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18. 修学旅行 真緒ver.


真緒は1人で旅館の中を歩き回っていた。

花を探して。


ひどいことをしてしまった。

脱衣所の中で、花にひどいことをしてしまった。花は泣きそうになっていたし、震えていた。

いつも笑顔であまり感情を表に出さないタイプだが、あんな姿は初めて見た。


そして、さっき言っていた。


『2人でカフェにいたのは、たまたまバイト先にヒラマサがいて、店長がぎっくり腰で倒れちゃって、その時にヒラマサが助けてくれたから店長の奥さんがお礼にお金を渡してくれて2人でお昼ご飯食べてきてと言われたからなの!約束して行ってたとかそんなんじゃない‥!』


みんなは、そんな都合のいいことないって、嘘ついてるって言ってたけど、あの顔を見ればわかる。

嘘じゃない。

花の言ってることは本当だ。


私は別にヒラマサと2人で食事をしたことが嫌だったんじゃない。

私との約束を断って私に隠してヒラマサと食事に行っていたことを後から人伝に知ったことが悲しかったんだ。


どうして私に言ってくれなかったんだろ。


あの時私の誘いを断ったのは、バイトじゃなくてヒラマサとご飯に行くためだったんだ。


どうして嘘ついたんだろ。


ひどいじゃない。


花火大会も私に内緒でヒラマサたちと行くなんてずるいじゃない。


私も一緒に選んだ浴衣でしょ。

一番最初に花の浴衣姿を見るのは私だったはず。最初にヒラマサに見せるなんてずるい。


でも、夏祭りは私が一方的に仮病を使ってドタキャンしたんだ。私が悪い。


オムライスカフェ事件の腹いせにちょっといじわるしたかっただけなんだ。

私と同じように悲しい思いして欲しかった。


けど、まさかヒラマサたちと一緒にお祭りに行くなんて思いもしなかった。


けど、私は風邪で休んだ設定だったんだから何か一言お詫びの言葉とか、そう言うのがあってもよかったんじゃないの?


やっぱり花がひどい。


友達だと思ってたのに‥。


その後も夏期講習で会ったし。


直接話す機会はいくらでもあった。


それなのに、何も言ってくれなかった。


そんな黒い感情が渦巻いて悲しかった。


ヒラマサのことは好き。

見た目も好みでカッコいい、運動音痴だけど成績優秀で恋愛に興味なくて塩対応なところが面白くて。

けど、花と一緒に恋バナをして、ヒラマサと柳田と4人で過ごすことがあって、それが楽しくてみんなと一緒にいたかっただけなんだ。


花の友達でいるのが誇らしくて、好きだった。


なのに、私は何をしてるんだろ。


花は一度も私を裏切ってなんてなかったんだ。


謝らなきゃいけない。


『花ッ‥あ!』


廊下を歩いている花の後ろ姿を見つけた。

追いかけたが、すぐに足が止まった。


なぜなら隣にヒラマサがいた。


2人で一通りが少なそうな場所へ移動している。


そして、そのままベランダから出て中庭へ出て行った。


こっそりついてきてしまった。


しかし、距離が遠くて花の声が聞こえない。


2人でベンチに座っている。


お似合いの2人だ。


なんとなく気づいていた。

ヒラマサの気持ちは私にはない。

きっとヒラマサは、花のことが好きなんだ。


花に会うために花のバイト先に行ってる。

私に対して冷たいながらも丁寧に接してくれるのは花の友達だからだろう。

実際、2週間ほど前に一人でヒラマサに声をかけた時に、いつもなら嫌々対応してくれるのに、完全に拒否された。

きっと、花を傷つけたことを怒ってたんだ。


『俺を無視してたことはなかったことにしてやろう』


そんなヒラマサの声が聞こえた。


えっ、花。ヒラマサのこと無視してたの‥?

何の為に‥?

いや理由は一つしかない。

私のせいだ。私や亜美たちをこれ以上怒らせないように距離をとっていたんだろ。

ヒラマサが怒るわけだ‥。


申し訳なさで潰れそうになる。


2人で楽しそうに話してる時に、まさかのヒラマサに見つかってしまった。


がっつり目があった。


すると、ヒラマサは怖い顔で睨みつけてきた。

体が少しビクッとなった。

けど、すぐに視線を逸らして、また優しい視線を花に向けていた。

でも私がしたのはそういうことだ。


涙が溢れてきた。


私に謝るチャンスなんてもうない。

謝っても許してもらえないだろう。

許してもらえたとしても、前みたいに仲良しな関係にはもう戻れない。


私は好きな人と親友を両方失ったんだ。


中庭に植えてある紫陽花の影に隠れて、1人で溢れてくる涙を必死に堪えていた。


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