思惑
「東条天音ちゃんを倒す?」
「あれ?麻衣ちゃん 天音ちゃんを知ってるのかい?」
「あ、はぁ、そうですね、世間知らずの凡人ならまだしもサウンドテーブルテニスに少し携わった人ならば知らない人はいないでしょう」
「それならよかったよ じゃ明日の個人戦に参加にしとくね」
「まず 天音ちゃんと試合をするかどうかも分からないし、試合を出るとも言ってませんが」
「麻衣ちゃんの実力なら今の個人戦など余裕だよ、しばらく一線を離れていてもね」
「それは置いておきます、なぜ、天音ちゃんと試合を?」
「団体戦を優位にするためさ、新潟は東条天音のワンマンチーム、簡単にいけば天音ちゃんを倒してしまえばあとは楽ってことだよ」
「それならばやらないですね」
「なんだ、急に」
「天音ちゃんのことはよく知ってます。天真爛漫でいつも一生懸命な女の子ですね。そんな一生懸命な女の子を倒すことはたとえ、尊敬する先生であっても無理ですね」
「怒って口調が変わるのも盲学校の時と変わらないな、いいのか?)
「?」
「麻衣ちゃん、苦しいんだろ、この施術室も ずっとみていたがお客さん一人もいなかったみたいだぞ」
「それは、そうですね」
「先生のマッサージ店から離れ、新たに開業したが実にならず、お金に困ってるという状況だろ?」
「なぜ、知っているですか」
「まぁね、今なら、私の一言でここにたくさんのお客さんを呼び込むことができる。しかし、それを断ったら 逆に負のコメントを流しさらにお客さんを来なくさせることだってできるんだぞ」
「私を、脅す来ですか」
「あー 違う違う 麻衣ちゃんも奥底には天音ちゃんが気に入らないんじゃないのか? あまりにも元気で太陽のような眩しい光でテレビでも盲学校でも活躍している。対して麻衣ちゃんは無口でなにもできない マーサージに必要な人とのコミュニティケーションもろくにできない。天音ちゃんが光輝く太陽に対して麻衣ちゃんは真っ暗でずっと閉じこもっている夜の月だ。そんな太陽のような有名な天音ちゃんに対して嫉妬しているんだろ? それを俺が倒す機会を与えてるってわけなんだけど」
「面白い煽りですね」
「天音ちゃんを泣かせない気持ちはないのかな?」
「う、ん 女の子をいじめたい そんな、癖はありませんが」
「じゃ明日の北信越大会の個人戦待ってるね」
「な!勝手に?)
先生は昔から性格が悪い。でも、そんなことを考えると、確かに、天音ちゃんを私にとって消したい存在。私は失敗者、彼女は成功者。それは紛れないもない事実。
先生に使われたというのは少し癪に障るところはある。が、私は試合に参加することを決める。成功する天音ちゃんをボコボコにさせることが今の私がここにいられると思うから。
「確か、まだ? ここ?)
私は自宅としている2階のずっとずっと奥の押し入れを手探りで探していく。久しぶりにサウンドテーブルテニス用のラケットを取り出した。
少しホコリまみれのラケットを優しく拭き取り
「仕方ない」
私は天音ちゃんが嫌いなわけではない。でも、成功している人をみていると無性に心がムカムカする。私は成功者の復讐 怒りのために再び試合をすることとした。
新キャラ登場! 彼女がこの北信越大会をかき乱す




