花火大会の前日
花火大会前日の早朝。
真緒から突然limeで連絡が来た。
《花、ごめん。風邪引いてしまって、熱も高くて明日の花火大会は行けそうにないの。ごめんね!(>人<;)》
《風邪なら仕方ないよ!また違うお祭りに行こう。お大事に!》
‥とはいうものの、結構楽しみにしてたのにな‥悲しい。
バイト中も悲しくてため息が出てしまう。
真緒大丈夫かな。
お見舞いに果物でも買って持っていこうかな‥
『あらあら、花ちゃん。元気ないね。』
『え?そうですか?』
『花ちゃんわかりやすいからね』
『実は、花火大会に一緒に行く友達が熱出ちゃって、行けなくなったんです。』
『あら、それは悲しいわね。』
『そうなんです』
『せっかく休み希望入れてたのにね』
『あはは‥』
『あの子誘ったら?』
『あの子?』
『ほらほら、今日もきてるでしょ!男前のメガネくんよ!』
『あー‥大丈夫です。』
『えーなんでー!』
『そういうのじゃないので、』
あの日以降、店長の奥さんがやたらヒラマサと私をくっつけたがる。
『それに、友達が彼のこと好きなんです。私が出しゃばるわけには行きません。』
『あら!あらあら!三角関係ね!燃える!』
『燃えません。』
『えー』
奥様から逃げるようにテーブルの片付けに回る。
ヒラマサとは何も起こらない。
そもそもそんなに好きじゃない。
良い人ではあるけど、それは友達としてで恋愛対象としてはあまり見れない。
見たこともなかった。
周りからはそんなふうに見られてたのか‥。
まさか、真緒にも誤解を‥いやいや!
考えすぎだ!深く考えたらしんどくなる!
『すみません。』
『はい!どうされま‥‥なんですか。』
『何で俺だって分かるとあからさまに嫌そうな顔するんだよ。』
『別に‥』
『カフェオレお代わり。』
『はい。』
このお店は、ブラックコーヒーとカフェオレはおかわり自由だ。
そして、今日もヒラマサはいつも通り窓際のカウンターの席を定位置にくつろいでいる。
『お待たせしました。』
『どうも。‥なんか元気なくない?』
『別に普段からそんな元気キャラでもないので』
『いつもより覇気がない。』
『覇気なんて元々ありません。』
『なんかあったのか?』
『‥明日の花火大会に真緒と行く予定だったんだけど、風邪引いちゃったみたいで行けなくなったの。それでちょっと落ち込んでる。』
『へーどんまい』
『どうも』
何か気の利いたことを言うわけでもなく、ただ理由が気になっただけかーい。
『まあ、でも花火大会なんて行ってないで勉強しろって言う神からのお告げじゃない?』
『ヒラマサは、勉強しかしてないじゃん。私たち一般人には気晴らしも必要なの。』
『俺は一般人じゃないみたいな言い方してんな』
『そうでしょ。休みの日も毎日予備校とパン屋さんの自習スペースで永遠に1人でぼっち勉強』
『勉強は1人の方が捗る』
『友達と遊んだりしないの?』
『するよ』
『え』
『なんだよ』
『するの?』
『するよ。明日だって、柳田たちと花火大会行く予定だけど。』
『人混みは嫌いだって‥』
『嫌いだけど、誘われたら行くよ』
うそ‥こんな、ぼっちメガネに負けた。
真緒がいなければ一緒に花火大会に行く相手すらいない‥ぼっちは私だったのかもしれない。
『お前、今死ぬほど俺のこと馬鹿にしただろ』
『いいえ‥楽しんで‥』
『おい』
『ごゆっくり‥』
『お前、そんなに花火大会行きたいの?』
『‥真緒と行きたかった』
『共依存女子かよ』
『浴衣も買ったし、アクセサリーも買ったし、りんご飴食べたかった‥』
『‥』
『花火も楽しみしてたのに‥』
『はぁ‥んじゃ一緒にくるか?』
『‥え?』
『明日の花火大会一緒にくるか?って聞いてんの。柳田とその他諸々、後は姉ちゃんも一緒にくるし、女の子がいた方が姉ちゃんも喜ぶし。』
『え‥杏奈さん?』
『2組の寺倉って分かる?あいつ生徒会なんだけど、生徒会一緒で会長の姉ちゃんのこと本気で狙ってるみたいで、めちゃくちゃお願いされたんだよ。一緒に花火大会に行くように誘ってくれ!って。友達だし、協力だけでもしてやろうかなって‥本当はあんまり乗り気じゃないけど。姉ちゃんも別に予定ないしって。生徒会メンバーの人たちと俺と柳田で行く予定。来る?』
『‥行く。』
『え?』
『行きます!』
『そう、夕方四時に駅前に集合だから。みんなには言っとくし、遅刻すんなよ。』
『ありがとう!でも急にそんな良いのかな』
『良いだろ別に。元々よく分かんないメンバーで行くんだから。』
『真緒も誘ってもいい!?』
『熱なんだろ』
『あ、そっか‥』
少し罪悪感はあるが、2人で行くわけじゃわない。杏奈さんや他のメンバーもいるし、柳田もいる。変な誤解は生まれない。
よし、んじゃ楽しみにしていこう!




