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撫子は強く咲く〜美少女サッカー育成ゲームにTS転生した俺、最弱高校で最強を目指す〜  作者: 風野唄


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025話 取り合う椅子はあまりにも少なく

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

 顧問の古枝(ふるえだ)に連れられて、立海山(りっかいざん)の1年と合流させられる。

勘違いであることは敢えて訂正せず、スパイとして潜入出来たのは良いが、周りからの視線が少し痛い。

立海山に来て、数日遅れで見学に来るなんて奴は珍しいのだろう。


 ここにいるのはスタメンが欲しくてたまらない子ばかり。

1分、1秒でも多くアピールしたいと思うのが普通の感情だ。

闘志溢れるこの環境に今更馴染める舞台は用意されていない。

もしも、俺が本当に今日から入部しようとしているのなら、トラウマになるのは間違いない景色だな。


「ねぇ、君何組? あんま見ない顔だと思ってさ」


 まさか声を掛けられるとは思わなかった。

しかも、返答に困る問い。

適当に答えてボロが出るよりは無視している方が良さそうだ。


「へ、へぇー、無視。緊張してるのかな?」


 無視されていると分かっているなら、わざわざ話し掛けなくて良いのに。

チラチラとサブコーチを見ているところから察するに、コミュニケーション能力をアピールしたいのかもな。

少しでも評価点に繋がることをする貪欲さは素晴らしいけど、俺をダシにしているのは気に食わない。


「そうなんだよね。うちのサッカー部、レベル高いじゃん? 見学とは言え、ついていけるかなぁーって」

「じゃあ、さっさと帰った方が良いよ」


 耳元まで近付き、肩を優しく叩きながら呟いた。

表情は気持ち悪いくらいの笑顔。

周囲に気付かれないようにしているところが、悪質ないじめのようだ。

取り巻きの元へ帰って行き、ニヤニヤしながらこちらを嘲笑っていた。


 完全に素人だと思い込んで、舐めているんだろう。

気分は良くないけれど、わざわざこちらの手の内を見せる必要もない。

相手がそう思っているなら、適当に下手な演技をしよう。

それでも十分情報は取れる。


「はーい、1年生集まって」


 サブコーチの女性が集合を促した。

全員がテキパキと動き出し、綺麗に列を成す。

1人遅れて最端を位置取る。


「今から次の練習メニューに移るよ。ロンドね、ロンド。人数がえーっと、おっ、40人いるね。だから、8人5組でやっていこうか」


 1番分かりやすい練習メニューで助かる。

誰だって子供の時にやったことのあるボール回し。

細かなルールはサブコーチから説明があり、理解出来ないような難しいものは無かった。


 問題があるとすれば、班分けだ。

あの陰湿な子とその取り巻きが一緒になった。

サブコーチがさっきのやり取りを見ていたのかもな。

仲良くなったと勘違いされたようだ。


「こっちは真剣に練習してるからあんまり邪魔しないでよね?」

「真剣に……ね」

「何? 喧嘩売ってんの? 私達は……」

「あぁ、今声を荒げない方が良いよ。サブコーチに見られてるから」


 何よりも自分の評価を気にしているからこそ、この一言で黙り込む。

感情的になってしまえば、積み重ねて来たはずの外面が台無しになる。

相手の嫌がる事をするって言うのはこういうこと。

苦虫を噛み潰したような顔で睨見つけてくるけど、無視をする。



「はい、準備出来たところからスタート」


 俺達の班は動き出しが早く、気付けば俺と横にいたオドオドした女の子以外は円になっていた。

どうやら隣の子もあの陰湿ちゃんに酷い仕打ちを受けているらしい。

可哀想にとは思うけど、直接的でない分大事にするのは難しいだらうな。

きっと仲良くしてくれの一言で終わる。


「私が半分見とくから、そっちの半分任せるね」

「えっ……、ぼ、ボール取るつもりですか?」

「そうだけど? 何か?」

「い、いえ。やめておいた方が良いとは思いますけど」


 ボールを取らない方が良いなんてことがあるかよ。

取らないと交代出来ないのに。

内側はかなり走らされるから体力使うし、なるべく外側になりたいと思うのが普通だろ。


 「始めて良い? 良いよね?」


 返事を待つよりも先にボールが回り始める。


「じゃあ、さっき言ったように頑張ろうね」

「……はい」


 気持ちの篭ってない返事だけが返ってきた。

俺1人だと6人を相手するのは不可能レベル。

ずっと弄ばれるのがオチ。

だからこそ、協力が必要不可欠だ。


 最初に説明があったように1人がボール持てる時間は5秒。

スタートしてから常にボールが回っている。

こちらからはまだ仕掛けていないので、ずっと時計回りにパスが繋がっていく。

対面へのパスは危険なので正しい選択だ。

ただし、ずっとそうしているとパスコースは読みやすい。


 タイミングを見計らいインターセプトを狙う。

保持出来る秒数は残り僅か。

ここで前を詰めたことにより、逆回りにパスを回すのはほぼ不可。

あっても緩いパスになるはずだ。

等間隔で並んでいる状態なので、その場合はスプリント勝負になる。


 ボールを持った陰湿ちゃんが、飛び出した俺に反応した。

1秒にも満たない時間でも、落ち着いてボールを捌く。

流石は強豪校の選手。これくらいには動じないメンタルを持っている。


 砂を巻き上げながら鋭く転がるボールは、真ん中を経由して対面側へと向かっていた。

これは絶好のチャンス。

俺は取れないだろうけど、もう1人の子はその軌道に立っている。

これが取れないはずはない。


「ボール、そっち行ったよー!」


 その言葉も虚しく、ボールを取ることが出来なかった。

どうしてなのだと振り返ると、オドオドしていた子は一切立ち位置が変わっていない。

やっていることといえば、チラッと顔を上げては周りの選手を見て怯えていることだけ。

恐怖が体に染み付いている。


「惜しかったねー! どんまい、次頑張ろー!」


 手を叩き、切り替えるように声掛けをする同じ班の仲間達。

言っていることは良くても、真意を読み取ると素直に受け取ることは出来ない。

きっとこれもアピールの1つ。

出来ない子を鼓舞していれば、見栄えは良いからな。

内情を知っていれば、悪質なイジメにしか見えない。


 取り合う席は極めて少ない弱肉強食の世界。

こういう人間がいるのも当然といえば、当然か。

でも、このまま終わるのも癪だ。

1回くらいはボールを取りたい。

動き続けるボールを動きをよく観察しながら、最大限集中力を高めた。

ご覧いただきありがとうございました。

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