014話 プライドバトルのご提案
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B組へ着くと、奇跡的に鷹津と英理奈の姿を見つける。
荷物はまとめ終えているので、数秒でも到着するのが遅ければ帰られていたかもしれない。
ここで逃すとまた明日誘うことになる。
杏への指導時間も確保したいので、出来れば今日の内に参加表明していただきたい。
「無理」
「いや、まだ私何も言ってないんだけど……」
まさか誘う前から断られてしまうとは。
鷹津は相当一緒に練習したくないように見受けられる。
いきなり気まずい空気を生み出すディスコミュニケーションに、隣の英理奈も笑って誤魔化すしかない。
「練習には参加しないって昨日も言ったでしょ? 何回言われたって変わらないわよ」
目を合わせるのも嫌なのかそっぽを向いて、綺麗に束ねられたツインテールをくるくると回している。
恋愛ゲームのキャラなら1番攻略するのが難しいタイプだな。
ただし、俺は何人ものキャラクターを育て上げた男。
これくらい癖がある相手でも、対処の仕方は心得ている。
「まぁ、確かに参加しないとは思ってたけど」
「何よ、アンタにしては話が早いじゃん」
意外にすんなり引いたことに驚いた鷹津は、ようやく俺と目を合わせた。
相手がようやく向き合ったこのタイミングで仕掛ける。
「と言うより、一緒に練習してたら、見る見る内に成長していく私達に嫉妬が止まらないかな? 負けず嫌いの鷹津さんはちょっと耐えられないか」
「なっ!? ……アンタ、随分言ってくれるじゃない。アンタ達なんて眼中にないっての!」
「どーどー、たかりん。まんまとはるっちに踊らされてるから」
「そ、そんな訳ないじゃない。アタシはいつだって冷静よ」
熱くなりかけた状況が英理奈の言葉で治っていく。
これは英理奈らしくない。
援護射撃でもしてくれたら、ヒートアップした鷹津がまんまと練習に参加してくれるという算段だったのに。
落ち着きを取り戻せば、また押し問答の再開。
結論が出ないまま帰ることになる。
「でもさ、でもさ、たかりん的にはこれ以上練習誘われるのは嫌な訳じゃん? ほんで、ほんで、はるっちは一緒に練習したい訳じゃん? これってどっちかが折れないと一生続くと思わない?」
「当たり前じゃない。だから、アンタ達が折れてって言ってんの」
「いやいや、そうじゃなくてさ。こうなったらさ、勝負して白黒付けるべきじゃない? だって、どっちかの言い分だけ聞いたら絶対スッキリしない終わり方になるでしょ。だったら、じゃんけんでも、サッカーでも良いからはっきり勝敗を決めて納得するべきだって」
英理奈はこちらをチラッと見てウィンクをする。
やはり幼馴染は理解度が違うな。
鷹津は勝負事と聞けば逃げ出せない性質がある。
それに俺達が負ければ2度と誘わなくなる事を考えれば、尚更乗ってくるだろう。
こちら側としてもデメリットはあるものの、勝てば練習参加という破格の条件だ。
断る理由は全く見当たらない。
「私達はそれで良いよね、杏?」
「はい、大丈夫です。あんなに上手い鷹津さんと練習できる可能性があるなら、私なんだってしますよ」
ダメ押しの天然褒め殺し。
こういうのは俺が言うよりも裏表なく素直で純真無垢な杏が言うから刺さる。
俺の煽りとの温度差で鷹津は面食らった顔になっていた。
畳み掛けるなら今しかない。
捲し立てるようにルールを勝手に決め始める。
「私がGKで、杏がDFするから、そっちが点を決められたら勝ちで良いよ」
「はぁ? 何それ、流石に本職じゃないGKと初心者DF相手なら余裕で勝てるわよ」
「だったら断る理由はないよね? じゃあ、決まりということで」
「だ、大丈夫なんですか? 実質的に私1人で守るってことですよね?」
「大丈夫、大丈夫! 何とかなるって」
不安になる気持ちは分かるけど、肩を激しく揺らすのはやめて欲しい。
シェイクされ過ぎて吐き気がして来た。
何も無策で勝負を挑む訳じゃない。
相手が有利に見えるからこそ、こちらが付け入る隙が生まれる場合だってある。
「犬飼さんも誘って良いかな? 彼女も同期なんだけど、練習誘ったら微妙な反応されちゃったからさ」
「好きにしなさいよ。アタシ、他の人に興味とかないから」
「じゃあ、明日の放課後に決行ということでよろしくね」
用が済むと世間話もせずに鷹津は教室を後にした。
「本当困った性格だよ、たかりん。だから、絶対勝ってほしいな、2人には。その方が彼女の為だし。あぁー、それと犬飼さんへの連絡はウチに任せて。今から2人は作戦会議でしょ?」
「すごい助かる。良い女ってよく言われない?」
「あはは! 言われるかも!」
彼女は冗談めかしく笑って見せるが、本当に気の利く女の子だ。
鷹津が英理奈だけには気を許す理由も分かる。
人の懐に入る技術に長けている。
鷹津にそれを見習えとは言わないけど、もう少し他人との会話に重きを置いた方が良い。
英理奈も鷹津を追い掛け教室を後にしたので、これから昨日と同様にグラウンドへ向かう。
明日、勝つ為には杏の強化が必要不可欠だ。
同じ部活のよしみとして、協力をしてもらう。
ただ、たった1日で鷹津と張り合えるパラメータまで上げるのは現状難しい。
同様にスキルも増やすのも、それなりの条件をクリアしなければならない。
残されているの知識を与えること。
これなら多くを詰め込まなければ、明日にでも使える技になる。
「不安になってきました。ほ、本当に大丈夫なんでしょうか。春陽さんがDFの方がまだ可能があるんじゃないですか?」
杏は移動中もオドオドしながら不安を口にする。
本人にとってはプレッシャーに感じているみたいだけど、丁度良い機会だ。
これくらいのプレッシャーには慣れてもらわないと困る。
逆境を楽しむくらいの心を手に入れないとこの先はやっていけない。
「ドキドキするけど、楽しくない? 相手は中学でかなり活躍してた相手なんだよ? そんな相手と戦えて、ましてや勝てば自慢できるでしょ」
「私には……いや、やってみましょう。教えてください春陽さん。私、どうすれば鷹津さんに勝てますか」
一瞬出かけたネガティブな言葉を飲み込み、あの鷹津に勝ちたいと真剣な眼差しで言い切った。
昨日の今日でこの成長速度。
EXスキルとか関係なく、彼女自身から変わろうという意志を感じる。
ならば、応えてあげるが世の情け。
天才監督の初の仕事として、絶対に失敗は出来ない。
出来る限りの手を尽くして、明日へ臨む。
そして、明日の成功を部活再建の足掛かりにする。
それ以外の選択肢を今は考えられなかった。
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