年中いつでもおねがいことできるわね!』
『あー確かに。そういう考えもありですね。』
『あ!将生くん笑ったね!』
『え?』
『将生くんが私に笑ったの初めてじゃない?』
『そうですか?笑ってますよ』
『いーや!初めてよ!』
そんなことを話しながら滝を出ると、遥香はヒラマサに話し出した。
『この滝を男女が2人で通るとね、結ばれるっていう迷信もあるのよ!』
『結ばれる?』
『そう。どう?試しに私と付き合ってみる?』
『いや、大丈夫です。どうせ迷信ですよね。』
『だよねー!』
『それに、圭吾や姉ちゃんもいたので2人じゃないですね。』
すると、ヒラマサは後ろにいるみんなを指さした。
『えーそういうロマンチックのかけらもないこと言うのー?』
『事実ですから』
『えーいじわるね!花ちゃんに言っちゃおうかしら?』
『なんで佑々木?』
『この前、花ちゃんと会った時に話したのよー!また今度会ったら話そうねって約束したんだから♪』
『へー‥』
『だから、将生くんが意地悪してくること言っちゃおうかな?』
するとヒラマサの目つきが変わった。
睨みつけるように遥香先輩を見つめる。
声色も少しトーンが下がり、言葉尻も強くなる。
『変なこと言わないでください。』
『うそうそ!ごめんって!』
『佑々木が誤解しそうなこと勝手に言わないでくださいね。俺のことは俺が佑々木に話すので。』
『ふーん。そう?』
『はい。』
そういってヒラマサは、その場を去っていった
それを黙って見つめる遥香さん。
『ふーん‥分かりやすいのね』
その表情は暗かった。




