バンド演奏
最初の5グループの演奏が終わり、私たちのグループは最後だった。
なぜなら二曲演奏するからだ。
そして、、私たちの番が来た。
やばい、気持ち悪くなってきた。吐きそう。
胸を押さえて深呼吸する佑々木を見かねて西岡が声をかけにやってきた。
『佑々木』
『西岡なに?』
『いや緊張してそうだから』
『そりゃするよ‥』
『俺も緊張してきたー!』
『そんなふうに見えない』
『あはは、そうか? けど、2ヶ月だけだけどバンド活動通してすごい楽しかったし、音楽がもっと好きになったよ。佑々木は?』
『‥私も、楽しかった。歌うのもすごく楽しかったよ。みんな褒めてくれるしね。』
『だろ?やっぱりそれが一番じゃね?楽しんで終わろうぜ!』
『ふふ、西岡らしいね!ありがとう!』
『おう!』
すると西岡は片手で軽く背中を叩いてきた。
『気合い入れてこ!』
『うん!』
『はい!続きまして、最後の曲になります!3年2組最後の曲です!演奏するのは、あいのあとがきそして、チェリーサイダーです!』
ステージに立つと思ったより高さがあって、思ったよりステージが広くて、そして思ったより人がたくさんいた。
楽しんでいこ‥
息を吸って伴奏が始まる。
みんな緊張してるけど、少し余裕があって表情は楽しそうだ。私も楽しむ。
スポットライトがあたる。
〜♪ ずっと 言えなかった
貴方のいない日々を 何か足りない日々を
補うためにずっと笑っていた
貴方のことを思い出さないように
貴方ことを忘れたいの
北川が言ってた。歌に気持ちを乗せろって。
好きな人をイメージして、好きな人を見て‥。
真正面の人混みの中にある観客席でヒラマサが見えた。隣にうちわを持った真緒が号泣しながらこっちを見ていた。
そうだ、私はヒラマサが好きだ。
〜♪ 貴方が好き
私の気持ちに嘘はないわ
悲しみも愛しさも切なさも
全部君からもらった
忘れない日々を
恋をした意味を‥
貴方を忘れられるほど 素敵な夢なんてない
貴方の横顔をいつまでも 忘れられないまま
一曲目が終わり、拍手が鳴った。
そして、二曲目へ。
一曲目はバラードだが、二曲目はポップなテンポの明るい曲。
〜♪
私、恋しちゃったの
甘酸っぱいチェリーパイ
サクッと弾ける 心に
甘酸っぱい恋ごころは魅惑の果実に溺れてる
貴方が好きな チェリーパイ
少し笑顔が出てくる余裕が出てきた
他とメンバーと視線を交わらせて、みんなも自然と笑顔になる。
ヒラマサの方を見て、ニコッと笑って見せた。
ファンサができる余裕がでてきた。
貴方が好き。
そう心の中で唱えた。
〜♪
I love you.
それはいつも伝えたい 君への本心
sweetな声を届けたい
ポップな声で 伝えたい 君が好き
夢の中でも貴方に会いたい
甘酸っぱい恋ごころはいつもチェリーの味だね
観客席で花たちの演奏を見つめる
真緒とヒラマサと寺倉。
『きゃーー!!!!花可愛すぎる!今こっち見たよね??ね?!ね?、ね?ね?』
『うるさい静かにしろ聞こえない』
『可愛過ぎてやばい!!ごめんなさい!!可愛い!』
『うるさい』
『‥ごめんなさい!!』
今、こっち見た‥か?がっつり目あったような気がするし、目があったら笑った気がする。可愛い‥。
あの衣装やっぱりダメだろ‥。
スカートの丈が短すぎる。足が見え過ぎだ。
‥いや、衣装だけじゃない。
シンプルに歌が上手い。声も可愛い。
案の定周りの奴らは可愛いだのあんな子いたかな?だの騒いでいる。
同じステージにいる西岡や北川と微笑みあっている。あんなのいるか?
あいつら変に期待させるようなことしたら、西岡なんてまだ全然佑々木のこと好きだろうに‥だめだろ‥。
北川なんてさっき、馴れ馴れしく頭撫でたり髪の毛触ったり肩に触れたりベタベタしやがって、練習中も距離が近くて腹が立つ。
しかも分かった上でやってるのが余計に虫唾が走る。あのイケメンたらしが‥。
『あーもう‥』
『佑々木ちゃんめちゃ歌上手だね』
『‥ああ』
『可愛いね!あんな可愛かったっけ?』
『あんなもんだろ』
『うかうかしてらんないね』
『え?‥なに言ってんだよ』
『誰かに取られちゃうかもよ?』
『‥うるさい』
隣にいるうるさい女は、佑々木のかっこいい姿を見て号泣している。感動したらしい。
ヤバいなこいつも。
周りにもちらちら見られてるし不審者がられてる。恥ずかしい‥マジでやめてほしい。
そして、寺倉の言う通りだった。
案の定2組のパフォーマンス後は佑々木たちのグループの演奏の話題でもちきりだった。
主に
『演奏がとにかく上手』
『佑々木の歌がめちゃ上手』
『佑々木が可愛い』
『衣装もおしゃれ』
『みんな可愛かった』
『バンドとしての完成度が高い!』
『北川のロングスカートイケメン似合ってる』
『北川くん最高にかっこいい眼福』
『北川くんのベースになりたい。』
だった。
打ち上げに行くとか言ってたな、どこ行くんだろ。
いや俺は違うクラスだし、そもそも彼氏でも父親でもないんだからそんなこと口出す権利ないけど‥でも、心配だ。
何かあったら‥いや、何かってなんだ?
『ヒラマサ、大丈夫?』
『え?』
『さっきからずっと眉間に皺載せて壁見つめてる』
『‥ああ、ごめん。』
『別に良いけど。午後から佑々木さんと回る予定とかないの?』
『‥別にない‥‥ってなんで俺が佑々木と回るんだよ』
『いや、なんかそういう感じなのかと‥』
『回らないよ。』
『そうなんだ。んじゃなにか食べに行く?お腹すいたし』
『‥おう』
演奏が終わると、赤石は一目散に花達のいるバックヤードへ走っていった。
ものすごい速さだったので追いつけなかった。
追いかけるつもりもなかったが‥。
寺倉と二人で人混みを抜けてベンチに座っていた。
『あ、焼きそばとかけんちん汁とかいいよね。』
『うん。なんか食べに行こう。』
寺倉と二人で歩いていると、佑々木がいた。
声をかけようと思ったが、隣に西岡がいた。
二人で屋台で焼きそばを買った後らしく、袋を持って奥の方へ消えていった。
たくさん買ってたし、みんなで食べるのかな。
流石に二人ではないよな‥。
というか。三年になってから西岡と距離近い。
放課後、ほぼ毎日一緒に勉強してるって聞くし、さっきもバンド同じチームだったし‥。
今見た感じもほんと普通にカップルに見える。いや。気にしすぎか。
『将生!焼きそば!食べよ!』
『あ、うん。ありがとう。』
『大丈夫?文化祭の時ぐらい肩の力抜いて楽しもうぜ!受験生なの忘れてさ!午後から柳田のクラスがしてるジェットコースター行きたいんだよ!柳田が会いにきてーって言ってたよ』
『あー、行く行く。楽しそうだな‥てか、柳田の作るジェットコースターって改めて聞くと怖いな。』
『死人が出る前に行かなきゃな!』
『いや、縁起でもないこというな』
『あと、焼きそば買ってきてーって言われてるから柳田の分も買ってきた』
『んじゃ冷める前に届けに行くか』
『うん!』
寺倉とともに柳田のある8組のクラスへ向かうことにした。




