024話 立海山のエースストライカー
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舗装のされていない勾配のある畦道をヒイヒイ言いながら歩く午前8時。
立海山へ練習試合を申し込みに行くと決めただけで、こんな事になるとは思いもしなかった。
こんな日に限って爽やかな風もなく、燦々照りつける太陽が嘲笑いながら肌を焼く。
周りも木々が揺れ、葉が自身を楽器に変えて音楽を奏でる。
絵に描いたような自然は、安らぎよりも厳しさを俺に教えてくれていた。
「どのくらい歩けば着くんだよ。全然、先が見えねぇー」
見えるのは、そのまた先の同じ景色。
土と木と青空が延々と顔を覗かせる。
昨日、スタミナの才能値がCになったばかりなので、この坂を登る事がパラメータ上昇に繋がると信じるしか正気を保つ術はない。
そもそも道を間違えているのでないかとさえ思える。
一応、ゲームの説明文にも、人の寄りつかない山中に聳え立つ最強の強豪校とは書かれていたけど、本当だろうかと疑いたい。
嘘であってくれた方が潔く引き返す理由になる。
「むむむ? およよ? 可愛い後ろ姿の女の子発見なり!」
このボイスは聞き覚えがある。
エンジェルイレブンのメインキャラの1人。
咄嗟に体が反応して振り返った。
「ちょわわ! びっくりしたぽん!」
大袈裟に両手を挙げて驚いたアピールをする少女。
名前は忘れもしない、阿久間 莉々。
今の立海山の得点源は、ほぼ彼女と言って良いくらいの2年生エースストライカーであり、主人公のライバルとして対比的に描かれている天才肌のモンスター。
「うおぉー、めっちゃ可愛いっちねー。どこの子? もしかして新入生? 休みなのに学校? ねぇねぇ、なんでなんで?」
彼女が喋る度に、モノクロツートンカラーの髪がぴょこぴょこと揺れ動く。
落ち着きがないのは、学年が上がった今も健在という訳か。
良くも悪くも自己中心的。他の事を考えれないタイプ。
サッカーにおいてチームワークが重要だと語る俺でも、彼女だけは異質な存在だと思う。
阿久間 莉々だけで完結してしまう実力は、このゲームの常識を覆す。
「いや、違うよ。私、雅野の1年生。まぁー、今日はこの学校に用事があってね」
「まさかの他校の後輩ちゃん!? しかも、タメ口!? 痺れる四川料理系後輩女子一丁〜!」
「あぁ、先輩だったんですね。ビックリシタナー」
「わぁーお、スティックスピーキング。ユーソーグッド」
ゲームで見るよりも何倍もキャラが濃い。
浴びるような会話に押される一方だ。
このまま行けば、立海山高校まで一緒に行くことになる。
プレイヤーとしては好きだけど、リアルだとこんなにもウ……賑やかなのか。
「それよりも良いですか? サッカー部の練習は始まってると思いますよ」
「えっ? なんで莉々がサッカー部だと分かってたのかな、ワトソンくん」
「ワトソンはシャーロック・ホームズの相棒の方だから」
駄目だ、全てにツッコミを入れたくなる。
莉々が満足そうに笑っているのを見ると、彼女の思う壺のような気がしてならない。
性格のせいで学校やチームに馴染めない彼女にとって、ここまでツッコむ俺は良いオモチャなのだろう。
練習の遅刻を指摘してもピッタリと俺の横を歩いている。
ただ、この時間を有効に活用する方法がある。
俺にしか使えない裏技、ステータスの確認。
エンジェルイレブンの阿久間 莉々は知っていても、この世界の阿久間 莉々は知らない。
認知しているステータスとの差異がある可能性も考慮すると、ここで確認しておくことが今後役立つ。
【プロフィール】
名前:阿久間 莉々
年齢:16歳
所属:立海山高校 サッカー部
ポジション: FW
【パラメータ】
シュート:102(才能:S)
オフェンス:74(才能:A)
フィジカル:54(才能:C)
ディフェンス:51(才能:C)
スピード:80(才能:A)
スタミナ:69(才能:A)
インテリジェンス:58(才能:B)
【EXスキル】
悪魔の翼:敵陣のペナルティエリアにいる時、敵のパラメータを6秒間6下げる。この効果は自身が得点した場合のみ、再度発動可能になる。
【スキル】
[ルーレット LV5]、[エラシコ LV3]、[決定弾 LV2]、[シュートレンジ強化 LV4]、[瞬発力 LV2]、[テンションバフ LV6]
……何度見ても強すぎだろ。
まず、EXスキルが鬼畜過ぎる。
相手のパラメータに干渉出来るスキルは少ない。
それなのにも関わらず、制約もなしに6秒間6もパラメータを下げる。
スキルも豊富でレベル高いし、そもそもパラメータも完璧。
どうやって勝つのか、頭を悩まされる。
阿久間の強さに絶望しながらも歩いていると、立海山高校にいつのまにか到着していた。
歩く辛さも塗り替える衝撃が、あのステータスにはある。
「着いたー! 面白い子に出会えて、ちょーハッピーな1日の始まりだっちゃ。んじゃ、またどこかで会おうねー。ばいびー」
「最後まで自由奔放だな」
阿久間と目的地は同じでサッカー部の練習場だけど、ここで一旦別れることにした。
一緒にサッカー部へ行って、練習試合を申し込めば話が拗れそうだ。
すんなり話を進める為にも、絶対に1人で行く方が良い。
まずは遠目から立海山の練習レベルを視察して、休憩などのタイミングを見計らう作戦で行こう。
なんとく阿久間の向かった方向を思い出しながら校内を散策する。
その途中、目に付くのは生徒の多さだった。
今日は日曜日、学校がある訳でもあるまいし。
にも関わらず、平日と変わらない量の生徒が目に入る。
そして、大半が運動部のようだ。
この一部を切り取っても、立海山が運動強豪校たる由縁が垣間見えた。
正直、気圧されてはいた。
これが作中最強レベルの学校の温度感なのかと。
同時に喜ばしくもあった。
俺の挑戦がイージーモードだと面白くない。
高い壁を死に物狂いになりながら、素手でよじ登ることでしか得られない快楽がある。
サッカー部の練習場を見つけたのは、それから間も無くのこと。
明らかに他の部よりも部員数が多く、1番声の出ているので見つけるのには苦労しなかった。
総勢100名以上といったところか。
名前も顔も知らないモブキャラばかりだけど、ステータスだけ見れば俺より強い奴ばかり。
「おい、なんだお前。見ねぇー顔だな」
やばいと思った時には遅かった。
白髪をオールバックで掻き上げて、老衰で痩せ細った体の気難しそうな老人。
よりにもよって、立海山高校サッカー部監督の古枝に見つかるなんて。
「あ、あはは。こんにちは」
「あぁ? こんにちはだぁ? ウチの部活覗いてたけど、入部希望者か?」
どうやら勘違いしているみたいだ。
入部してみたいけど、タイミングを失った新入生とでも思っているのだろう。
口調は荒々しいが、意外と気を遣って話しかけてきたのかもしれない。
勘違いを正そうと口から言葉が出かけた瞬間、俺に天啓が舞い降りる。
この勘違い、利用しない手はないぞと。
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