エール
文化祭が終わり。
受験勉強をする毎日に戻った。
『佑々木、ここはこうな。』
『はい‥あーもうだめだ』
『おいおい諦めるな!気持ちで負けんなよ!』
『ううう‥』
『もうそろそろ1時間経つしちょっと休憩する?甘い物でも食べな。』
和紗がチョコレートを一つくれた。
『ありがと!和紗好き!』
『はいはい。』
『‥体に染みる』
『俺も‥』
『はいはい。』
和紗が西岡にもチョコを一つ渡した。
『最近模試の結果も前ほど伸びなくなったし、なんかブランクかも』
『ある程度のとこまで伸びたからな、高止まりしてるんだろ。』
『沢田模試で偏差値も66まで上がってきたし、テストも得点率80%まで持ってきたじゃん!いけるよ。』
『そうそう、偏差値50台から60台は割といけるけど、そこからあげてくのが根気いるんだよなー、頑張りどきだよ!』
『そうだよね‥頑張る』
毎日放課後教室で勉強する。
先生も見にきてくれるので、勉強を指導してもらい、模試の結果を見て参考書やプリントを選定して持ってきてくれたりした。
『お疲れー今日はこの辺にして帰るか』
『そうだね、もういい時間だし、続きは家でするよ。』
『そうしよ。』
今日も1日が終わる。毎日こんな感じだった。
休み時間も3人と過ごすことが多くなり、中庭でご飯を食べながらお互いに問題を出し合ったりして過ごしていた。
中庭で楽しそうに話す西岡と花と和紗を2階の渡り廊下の窓から見ているヒラマサ。
『でさ〜、ねえねえ。将生聞いてる?』
『‥ん?あぁ聞いてるよ』
『何見てるのー?』
『別に何も見てないよ。』
『えー?どれどれ?』
『もういいって』
ヒラマサはウザ絡みしてくる寺倉を押しのけてすたすたと歩き始めた。
寺倉はそんなヒラマサを見てため息をつきながら、窓の外を見た。
西岡と花と和紗が楽しそうに話してる姿がみえた。
『‥なるほどね』
ニヤニヤしながらヒラマサを追いかける寺倉。
そして1月にそう、試験が目前に迫っていた。
学校は5日から空いていたので、学校へ来て勉強していた。冬休みも学年ごとに自習室は開放されており、生徒が沢山来ていた。
そこに西岡も来ていた。
『おーあけおめ!』
『あけましておめでとうございます‥』
『顔色悪いな。』
『緊張して眩暈がする』
『ええ‥んじゃもう家で寝とけよ。この時期に来たらもう家で寝てる方が良くね?』
『西岡だって来てるじゃん。』
『俺は元気もりもりだからな』
『なにそれ‥』
『まさか、インフルエンザか?』
『もうクリスマスに感染したよ。』
『え!そうなの!?良かったな!もう大丈夫じゃん!』
『2回かかるひともいるんだよ』
『んじゃやっぱり家帰ってよく寝てよく食べて体調整える方が先決だろ』
『それはそうなんだけど‥あーもう嫌だ』
『メンタルやられてんね』
『‥和紗は?』
『今日は家で勉強するってよ。』
『やっぱりそうか‥んじゃ今日は西岡と勉強しようかな‥』
『おう。頑張ろうぜ!』
『おう‥』
だめだ。問題を解いても解いても焦燥感が拭えない。
『‥はあ、ごめん。トイレ行ってくる。』
『大丈夫か?』
『うん‥』
集中できない。
正直家にいても、きつくて何も手につかない。
そのままトイレからゆっくり出てくると。
西岡が立っていた。
『佑々木。今からちょっと散歩行こうぜ!』
『ええ‥今から?』
『今までたくさん勉強してきたんだよ。今日半日勉強しないくらいで落ちねーよ。それにしんどい時に時間だけ経過して行くほど無駄ことない。』
『‥それもそうかも。』
『ほら、荷物持ってきたし、行くぞ。』
『‥うん。そうだね。』
一緒に学校を出た。
『どこ行くの?』
『うーん、そうだな。あ!あそこの神社に願掛けにでも行こう!受かりますようにって、あそこは学問の神様がいるらしいぞ!』
『うん。‥いいね!行こ!』
そのまま西岡と2人で神社に行き、お参りをした。
『佑々木が受かりますようにってお願いしといたぞー!』
『西岡は自分が受かるようにお願いしなくていいの?』
『俺は、神様に頼まなくても受かるから〜』
『はぁー、すごいね。その自信。』
『そんな気がするんだよね、いける気がする!』
『羨ましい‥』
『分けてやるよ。俺の自信を!』
『‥どうも。』
そういうとむにゃむにゃと呪文を唱えながら花に向かって念を送ってきた。
『では、ありがたく‥』
受け取っておいた。
『ままー、みてみて!あのお兄ちゃん』
『ふふ‥面白いねー』
『言われてるよ』
『‥気にしないね!』
そのまま、二人で神社内を散策した。
絵馬もついでに書いて帰る。
西岡は恥ずかしげもなく自分の志望する大学名を朝大きな字で書いていた、
『すごいな』
『こういうのはしっかり書かないと神様は読んでくれないんだ。』
『そういうものなのね』
神社に参拝しにきた高齢女性が声をかけてきた。
『あら、受験生なの?』
『あ、はい、』
『はい。もうすぐ試験なんです。』
『偉いわね〜』
『いえ‥』
『いやいやそんなそんな!』
『結果がどうであれ、きっと大人になった時の良い思い出になるわよ。がんばってね〜!』
『‥ありがとうございます』
『ありがとうございます!』
結果がどうであれ‥ね。
今は良い結果の未来しか見たくない。
落ちたらちゃんと心折れる。
『ふー、んじゃ次はたい焼きでも買いに行く?』
『たいやき?なんで?』
『あそこに美味しいのあるぞー!』
そのまま西岡に連れられて、神社の近くにあるお店でたい焼きを一つずつ買って食べた。
『美味しい‥!』
『だろ?』
ここ数日、何を食べても味がしなかった。
久しぶりに食べ物を食べて美味しいと感じた。
『めちゃくちゃ美味しい。味がする。』
『そりゃよかった。美味しいなら良いんだよ。』
そういうとニカッと笑ってたい焼きを食べたいる西岡。
『佑々木って元々教育学部とか文学部とかに進学しようとしてただろ?』
『え、うん』
『けどさ、夢を叶えるために薬学部選んだんだろ?アンパイな道を選ぶこともできたのにチャレンジすることを選んだんだ。そんでもって今日までめちゃくちゃ頑張って勉強してたじゃん。だから今しんどいんだよ。けど、この選択がきっと佑々木の未来を良い方向に連れてってくれると思うんだよね!』
『‥うん』
『もうさ、ここまできたら無理だ無理だってへたり込む前に、ノンストップでゴールラインまで駆け抜けようぜ!‥どう?俺の演説?』
『‥うん!!駆け抜ける!!』
『おおー!よし!その意気だ!!』
『うん!なんか受かる気がしてきた!!!』
『良いじゃん良いじゃん!』
『よーし、んじゃ今から学校戻ってまた勉強しよ!!!』
『よっしゃ!学校まで競走な!』
『うん!お先!』
『あ!お前!フライングだぞ!!!』
そのまま2人で学校まで走って戻って行くことになった。そして、昼ごはんを食べて夕方までしっかり勉強して帰ることができた。




