028話 幼女と鷹津
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午前中にやることを済ませたので、午後から自主練をすることに。
学校のグラウンドを使うのが1番環境としては良いけれど、わざわざ1人で練習する為に学校へ行くのも憚られる。
自分で休みにした手前、誰かを誘うのも難しい。
結局、自宅近くの公園を選んだ。
移動のコストも抑えられて、広さも申し分ないのはここ以外ない。
この時間帯はまだ小学生が遊んでいるので、端の方でなるべく邪魔にならないようにスペースを確保した。
「おねぇちゃん、サッカーするの?」
準備運動がてら、軽いドリブルから始めていると小さな少女が服の裾を引っ張った。
突然現れるからびっくりして、ビクッと体を揺らすと、それが面白かったのかケタケタと笑っている。
「どうしたの? 迷子?」
「ちがうよ、おねぇちゃんと一緒におさんぽしてたの」
「んんー? お姉ちゃん、今どこかな?」
お姉ちゃんと一緒という少女。
だけど、周りにはそれらしき人物が見当たらない。
少女は慌てて周りを確認するも、どうやらはぐれてしまったみたいだ。
大声で泣きこそしなかったが、不安一杯の心情がうるっとした瞳に現れていた。
きっと今頃、お姉さんも探しているはずだ。
これも何かの縁。
良いことは良いことで返ってくると信じて、人探しを手伝ってあげるか。
と、その前に……、
「よーし、良い子だ。だから、もう泣いちゃダメだよ?」
気持ちを落ち着かせる為に、頭を優しく撫でてあげる。
おっさんの俺なら警察行きは免れないが、この姿ならなんの問題もない。
年の離れた姉妹の微笑ましい光景に見えるはず。
ぐすんぐすんと垂れる鼻水を啜りながら、徐々に落ち着きを取り戻していく。
子供にしては、立ち直りが早くて助かる。
小さい子とは察する機会が少なかったので、これ以上泣かれてはどうすれば良いのかと手を焼くところだった。
ほとんど泣き止んではいるけれど、ダメ押しに自販機で飲み物を買ってあげる。
知らない人から物を貰ってはいけないと子供は教わるものだけど、今日くらいは許して欲しい。
「どれが飲みたいの? お姉さんが押してあげる」
「コンがおしたい! おねぇちゃん、抱っこして!」
「よーしっ、せーの」
子供1人を抱き抱えるくらい楽勝だと思って、何も考えずに持ち上げる。
グッとのしかかる体重に思わず、うっと声が漏れた。
子供ってこんなに重たいのか。
俺がJKになってしまったというのを差し引いても、重いと感じていただろう。
世の中の親御さん達にリスペクトを払いつつ、なんとかジュース選びを終えた。
「コンちゃんは何を買ったの?」
一人称の名前で呼んであげると嬉しそうに反応する。
そして、大事そうに抱えていた小さいペットボトル容器のリンゴジュースを、両手で持って見せてくれた。
「うわぁー! 良いねー! 美味しそうだ!」
「でしょ! でしょ! コンねぇ? リンゴジュースめっちゃ好きなの!」
普通のリンゴジュースだけど、ちょっと大袈裟にリアクションをしてあげる。
子供相手にはそのくらいの方が楽しんでもらえるからな。
立ったまま飲むのは溢す可能性もあるし、そもそも行儀が悪いのでベンチに座ってから飲ませる。
ちなみに俺はスポーツドリンク。
ジュースは良くないって聞くからな。
根拠とかは知らないんだけど。
「ねぇねぇ、おねぇちゃん」
「ん? どうしたの?」
「……あけて」
未開封のペットボトルの蓋が硬かったみたいで、テンション下がり気味にお願いをしてくる。
しょんぼりとしている姿も可愛らしいと思ってしまうのは、そろそろ異常者になり掛けているという証拠だろうか。
いや。まだ道を踏み外してはならないと踏み止まり、ペットボトルの蓋をすぐに開けてあげる。
「ありがとう! おねぇちゃん!」
ごめんな、天使ちゃん。
俺の心はとっくに穢れているみたいだ。
浄化されて心を入れ替えるから許してくれよな。
「そうだ、苗字は何かなコンちゃん。苗字分かる? お名前全部言えるかな?」
「あのね、おねぇちゃんが、知らない人におなまえ言っちゃダメだって」
流石にフルネームは教えてくれなかった。
個人情報は絶対に教えてはいけないと、幼いながらに理解している。
今回は迷子になったこともあり、知らない俺にも付いてきたけど、本来はちゃんと防犯意識もしっかりしているのかもな。
この子もまだ3、4歳くらいの女の子。
はぐれた場所もそう遠くではないと思う。
今頃、気付いたお姉さんが探しているはずだ。
どこかで動き回ってすれ違うよりは、ここでじっとさせておくのが俺の役目。
日が落ちる前に迎えが来ると良いんだけど。
「あっ! おねぇちゃんだ! おねぇちゃーん!」
コンちゃんがいきなり立ち上がり、走り出した。
言葉の意味は理解出来ても、状況が分からなくて動揺が止まらない。
こけたら危ないと言う前に、白くて艶のある足にしがみついていた。
保護者が見つかって良かったと安堵。
一応、不審者ではないですと弁明する為に、顔を上げる。
「げっ、なんでアンタがここに居んのよ」
聞き慣れた声と罵り。
トレードマークの赤いツインテールが今日も元気に揺れている。
「私を見たら反射的にその反応するんだね、たかりん」
「やめて、アンタがたかりんって言わないで」
「じゃあ、凛?」
「たかりん以外なら好きに呼べば?」
意外にも名前呼びが許されてしまった。
もしかして、これがツンデレと言うやつか?
気付かない間に進行しているパターンの攻略キャラかも。
だとしたら、分かりにくいですよ運営さん。
バグだと思うんで、修正よろしくお願いします。
「……おねぇちゃん?」
ツンツンした態度に驚くコンちゃん。
凛の足下から離れて、怖がっている。
家では、もっと柔らかい態度で妹に接していると思うと、微笑ましくなってきた。
「ダメでしょ? 紺。勝手にどっか行ったら。偶々、あのお姉ちゃんが悪い人じゃなかったから、良かったけど。悪ーい人に連れてかれるかも知れないんだよ?」
「……ごめんなさい」
いつもとは違って諭すように怒る凛。
普段と全く違うお姉ちゃんモード。
一言で表すなら最高です。
それと、俺の事も悪い人認定されてなくて良かった。
「……まぁ、その……助かったわ。妹の面倒、アンタが見てくれたんでしょ?」
「何も言ってないけど、分かるの?」
「紺が懐いてるの見れば何となくね」
紺ちゃんを通して、親密になれるかもと思い踏み込む。
「可愛い妹ちゃんだね」
「あげないわよ?」
「まだ頂戴って言ってないでしょ」
「言いそうな顔してた」
短い文でのラリーが続く。
素っ気ないようにも思えるけど、俺達の関係性で考えれば大きな進歩だ。
これがサッカーのことになれば、きっとまたあのツンツンモードに戻ると思う。
それくらい彼女はサッカーを愛していた。
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