打ち上げ
文化祭後の放課後。
カラオケボックスにて。
『では、文化祭バンド演奏お疲れ様でした!』
『『『『『カンパーイ!!!』』』』』
バンドメンバーの佑々木、和紗、千佳、西岡、田中、北川とプラス衣装制作に尽力してくれた真緒も加えて打ち上げをすることになった。
ドリンクバーのジュースで乾杯し、ポテトやパスタ、唐揚げなど好き勝手注文して高校生らしい即席の宴会場ができた。
『ほんと!最高だったよ!泣いちゃったもん私!』
『えー嬉しい!』
『そんなに感動してもらえると頑張って練習した甲斐あったね!』
『ほんと疲れたぜ』
『受験生なこと忘れてたわまじで』
『騒ぎすぎてヒラマサにうるさいって怒られた』
『それは仕方ないな』
『てか、真緒のクラスのファッションショーすごかったよ。あれ全部真緒が作ったの?』
『まさか!デザインは主に私だけど、クラスのみんなと話し合って考えて作ったんだよ。こうした方がいいんじゃないかとか袖にレースつけた方がいいんゃないかとか、服作りは私がみんなに教えながらみんなで作ったんだ。意外と楽しんでくれたし良かった。』
『ほえーそれでもすごいな。あんなたくさんの服作るのだけでも根気いるわ』
『なんやかんや1組のやつらも楽しかったー!って喜んでたしな。』
『1組は打ち上げとかないの?』
『うん。みんなこの後も塾や予備校がある子が多いから!』
『真緒は今日大丈夫なの?』
『今日は休み!お母さんも良いよって』
『良かったねえ』
すると田中くんが立ち上がってマイクを取った
『よっしゃ!んじゃ今日は歌うぜ!!』
『お!いいね!』
『いっぱい入れてこー!』
『いけいけー!』
田中くんドラムめちゃくちゃ上手いのに、意外と音痴なことが発覚した。
しかし、その後もみんなで楽しく過ごした。
『ねえねえ、西岡』
『ん?なんだ?』
『本番前、ありがとね』
『あー!いいよいいよ!俺も緊張してたからついでだよ!』
『私もう緊張して吐きそうだったからほんと助かった!』
『顔面真っ白だったもんな?』
『そんなに!?』
『倒れられたら困るわ!と思って声かけた』
『それはごめん』
『いやいや、実際心配してたからな倒れたら本番なんてほったらかして保健室担いで行くつもりだったよ?』
『あはは、ありがとう』
『佑々木の歌また聴きたいから、気が向いたらで良いし受験が落ち着いたらまたみんなでこうしてカラオケ行こうぜ!』
『うん!絶対行こ!』
『絶対だぞ?』
西岡とこんなふうにまた仲良く話せる日が来るなんて思わなかった。
私が一方的に毛嫌いしてただけなのかも。
‥ヒラマサは、今日も予備校かな。
本番前から一度も会っていない。
最近受験勉強で忙しそうだし、気軽に連絡するのも悪くて連絡を控えている。
『なあ佑々木』
『ん?なに?』
ボーっとみんなが歌っている姿を見ていると、隣にいる西岡が声をかけてきた。
『佑々木ってやっぱヒラマサのこと好きなの?』
『‥えっと‥一応そうかも。』
『そっか。分かりやすいもんな!』
『え!?そう!?』
『気づいてない奴の方が少ないよ。めちゃ分かりやすいし、みんな気づいてる。』
『嘘!ほんと?どうしよ、本人にも伝わってるかな?そんなに分かりやすい?』
『本人は‥まあ、どうだろ?でもさ、応援してるよ。俺にできることあるなら言って!』
『西岡‥なんでそんな良いやつなの?』
『そうそう!俺は、みんなから認められる良いやつだから!あの後、ヒラマサに連絡したの?』
『してない。もうここ数ヶ月してないよ。受験勉強で忙しそうでピリピリしてるし、受験終わるまでは大人しくしとこうかなって。』
『あーまあ、確かに。けどさ、本番までにわざわざ教室まで声かけに来てくれたし、お礼の連絡とかしても良いんじゃない?それか学校で直接伝えるか!』
『そうだよね!連絡してみる!学校は文化祭の時は少し話せたけど、普段はほとんど話せないんだよね‥教室も違うし、向こうのクラスは休み時間も静かでみんな勉強してるから入りにくくて。』
『まあそれはそう!善は急げだ!今!連絡してみ!
ヒラマサも喜ぶよ!』
『ありがとう、西岡!ほんとに!』
『気にすんなって!応援してるから!』
ピコン♪
話してるとヒラマサからlimeで連絡がきた。
『お疲れ、今から少し電話で話せる?』
と書いてある。
『lime?誰から?』
『ヒラマサが電話したいって』
『お!良いじゃんしてこいよ!』
『うん。ありがとう!』
スマホを持ってカラオケボックスを出た。
西岡は笑顔で手を振っている。
そんな様子をみた真緒。
『‥あんた、良い男になったわね』
『‥なんだよ急に』
『別に。ヒラマサのこと好きか直球で聞いたのは、びっくりしたけど、背中押してあげてんの偉すぎる。』
『うん。見直した。』
『よし、西岡!今日は飲め!歌え!』
『みんなお前のこと大好きだぞ!』
『そうだそうだ!大好きだぞ!』
『なんなんだよ、お前ら、聞いてたのかよ。小声で話してたつもりなのに‥あーもう!!よっしゃ飲むぞ!歌うぞ!たのしむぞ!』
『その意気だ!』
その一方でカラオケの部屋から出て廊下の突き当たりに行き、ヒラマサに電話をする花。
『あ、もしもし。ヒラマサ?』
『お疲れ。なんか電話で話すとすごい声近くて緊張するな。』
『お疲れ様。そんなこと言われたら私まで緊張するよ』
『ごめん。‥あの、文化祭のバンドお疲れ様。』
『ありがとう。わざわざ、本番前に励ましに来てくれたんだよね?すごい嬉しかったよ。ありがとう!』
『‥おう。バンドめちゃ良かったよ』
『ほんと!?ありがとう!みんなで頑張ったから、嬉しい!』
『歌あんなに上手だったんだなびっくりした』
『たくさん練習したからね!ヒラマサもランウェイめちゃかっこよかったよ。真緒が作った着物コートめちゃ似合ってた。』
『‥ありがと。赤石の作る着物コート、物はめちゃ良かったからな。』
『だよね!あの子天才じゃない?本当にデザイナーになりそう。』
『確かに、あれはなれるな〜』
『だよね!友達として誇らしいよ!』
『今は打ち上げ中?』
『あ、うん。みんなでカラオケきてる。ヒラマサは塾?』
『あーまあ、そう。今から予備校。』
『そっか。頑張ってね!私も帰ったら勉強頑張るぞ!』
『おう、また前みたいに分からない問題とかあったら連絡してくれても良いから』
『ありがと。でも、今は西岡が教えてくれてるから大丈夫だよ!志望校同じなのもあって同じ参考書解いてるんだけど、全然私より進むの早くて‥意外と教えるのも上手なんだよ。』
『‥ふーん』
『だからヒラマサは、自分の受験勉強に集中してくれても良いよ!邪魔したくないし!』
『別に邪魔じゃないけど』
『いや、でも最近ピリピリしてるし』
『そんなふうに見える?』
『うん!』
『‥それはごめん。特に気にしてなかった。周りがピリついてるからそのせいかも。』
『全然良いよ。特進クラスだとそうなっちゃうよね。また受験終わったらプリン食べたいな、次は受験お疲れ様プリン。』
『そうだな。合格おめでとうプリンだな?』
『うっ‥そ、そうです。』
『お互い頑張ろうな。またいつでも連絡してくれて良いから、俺だって息抜きしたいし。分かんないとこあればまた聞いて。』
『うん、ありがとう!んじゃ、予備校頑張ってね!』
『ありがとう。また学校で。』
『うん、また明日ね!』
電話が切れた。
‥なんか最後の方ちょっと早口で口調が怒ってた風な気がするけど、気のせい?
予備校の時間が迫ってたから急いでたのかも。
忙しい中電話してくれたんだ感謝しなきゃ!




