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STT「サウンドテーブルテニス」。  作者: 太陽
北信越盲学校卓球大会直前!密着取材

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寮祭

 「困ったー!」


突然、出し物をする人たちが急きょ風邪のためにできないという情報が入ってきた。


寄宿舎で行う宿祭では毎年生徒で出し物をするというものがあり、それが生徒や先生から大変盛り上がっていたのだった。



「みんな風邪引いたのか?」



「いえ、それが中学部の出し物で」



「出し物は?」



「ダンスです」



「あちゃー、ダンスはなかなかきついな、明日で覚えるなんて無理だぞ?」



「どうした?」



中学部が風邪を引いて出し物ができないことは他の高等部の生徒に瞬く間に広まる。


(まあ、生徒が少ないからな)



「じゃどうする?出し物は中止にするか」



「やろうよ!」



思い口火を開いたのはやはり天音先輩だった。

活発で何事も一生懸命な彼女にはできないという選択肢はない。



「中学部の人たちに迷惑をかけちゃったなら私たちがみんなのためにやらないとだよ!」



「天音がやるなら実行委員の僕もやらないとだな!」


天音先輩に背中を押されるように夕月遥先輩もダンスをやるそうだ。そうすると必然的に彼女も手を挙げる



「それ!私もやります!遥先輩がでるなら!」



綾音ちゃんは遥先輩が大好きだ。 遥先輩がやるといえば綾音ちゃんも手を挙げないわけがない。



「じゃ決まり!」



「思いのほか 早く決まったな、」



「あー、そうだな」



「え?待て? このトリオって最強じゃね?」



「ん?」



「遥先輩、天音先輩、綾音ちゃんがダンスだぞ?めっちゃくちゃ貴重じゃんか!」



隣で亮がわくわくとしながらみている。



「もちろん、亮もだぞ?」



「そりゃ?実行委員ですからねー?」



「やるしかないよね?笑」



「え?ええええええ!」



遥先輩、綾音ちゃん、天音先輩 亮の即席ユニットがここに誕生したのだった。





寮祭 当日


俺は最終チェックをしていた。



「はぁはぁはぁ」



「どうした?亮 疲れた顔をしてな?」



「マジでやばい、俺でたくない-」



「はぁ?なんだよ!お前がいねーとダメなんだろ?」


「いや、この格好でだぞ?」



亮がカーテンのようにくるまっているのがわかった。 それを開いてみると



ビングを基調としたワンピースに縁には白のフリルの付いている。

まさに魔法少女のような格好をしていた。



「亮 笑 マジか笑」



「こんな格好ででられるか!」



「まぁまぁ でも,かわいいじゃんか笑」



「なに笑ってんだ!人事みたいに!は!」



「亮くん!やっとみつけた!早く!」



「え?」



「亮、お前がいないと面白くないからな!」



「変態な亮くんにはお似合いですね笑」




「変態じゃないよ!うわ!やめて!」



亮は美少女三人組に連れていかれていってしまった.




出し物



「さて、さてどうなったのかな?」




「みなさーん!寮祭は楽しんでますか?お待ちかね 出し物のお時間ですよー?」



{アナウンサーが司会に参加させられてるなぁー笑}



「今回は急きょ高等部の生徒によるダンスです!みなさん大きな拍手を!」



「パチパチパチ」




「かわいいだけじゃダメですか?」



「ぷーーー!笑」



女の子が色とりどりのドレスに身をまとっている中 一人の男子高校生が異彩を放っていた。



「ピンク色の衣装がマジで目立つな笑」



当然このダンスをみていた小学部、中学部の人たちは驚いていたが 次第に盛り上がっていくのがわかり その顔からは満面の笑みがこぼれ落ちる。



「これはネタになる 写真に収めないとな笑」



俺は違った意味で盛り上がっていた。



波乱続きの寮祭は結果として大盛り上がりで幕を閉じた。




寮祭のあと、俺と亮は2人で体育館にいた。

寮祭の盛り上がりとは嘘のように今は静まりかえっている。



「この写真 永遠に残そうぜ笑」



「太一!お前ぜってー俺の弱味を握ろうとしてるだろ!消せよ!おい!」


「嫌だな笑 こんな面白い写真 高校生活3年間でもなかなかお目にかかれないぜ」



「消せよ!」


「、」


しかし、亮は俺のスマホを強引に取ろうとしたところで手が止まった。



「もう、1年終わるんだな」



「明日で11月になるな」



「苦しいことも 今は恥ずかしいことも今はもう思い出になるのかもしれない」



「今は今しかない もう、1年の寮祭には戻れないんだ」



「いつかはここも消えてしまうけど誰かの記憶に残ってほしいな」



「消えないよ!」



体育館のドアから静寂を切り裂くような強くてたくましい一言が俺たちの耳に届いてきた。



「ここは消えない!廃校なんかにさせない!絶対優勝する!」



「うん!」


「はい!」



天音先輩の声で合図しなくてもそれに共感するように卓球部全員が集まってきた。


天音先輩はあまりにも眩しい。しかし、一人で決して掴むことができない 



俺たちはあの天音先輩の言葉がずっとずっと離れずにいた。









「こんばんは あれ?」



「こんばんは、まいちゃん 盲学校卒業以来だね?元気にしてたかな?」





「田辺先生?久しぶりですね、急にどうしたのですか?」



「よくわかったな!」



「わかりますよ、その特徴的な声は」



「さすがまいちゃん」


「でも今日はどうされたんですか? 鍼灸はもう終わりなんですが」



「それはいいんだ、まいちゃんってまだサウンドテーブルテニスはやってるのかな?」



「え?視力を全て失ってからはもうやめましたよ あんなのお金にもならないスポーツしても意味ないですから」





「実はまいちゃんに頼みたいことがあって?}



「はい?なんでしょう?」



「また、サウンドテーブルテニスの大会にでてほしいんだよね」



「話聞いてましたか?私はやめたんです」



「そうか?あんな負けず嫌いなまいちゃんが負けたまま終わるはずないんだがな」



「はい、まだやってます」



「それはよかった!実は東条天音ちゃんを完膚なきまでにたたき潰してほしいんだけど」





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