文化祭練習
毎日ひたすら勉強する中で文化祭が近づいてきた、みんな最後の文化祭とあり、勉強は少しセーブしながら文化祭を楽しむらしい。
ただそれよりも2年の時よりかなり質素なものになる。
2年生の時は模擬店やステージで長尺演劇やダンス披露してたクラスでも教室内でのカジノ、展示会、映画放映などをするクラスが多くなっている。
しかし、その中でも張り切って凝ったものをやってしまうクラスも多々ある。
例えば、Sランク特進クラスは真緒がかなり張り切ってるようでファッションショーをするらしい。
デザインや服に興味があるメンバーで服を作って何人かのメンバーに来てもらいランウェイを歩いてもらう。
真緒のゴリ押しでヒラマサをモデルに起用したらしい。身長も高く細身なのでみんなにも背中を押されたらしい。
モデル体型なのできっと似合うだろう。
真緒はモデル兼デザイナー、制作、演出など全てを手掛けるらしい。
これは絶対に観に行かなくてはいけない。
そして、我がクラスは、学級委員長の西岡が仕切っており、何にするか猛会議の結果。
‥バンドパフォーマンスになった。
楽器ができるメンバーが多くクラスに在籍しており、30分の尺の中で効率よくパフォーマンスができると踏んだらしい。
ただボーカルだけがなかなか決まらない。
そして、西岡が変なことを言い出した。
『‥俺さ、思うんだけど、佑々木歌上手いし、ボーカルやりなよ!』
『はぁ!?何言ってんの!無理だから!』
『確かに、前一緒にカラオケいったときめちゃうまかったーしかもロック系ばっかり歌ってるし、そういうの好きなんでしょ!』
西岡に釣られて千佳までのってきた。
『無理だよ‥確かにそう言うのは好きだけど、私はギターで立候補したはずだよ。』
『だって、佑々木以外にギターしたいやつ8人もいるし』
『うっ‥』
『みんな演奏できるように5曲を5グループに分かれて一曲ずつ演奏しようと思ってるの』
『公演時間は30分だもんね』
『前節は喋り上手な男子がするから!』
『佑々木のグループは、佑々木がボーカルでよくね?』
『良いね!』
『そうしよー!』
他のメンバーも同調してしまった。
38人クラス。
6人グループが5チームで
バンド合計30名。
音響・照明係が合計6名。
前節2名。
1チーム一曲であれば、勉強しながら十分な練習時間が確保できるだろうと言う話になった。
メンバーは、ボーカル佑々木、ギター西岡、キーボード和紗(5歳からピアノを習っている)、ギター千佳(経験者)、にかなり有識者のドラムの田中君とベースの北川君が加わった。
田中君は、ブロッコリーヘアな癖毛が特徴的な明るい男の子。
北川君は黒のロングヘアーをいつもお団子に纏めており、ピアスを何個もあけている。イケメンでお洒落なTheロックバンド系の男の子だ。女の私より髪も綺麗。
そして、全学年からモテる学年一のモテ男だ。
『田中は、めちゃくちゃドラム上手いんだよ!』
『そうなんだ!よろしくね!』
『ハードル上げんな!よろしくお願いします』
『俺と田中は趣味でバンドしてるし、役に立てると思うよ。流行りの曲なら大体弾けるからねー!』
『まじで?頼りになる!』
『文化祭まで2ヶ月あるし、なんとか練習してそれなりに仕上げていこう!』
『おう!』
『んじゃとりあえずさ、佑々木さんの声質とか歌い方の癖とか聞いたから合いそうな有名どころをいくつか持ってきたし、どれが良いかみんなで決めよう。』
『お!北川仕事はや!』
『こういうのは早く決めて、早く練習しないと。』
『そりゃそうだ』
『佑々木はどれがいい?』
『うーん‥この曲好きかも』
『恋愛ソングだ!良いね!可愛くて!』
『うん、佑々木さんっぽくていいかも。難易度もこの中だと低めだし初心者にはもってこいだな。』
『んじゃこれでいいんじゃない?』
『え!?いいの!?みんな弾きたいのないの!?』
『なんでもいい』
『俺もなんでも良い』
『ボーカルが歌いやすいのが一番だよ。下手に難しいやつチョイスされても練習時間が2ヶ月だし、クオリティ落ちそうだしね』
『んじゃこれで決まり、曲名は愛のあとがき!』
楽器組は練習を始めた。田中くんと北川くんはかなりのハイスペックでギターやキーボードもスラスラ演奏できるようでもち前の腕前と指導力でみんなに指導していた。
私もイヤホンで聴きながら練習を続ける
すると北川くんがやってきた。
花の隣に座る。
『佑々木さん。調子どう?』
『あ、北川君。うーん‥自分ではよくわからなくて』
『歌ってみてよ。』
『えっ!?ここで!?』
『うん。』
北川君って塩顔イケメンで、ちょっと緊張しちゃうな。それに女慣れしてそうな雰囲気がなんかとっつきにくくて苦手だ‥悪い子じゃないけど。そして、ナチュラルに距離が近い。
渡り廊下に二人しかおらず、声もかなり響く
『ここだと声が響くかも』
『響かせてよ』
『‥うっ‥わかったよ。』
〜♪ ずっと 言えなかった
貴方のいない日々を 何か足りない日々を
補うためにずっと笑っていた
貴方のことを思い出さないように
貴方ことを忘れたいの
『‥こんな感じかな』
『うん。上手だね!可愛い声質だし恋愛ソングが似合う!』
『そんな褒められると照れる』
『けど、気持ちが入ってないよね』
『えっ』
『好きな人とかいないの?』
『へ‥』
『うん!その反応だと、いるよね?んじゃその人のこと思い浮かべて歌ってみてよ。』
『えっえっ‥ちょ、い、ない!いないから!』
『良いから早く!目つむって!』
『うう‥』
好きな人‥好きな人‥
ヒラマサの顔が思い浮かんだ。
修学旅行で見た浴衣姿や花火大会で見た花火を見る横顔。この前一緒に食べたプリンを見つめる満面の笑顔。
〜♪ 君が好き
私の気持ちに嘘はないわ
悲しみも愛しさも切なさも
全部君からもらった
忘れない日々を
恋をした意味を‥
『良いじゃん!やればできるじゃん!
その調子でいこ!』
『‥うう‥恥ずかしい』
『‥なにしてんの』
北川君と二人で階段に座ってると後ろから声がした。振り向くとそこには、Tシャツと体操着のズボンを履いたヒラマサが立っていた。
『ヒラマサ!何してんの?』
『いや、こっちのセリフだけど。好きとかなんとか言ってたけど、そういうのはもっと小声でやるもんだろお前ら。』
ものすごいジト目で北川君を見つめている。
何か大きな勘違いをしてそうだ。
花は突然現れたヒラマサに歌を聞かれたのではないとか思い恥ずかしくて消えたくなっている。顔が耳まで真っ赤だ。
そんな二人を交互に見る北川くん。
『あー!はいはい!なるほど!ごめんごめん!文化祭でバンドすることになってさ、佑々木さんの歌の練習してたんだよ。変な誤解させたならごめん!』
『‥なるほど。そういうことか。』
『大丈夫だよ!ヒラマサ!俺はそんなんじゃないから!大丈夫!俺はそんなんじゃない!』
『2回言わなくてもいいよ』
『てか、めちゃくちゃ歌歌ってるのに、告白と勘違いするなんて、ミュージカル過ぎてるでしょ!ミュージカル映画の見過ぎだからヒラマサ!』
『うるさいな。人気のない渡り廊下で男女が二人で好きだよどうだの言ってたらそう思うだろ。』
『はいはい!んじゃ俺は、他のみんなのとこ行ってくるわ!佑々木さんその調子で練習頑張って!』
『北川君、ありがとう!』
『はいはい!』
北川君は、手を振りながらそのまま教室の方へ走って行った。
渡り廊下で残されたヒラマサと花。
ヒラマサは、ため息をつきながら花の横に座った。
『‥ヒラマサ、久しぶりだねなんか』
『あぁ、そうだな。最近喋ってなかったもんな。』
『文化祭進んでる?』
『ああ、赤石がやたらと張り切ってる。ファッションショーを高校の文化祭でするのが夢だったとか言って、採寸されておわりかと思いきや永遠に試作品の服を着せられる。あいつちゃんと勉強してんのか?受験生とは思えないほど服しか見てないぞ。もう一人で10着以上作ってる。』
『すごいなー!真緒!』
『付き合わされるこっちの身にもなれ』
『ヒラマサもお疲れだね!よしよしー!』
ヒラマサの頭を軽くなでなでする。
『‥!!!や、やめろ!』
『あ、ごめん!つい、こんなにやつれてるヒラマサ見るの初めてだから!』
『‥はぁ。佑々木はどうなの?北川と二人で文化祭の練習?』
『あ、バンドパフォーマンスすることになってね。私がボーカルをすることになったの。
みんなの前で歌ったりするの初めてだから色々教えてもらってるの』
『あ‥確か、北川ってバンドしてたもんな』
『そうそう』
『んじゃ、俺も観に行かないとな。』
『え!見にこなくていいよ!』
『なんでだよ。行くに決まってるだろ。』
『恥ずかしいよ!そんなに上手じゃないし』
『さっきの声聞く限りだとかなり上手だったと思うけど』
『やっぱり聞いてたの‥』
『楽しみだな〜』
『私だって、ヒラマサのファッションショー楽しみだなぁ?』
『‥やめろ』
『モデルとしてランウェイを歩く姿はそれはそれはかっこいいんだろうな』
『やめろやめろ!赤石にほだされて他の奴らも乗り気になってるんだよ。勘弁してほしい。』
『ヒラマサスタイルいいからいけるよ!』
『身長が高いだけだろ。』
『十分でしょ?180cmくらいありそう』
『4月の身体測定で185cmあった。よく分かったな。』
『だって大きいもん。他の男子より頭ひとつ分くらい大きい。』
『そうかな?』
『あー!!!!いたぁあ!!!逃げないでよ!!!ひらまさぁあああ!!!!』
『ゲッ‥この声は‥』
『真緒だ!こっちこっち!』
『あ!やっぱり花もいるじゃーん!!!二人で何してんの!?』
『いやたまたま会ったから話してただけだよ。真緒がファッションお化けになってるって聞いてますよ。』
『おい言うな』
『ちょっとヒラマサ!愚痴ってないでちゃんと付き合ってよ!』
『うるさいな。付き合ってんだろ!』
『花はここで歌の練習?北川が花ならここにいるよーって教えてくれたの』
『そうそう、ここなら一人で集中できるから』
『あいつ‥余計なことを』
『何か言った?ヒラマサ君?』
『‥何もないよ。んで、何?また服?』
『当たり前でしょ。ファッションショーなんだから!』
『はぁー‥』
『花がバンドするって聞いてさ!めちゃ楽しみ!そこでなんだけど、花たちのバンドの衣装私に作らせてよ!』
『えええ!?ファッションショーもあるのにそんなことまでできるの?6人もいるよ?』
『クラスTシャツあるでしょ?あれにちょっと手加えるだけだし1日もあれば全員分できちゃうから任せて!』
『ええ‥なんか悪いな、みんなに聞いてくるよ』
『北川にはOKもらったよー』
『ええ!?んじゃいっか。一応リーダーは北川君だし。』
『そうだなぁ赤のギンガムチェックとか似合いそうだし‥スカートをアシンメトリーにして、フリルを横に付け足して‥北川は、イケメンだからブラックのバルーンパンツに赤チェックのスカーフを腰に巻いて‥』
『アイデアが溢れてるね』
『クリエイター心が止まらないな』
『ハッ!!!』
『何!?』
『どうした?とうとう壊れたか?』
『ヒラマサに合わせたい服があと10着あるの!早く戻ってきて!もう今日決めちゃうから!』
『えぐっ‥』
『頑張ってね!2人ともー!』
『花達のバンド楽しみにしてるから!うちわとペンライト持っていく!』
『そんな目立つことしなくて良いよ』
『ヒラマサも一緒にうちわ持つわよ!』
『えっ』
『さあ!文化祭の準備よ!サボりは許さないわ!早くいくわよー!』
真緒はヒラマサの腕を掴んで、そのまま教室に向かって走って行った。
ヒラマサがげっそりした表情でこちらを助けを求めていたが、今はとりあえず笑顔で送り出してきた。
よし!私も頑張るぞ!




