文化祭1日目
1日目。
ヒラマサ達のクラスのファッションショーの出し物が始まった。
和紗と千佳とそして、久しぶりに綾羽も一緒に回ることになった。
照明も音響も本格的でその中で真緒や他のオシャレ好きな女の子達が服を持ってきたり、布を買ってきて服を作ってファッションショーが行われた。
『なんかなかなか奇抜な』
『パリコレ風だね』
『このファッションショーは何をイメージしてるんだっけ』
『ジェンダーレスダイバーシティとサスティナブルらしいよ』
『へー‥なんていった?』
『だから、ジェンダーレスダイ‥』
世界観についていけず、困惑する花と千佳と綾羽は配布されたパンフレットをじっと見つめながら頭には???がたくさん浮かんでいる。
その中で一人目をキラキラ輝かせながらステージを見つめる少女が一人‥。
『すごいわ‥!!』
『ん?和紗?』
『見た目だけに拘らず、服の素材や衣装の模様にライフスタイルを投影しているし、製作者達の思想まで見事に投影されてる。深層的ダイバーシティもしっかり反映されていて素晴らしいわ。』
『‥へえ。』
『小さい時に着てた古い服やおばあちゃんやおじいちゃんが着てたワンピースやベストをリメイクして衣装を作ったみたいだし、サスティナブルではあるよね。オシャレといえばおしゃれ。』
『なるほど。確かにサスティナブルだね。』
『あ、ヒラマサだ!』
ステージに上がってきたヒラマサは、雲丹色の生地に桜柄の着物をスタンドカラーコートにリメイクされたものを着て、黒のストレートパンツに黒の革靴を履いていた。
顔もメイクによりいつもより華やかに仕上がっている。
髪もセットされており、艶がある。
元々整った顔立ちをしているが、メイクや服装でガラッと雰囲気が変わりしっかりイケメンになっていた。
身長が高いヒラマサがステージに立つとやっぱり迫力があり歓声が上がった。
ぶつぶつ文句ばかり言っていたけれど、姿勢を正して、上半身がぶれない美しいウォーキングを披露していた。下級生たちから黄色い歓声も上がっていた。
『さすがヒラマサ』
『あのコート、真緒が作ったんだよね。すごいね。高級な職人が作ったやつみたいだよ。』
『うん。何ならちょっと欲しい。』
『私、普通に欲しい』
『俺も欲しい』
『西岡!?いつのまに!?』
『西岡が着てもあーはならないよ。』
『なんだと!?』
『君たち、イケメンばかり見てないで少しは自分たちの心配したら?他のグループは教室で練習してるよ。』
『北川まで!』
『まあ、なんとかなるっしょ』
『それに、ヒラマサ見ないとダメだし』
『君たちみんなヒラマサファンなの?』
『違うよ!友達です!』
『ふーん』
ファッションショーが終わるとデザイナー代表として真緒がステージに出てきた。
真緒は着物をリメイクしたドレスを着ていた。
蒼い生地にオレンジや黄色の菊の花の模様が裾にあしらわれており、裾には大きなスリットが入っており、肩もオフショルダーになっていた。メイクや髪型も衣装に合わせてしっかりセットされていて、まるで芸能人のような仕上がりだ。
『うわあ綺麗』
『真緒ちゃんこう見るとめちゃくちゃ美人』
『なんならモデルより綺麗』
『それはある』
真緒は、マイクを手に持つとステージに映像が流れた。
『3年S組。赤石真緒です。私たちのファッションショーはいかがでしたでしょうか?今回の件ショーのテーマは、ジェンダーレスダイバーシティとサスティナブルです。
現在環境に負荷をかけている産業というと、エネルギー、自動車、化学製品などの高付加価値産業を思い浮かべるのではないでしょうか?しかし実は、アパレル・ファッション産業は環境負荷が非常に高い産業であり、国連貿易開発会議(UNCTAD)の報告では世界2位の汚染産業としています。
15年前と比べて1人当たり平均6割多くの衣類を購入している一方で、平均的な着用期間は半分になっています。繊維素材のほとんどは再利用可能であるにもかかわらず、その85%は最終的に埋め立てまたは焼却処分されているのです。
我々、若い人にもサステナブルに作られた服を吟味して選び、長く着られるよう適切に手入れし、不要になった衣類はゴミとならないよう、処分方法に工夫をする必要があります。つまり私たちには、サステナブルなファッションとの付き合い方を模索・実践していくことが求められています。私たちにできることは、サステナブルに作られた服を長く着られるよう吟味して選び、手放すときにはリユース・リメイク。日々の暮らしで実践していくことが大切です。
このショーを通じてこれらのことが少しでも皆様にお伝えすることができたのであれば嬉しいです。
以上、3年A組ファッショショーを終了します。最後までご覧いただき、ありがとうございました!』
会場全体が大きな拍手と喝采に包まれた。
『これの後に普通にバンドパフォーマンスする私らなんなんだろ。』
『まあとりあえず今から昼休憩挟むから、みんなの記憶はリセットされるさ』
『いや無理だろ』
『さすがSランク。特進科。』
『みろ。担任の西嶋先生のドヤ顔。』
『腹立つ』
『ほら帰るぞ』
北川に首根っこを掴まれた私たちは早々に自分たちの教室で連れて帰られた。
そして、教室に帰り、最後にみんなで合わせて楽器演奏を行った。
『なかなか良くない!?』
『2ヶ月にしてはなかなかの完成度だな』
『やっぱり佑々木の歌唱力が格段に上がったのがでかい』
『花ちゃん楽しみにしてますよ?』
『ありがとう‥がんばります‥』
『てか、時間の都合でうちらだけ2曲歌うことになったけど、良いの?』
『俺らのグループが一番スムーズに練習進んでたしね。釈の関係でそこでもう一曲してくれたら助かる的なノリだったから良いんじゃない?』
『頑張ってね、花ちゃん!』
『みんなもだよ!頑張ろう!』
『終わったらみんなで打ち上げだなー』
『楽しみすぎる!』
『頑張るぞー!エイエイオー!』
そして、30分後にクラスTシャツに着替えた真緒がやってきた。
そして、私たちのバンド演奏のときに着る衣装を持ってきてくれた。
『うわあ!!可愛い!!!』
『やばいテンション上がる!』
『緊張してくるわ‥』
真緒が作った衣装を始めて着ることになった。
花の衣装はクラスTシャツに合わせて膝上丈で赤チェックの2段のフリルスカートだ。両サイドに黒ベースのチェック柄の布で作った大きなリボンがくっついており、ボリュームあるスカートに仕上がっていた。
そこに黒の編み上げブーツを合わせている。
和紗は、膝下まである赤チェックのロングスカートで何段にもフリルが重なり一つ一つのフリルの裾には丁寧に黒レースがあしらわれていた。同じく黒の編み上げブーツ。
千佳は、同じく赤チェックだかフリルは一段でフリルの丈が一つ一つ違いジグザグな丈になったいる。裾からは黒レースのショートパンツが見えており、膝丈の靴下に黒の厚底ショートブーツを合わせたボーイッシュかつ可愛い仕上がりになっていた。
西岡は、ダボっとした赤チェックズボンにサイドのポケットから大体に黒いスカーフが見えていた。黒の革靴を合わせてある。
田中は、赤チェックの膝丈のショートパンツにサイドにチェーンがかかっている。
北川は、まさかの大胆に太腿からスリットが入った赤チェックロングスカート。下に黒タイツを履いており、編み上げブーツだった。
『可愛すぎるよ!!私には可愛すぎる!』
『え!?めちゃくちゃ可愛いよ!!』
『サイズぴったりなの怖すぎ‥』
『俺このロングスカートめちゃ好みだわ』
『北川似合いすぎだわ』
そして、メイクや髪型もこだわってくれた。
『お金払わないとダメなやつだ』
『気にしないで!好きでやってることだし!』
『強すぎだろ』
『このブーツは経費?』
『うちのクラスのファッションショーで使ったやつの使い回しだから大丈夫だよ!後でまた返してね!』
『大切に使うねありがとう』
『花のこと見るのめちゃくちゃ楽しだよー!
ね!?ヒラマサ!』
真緒が声をかける方を見ると教室の外にヒラマサと寺倉がいた。
『ヒラマサ!きてたの?』
『赤石が佑々木たちの衣装を運ぶから荷物持ちをしろって言うからついてきた。』
『そうなんだ!ありがとうね!』
『おう‥というか、スカート短すぎないか?そんな格好でステージに上がったら下着が見えるんじゃないの?良いの?』
『見せパン履いてるよ』
『何だ見せパンって見せても良いパンツか?』
『まあ、そういうやつ』
『ふーん‥まあ、でも、あんまりステージの際には立たないほうが良いんじゃないか?世の中には変な奴もいるから。』
『あ、うん‥』
『ちょっと!ヒラマサ!そこは普通に似合ってるー可愛い!でしょ!?馬鹿なの!?
てか、なにその感想!父親なの!?』
『はぁ?赤石ここ最近俺に対して扱いキツくない?』
『本当のこと言っただけよ!』
『うるさいな』
『ふふ‥同じクラスになって真緒とヒラマサも仲良くなったんだね!二人とも好きだから仲良くしてくれるの嬉しい!』
『仲良くないわよ』
『そうだ、仲良くない』
『‥そうですか』
『まあ、二人とも素直じゃないからね』
『『うるさい寺倉』』
真緒は、ヒラマサに対する気持ちがなくなったようで恋愛感情みたいなのを感じなくなった。
それがヒラマサにも伝わっているのか前ほど警戒心もなくなり、とても仲良くなった。
友人としては相性がいいのかも。
『花は緊張してるんだよ。緊張ほぐしてあげなよ!リラックスできる声かけ!』
『う、やめてよ!千佳!余計緊張してくるじゃん!』
『あら、ごめんなさい』
『まあまあ、佑々木さんらしくいつも通り歌ってくれたら最高のパフォーマンスになるからリラックスして頑張ろ?』
北川が花の肩に触れてきた。
『ありがとう、北川くん。今日までたくさん指導してくれて本当に助かったよ。』
『いやーそんなことないよ。佑々木さん飲み込み早いし、声も綺麗だから教え甲斐があって楽しかったよ。今日限りで佑々木さんの歌声聞けないと思うと寂しいレベル。』
『北川君‥褒めすぎ』
『あはは♪』
北川君は、イケメンでプレイボーイなこともあり花の肩を触り、そのまま頭をポンポンと自然になでていた。その様子をものすごい睨みつけているヒラマサと西岡。
周りはヒヤヒヤしている。
『あ!北川、私も褒めて!』
『赤澤さんは演奏はちょっと雑だけど、ムードメーカーとしてバンドのメンバーを盛り上げてくれたしここまで頑張れたのは赤澤さんのおかげだね♪』
『なんか棘があるけど、まあいっか!』
『まあ。でも北川君と田中君がたくさん教えてくれたからここまでやってくれたよ。本当にありがとう。二人とも。』
『経験者って言ってもうちらほぼ初心者だったしね。バンドなんて未経験だし。』
『ほんと感謝だよ。』
『なに言ってんだよ!それを言うのは、演奏が終わってからな?頑張ろうぜ!』
『最高!田中!イカす!』
『よっしゃ!頑張るぞ!』
『『『『『『オー!!!!』』』』』』
みんなで円陣を組んで声かけをした。
『んじゃ寺倉とヒラマサも手伝ってくれて、ありがとうね!私たちも体育館行こうか!花達の演奏は最前列で見たいし!』
『そうだね!あれ?ヒラマサ?』
ヒラマサがスッと花の近くに近づいてきて、小声で話しかけてきた。
『佑々木』
『ん?なに?』
『北川は、イケメンだ。』
『え、うん?』
『モテる』
『う、うん』
『やめとけ』
『はい?』
『あいつには彼女が6人いると言う噂が‥』
『ちょちょちょ、なに言ってんの?私と北川くんはそんなんじゃないよ?』
『‥分かってるよ。』
『大丈夫?ヒラマサ最近変じゃない?』
『別に‥』
ヒラマサは、軽く息を吐くと、意を決したようなキリッとした表情で花の頭をポンポンと2回撫でた。
『頑張れよ。見てるから。』
『‥ありがとう。』
不覚にもドキドキしてしまう。
そのままヒラマサは、真緒と寺倉と3人で去っていった。
『青春だね‥』
『‥青春だ』
『‥ねえ、千佳こんなのされたら勘違いしちゃうよね.‥よくない。』
『今更何言ってんの?』
『‥へ?』
『はいはいもう行くよー!』
みんなで楽器を運びながら体育館へ向かった。




