017話 放課後女子会 前編
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倒れ込んだ犬飼をおぶって保健室まで。
保健室ではなく家まで送ることも提案したけど、少し休めばすぐに良くなるからと断られた。
一緒に帰れば仲を深めるチャンスだと思ったけど、犬飼のガードは硬い。
仕方ないのでお大事にとだけ伝えて、後の事は養護教諭にお任せすることに。
どうやら犬飼は保健室の常連のようで、養護教諭はまた貴方かと苦笑いだった。
「この後、どうしますか? 一応、今日のやることは終わりましたけど」
廊下を歩きながら、汗ばんだ練習着に消臭剤を振り撒いていると、杏がこの後の予定を確認して来た。
外からまだ部活動生の掛け声が聞こえるくらいの時間。
今から練習するのも悪くはないけど、あの勝負を終えて一区切りついたのも事実。
杏の問いに答えかねていると、元気よく伸びる手が1つ。
良案を思いついたと満面の笑みでアピールする英理奈。
「みんなでファミレスいこーよー! 憧れだったんだよねー、放課後ファミレス!」
「ファミレスですか。私、行ったことないんですよね。ちょっと興味あります」
「まじ? ファミレス行ったことないって、あーちゃんもしかしてお嬢様?」
話し方も確かに言われて見れば、育ちの良さを感じる。
常日頃から行儀の悪い行いも見受けられないし、お嬢様という推測も強ち的外れではないかもな。
「違いますよ! お母さんが料理大好きなので、出前とか外食の機会が少ないんです。偶にの外食も、基本的には弟の好きなお寿司屋さんとかですし」
「お母さん料理好きなの羨ましーい! てか、弟いるんだ、驚き。しかも、待って。ウチも寿司好きなんだよね」
「ストップ、ストップ。そんな一気に話すから杏がパンクしちゃったじゃんか」
どれから返事をすれば良いのかと分からなくなった杏は、オロオロとしながら質問の内容を頭の中で反芻していた。
さながら、古いインターネット回線のように延々と処理を実行している。
「はぁー、仕方ない。ゆっくり話も出来るし、ファミレス行こうか」
「いぇーい! 決まり!」
テンションの上がった英理奈が杏と腕を組む。
その衝撃でハッと現実に戻って来たようだけど、強引に引っ張られる形でファミレスを連れて行かれていることに気付く。
「何、何? 何ですか、これー!!!」
人のいない学校の廊下に響く断末魔。
せめて、成仏するようにそっと両手を合わせて拝みながら、杏に対して許しを請うのだった。
ファミレスに着くと意外にも人で混み合っていた。
まだ食事時にしては少し早いようにも思えるが、店内はてんやわんや。
落ち着いた照明とは正反対の空気が流れている。
勝手に空いてる席を見つけて座る訳にもいかないので、入り口付近にあるレジの店員呼び出しベルを押す。
忙しなく食器を洗う音や学生の談笑する声が入り混じる中でも、はっきりと聞こえるベルの音。
店内から、
「ただいまお伺いしますので少々お待ちください!」
とテンプレートな返答が返ってくる。
しばらく待つかもなと思い、待合の椅子へ向かう。
初めてファミレスに来た杏も俺の行動を真似ていた。
それが雛鳥みたいで面白く、少し笑ってしまう。
杏は何故笑われたのか分からず、自分の行動が間違っていたのかと不安そうだ。
「ごめん、ごめん。本当にファミレス来たことない人始めてみたから、微笑ましくて」
「もー、まだその事言うんですか。いくら春陽さんでも怒りますよ?」
可愛らしく拗ねる杏。
杏が怒っても全然怖くはないだろうけど、交友関係にヒビが入るのは避けたい。
誠心誠意謝罪しながら、英里奈のアシストをもらいつつ話題を逸らす。
軽く雑談をしながら、疲れた身体を座り心地の良い椅子で癒していると、返事をした人とは別の男性店員が爽やかな笑顔で現れた。
「お待たせしましたー。3名様でのご案内でよろしかったですか?」
「はーい、3名です」
「かしこまりました。席へご案内いたします」
テキパキと歩く店員の後ろをついて行くと、角の席に案内された。
奥側がソファーで、手前が椅子になっているタイプ。
ソファーの方が柔らかくて好きだけど、ファミレスの場合はドリンクバーで頻繁に席を立つので手前の椅子に着席。
「ご注文お決まりになりましたら、お呼びくださいませ。ごゆっくりどうぞ」
こちらがありがとうございますと言う前に、そそくさと店員はバックヤードへと帰っていく。
その様子を見て席が空いていて良かったと思いつつ、メニュー表へと目を移した。
「うわぁー、めっちゃ迷う。帰ったらご飯あるだろうけど、ここでガッツリ食べちゃおうかな」
「気持ちは分かるけど、やめといた方が良いんじゃない?お母さん怒るでしょ」
「大丈夫、大丈夫。ウチの親、夜職だから作り置きなんだよねー。だから、明日の朝にでも食べれば問題無し」
英里奈が何の躊躇いもなく言った。
夜職と聞いて、勝手に気まずくなる。
歳を重ねて汚れ切った思考が、ありもしない背景を作り上げて行く。
良くない事だとは分かっていても、綺麗事だけでは語れない世界を知ってしまっているからな。
「良いお母さんなんですね。忙しくてもちゃんと作り置きしてくれるなんて」
杏の嘘偽りのない褒め言葉。
「そうでしょ! しかも、めっちゃ美人なの! 今度、2人にも紹介したいなー!」
英里奈が携帯の写真フォルダから母親を見せてくれる中で、1人で杏や英里奈との壁を感じる。
どう足掻いても、俺は純粋な高校生にはなれない。
彼女達と同じ立場に立っているようで、少し離れた位置から眺めているだけ。
そんな事実がふと突き付けられた。
「どったのはるっち? 難しそうな顔して」
「ううん、何でもないよ。私の家も夜ご飯はあるし、どうしようかなって迷ってただけ」
「ならさ、ならさ! 2人も今から連絡してガッツリ食べちゃおうよ! ウチだけガッツリ食べるのちょっとはずいじゃん?」
えへへと笑う彼女に釣られて笑ってしまう。
思考癖は良し悪しがある。
きっと今回のは悪いパターンだ。
偶にはたわいも無いことで笑う方が心の健康には良い。
とりあえず、速攻で家族にメッセージを送る。
外で食べると決まったら直ぐに連絡は、どこの家族でも共通のルールだからな。
文面にしてみると、友達と書くのが少し気恥ずかしい。
けれど、遠くにいたはずの2人との距離がぐっと近くなる感覚を覚えた。
「許可貰ったから普通に食べよ」
「私も親から許可貰いました」
「じゃあ、みんなで選ぼー!」
メニュー表は2つあるのに、みんなで同じメニュー表を共有して選ぶ。
いつもであれば効率の悪さが気になるけれど、その不自由さが今は楽しく思えた。
結局、杏がツナと大根のパスタ、英里奈がチーズハンバーグ、俺が鯖定食というチョイスに落ち着く。
周りと比べておっさん過ぎるチョイスだけれど、口が鯖定食の口になってしまった。
ボタンを押して、まとめて英里奈が注文をする。
勿論、ファミレスで忘れてはいけないドリンクバーも。
これで3000円強だったので相当お安い。
学生の財布事情は厳しいものがあるので、非常に助かった。
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