034話 それぞれの論理
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「だから! 絶対そうじゃないっての! そんなことも分かんないの?」
「……鷹津、うるさい。これがベスト」
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて」
「「アンタ(朝花)は黙ってて」」
(……なんだよ、息ぴったりじゃんか)
立海山との練習試合に向けて、本格的な作戦を立てている昼休み。
生徒の立ち入りが許可されている屋上に、5人全員が集まって話をしていた。
顧問の知識が当てにならないから、このミーティングをしようということに。
発案者は意外にも凛だと、誘いに来た英理奈伝てに聞いている。
凛がこんなにも積極的に動くなんて、明日は槍が降るのでなかろうか。
そんな事を思いながら、感心していた矢先の出来事だった。
喧嘩の内容は、フォーメーションについて。
凛が4-4-2の獅子王先輩と俺のツートップ。
トップ下は当然凛が担当するので、自ずと犬飼がサイドハーフに振られる構成となっている。
対して、犬飼は4-3-3の自身をセンターフォワードにおいた布陣。
つまら、議論の焦点は犬飼はどこに置くかだ。
よくもまあ、こんな大事に出来たもんだ。
フォーメーションを考えるのは勿論大切だけど、もっと仲良く出来ないものかな。
なんて、今更言ったところで聞いてもらえるとは思えないけど。
「アンタの体力でセンターフォワードはあり得ない。そもそもサイドハーフも苦肉の策なのに。12人全員揃うか分からないから、1年は全員入れるって話じゃなければ、サブ確定でしょ」
「私は確実に点を取れる。だから、センターフォワード。守備の参加率を減らせば2点、3点も可能」
「相手は1年とは言え、立海山なのよ? 2点、3点取れただけじゃ足りないの。疲れ切った人間が真ん中をうろうろしてたら、はっきり言って邪魔」
「はーい、ストップ。流石に言い過ぎだよ、たかりん」
一触即発の状況。
英理奈が上がり過ぎた熱を冷ます。
言葉が強過ぎたのは凛も自覚していたようで、ボソッと言い過ぎたと謝る。
ただ、議論については譲るつもりはないらしく、他の3人に意見を求めた。
俺達は顔を見合わせて、苦笑いしながらも各々の意見を出す。
「ウチはどっちかと言えば、4-3-3かな。先輩達はどれだけ上手いか未知数ってのもあるし。そもそも練習試合だからやる気があるかも微妙じゃん? だったら、前線に1年2人必要じゃない?」
「私は4-4-2の方が中盤が安定して、攻守共にバランスが良くなると思うんですけど」
これで意見は真っ二つ。
民主主義の考えに基づいた日本において、こうなった場合は多数決が採用される。
1年生は5人。
残された俺が決定権を持っていると言っても過言ではない。
一気に集まる全員の視線。
勿体ぶらずに早く言えよと圧が掛かる。
緊張でごくりと唾を飲み込む。
こんな事になるなら、みんなの意見を待たずに我先にと発言すべきだった。
観念して、俺の最適だと思うフォーメーションを発表する。
「4-2-1-3、これがチームとしての最適解だよ」
「だから、それだとFWの犬飼が──」
「その問題は、これをこうして、こうすれば」
携帯に入ったサッカー戦術アプリで、ちゃちゃっと想定したものを形にする。
そして、全員に見えるよう円陣の真ん中へ携帯を置いた。
飛びついて確認し始める犬飼と凛。
遅れて杏と英理奈も顔を覗かせた。
それなりに自信はあるけど、ゲームと現実は話が違う。
みんなに酷評されてしまったらどうしようかと、不安を胸に抱きながらも全員目を通したところで、俺の理論を解説する。
「アタシが…………、センターフォワード……?」
「……私、トップ下」
「最初の1点は犬飼さんと凛を入れ替える。犬飼さんが1点入れた後は、このポジションに。利点は体力切れの犬飼さんを最大限活用出来る点にある」
「トップ下なんて1番体力使うでしょ。アンタ、素人?」
自分のポジションをバカにされたと感じた凛が鬼の形相で詰め寄る。
気迫に圧倒されて一歩引き下がりそうになるが、グッと堪えて説明を続けた。
「犬飼は守備に参加しない。ボールを前線に繋ぐ中継の役割として、真ん中に居座ってもらう。ボールのコントロールもピカイチだし、十分仕事が出来るでしょ」
「それだと犬飼をマークされて終わりよ」
「私、マークされても負けない。1人、2人なら勝てる」
俺もそう信じたい。
体力温存しながら、マークされたら何とか彼女のドリブルで突破してもらう。
前半には犬飼の弱点に気付かれるだろうから、後半はこの考えも通用しないだろうけど。
それはどんな対策にしたって同じだ。
4-2-1-3と守備を厚めにしたのも、前半に点差を付けて守り切って逃げ切る為。
点差によってはフォワードを1枚下げて良いとすら思っている。
「良いんじゃない? これでやってみるのも! 色々考えてくれてるのは伝わるし」
英理奈の助け舟がここで来る。
「私も賛成です。なんだか、話を聞いていて勝てるような気がしました」
杏も乗っかったところで多数決は俺の勝ちとなった。
渋々、犬飼と凛も承諾してこの案が最終決定に。
フォーメーションだけでここまで議論になるなら、この先もスムーズには決まらない。
当分の放課後は、ミーティングに割り振られると覚悟しておかなければ。
「春陽さん、春陽さん」
隣にいた杏がちょんちょんと肩をつつく。
「ん? どうしたの?」
「なんか、今すごく楽しいです。サッカー部に誘ってくれて本当にありがとうございます」
嬉しそうな笑顔を浮かべて、彼女が言った。
感謝されるようなことはしていない。
どころか、杏がいたからこそ上手く行った場面も多い。
でも、悪い気はしなかった。
無理矢理誘ってしまったのではないかと偶に考えてしまう。
初心者の彼女に負担を強いる事だって沢山。
現に、立海山戦も他の人と同じくらいの戦力として計算していた。
そんなプレッシャーの中で楽しいの一言が、俺の心を軽くさせる。
「これからもっと楽しくなるよ」
「ふふっ、そうですね。だって、雅野の伝説がここから始まるんですから」
「覚悟しておいてね。弱音吐いたって逃がさないから」
「勿論ですよ。最初からそのつもりです!」
ここまで付いてきてくれた杏の為にも。
人付き合いが苦手なのに頑張ってる犬飼の為にも。
プライドと戦いながらチームに協力する凛の為にも。
何から何までサポートしてくれる英理奈の為にも。
まずは一勝。逃す訳にはいかない。
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