天音との出会い
「入部届け書くよ! 金曜日は生徒会で出れないけど!」
「うん!嬉しい!えっと? 遥先輩!」
「遥でいいよ」
「うん!じゃ遥ちゃん!これ入部届けね!」
「いきなり ちゃん付け? うん いいよ」
僕は入部届けに名前を書こうとした
「卓球部ってこれで全員なのか?」
僕は驚いた 今書いてある名簿は天音の他に2人だけであった それも来年の3月で専攻科に専念 卓球部を引退するということだ
「うん、そうだよ 先輩たちも忙しくて」
「ということは来年は僕たち2人だけなのか?」
「そうなっちゃうよね?(笑)」
「、、、」
「私 団体戦に出場したいの! 団体戦は5人なんだけどまだメンバーが集まらなくて一度も団体戦に出場したことないから」
僕は頭を抱えた 天音はその様子は分からないが僕はものすごく落胆していた
中学校時代は 卓球部員は30人を超えていた あの一件により10人にまで減ってしまったが別にメンバーを募集するまでに至らなかったのだ
しかし 今はゼロからのスタートとなりまずはメンバー集めに重点を置くことになった。
数々の手腕が問われる形となる
(まずはメンバー募集からだな! 行くぞ!天音!」
「うん!行くぞ!オー!」
「卓球部に入りませんか?」
「メンバー募集中でーす!」
しばらく経っても メンバーは1人も入ってこなかった
僕の中学校は1クラス30人を超える学校だったが 僕のいる盲学校はクラス1人から4人という絶望的な人数だからなぁ
他の部活動もある中 卓球部に入ってくれる人などまずいるはずもなかった
「はぁーはぁーやはりダメなのか」
「大丈夫?」
ポンと背中を押す天音は心配そうな顔を僕に浮かべてくる
(天音を助けるためにこの部活動に入ったのに逆に心配されてどうするんだ僕は)
「大丈夫だ! メンバー集めは僕がやっておくから!君は試合だけに集中しろ!」
「え?ちょっと どういう?」
僕は天音に抱えてほしくなかった 部員を集めることや 部員を束ねることの難しさは僕が1番理解しているからだ それで無理させて恨みを募らされた愛花は部員たちが選手生命を脅かされたのだ
僕は天音に卓球だけに集中してほしかった メンバー集めまで意識させてしまっては試合も勝てないから そんなことは僕が1番よくわかっている
メンバー集めというしがらみを解かれた天才天音は僕の希望通り みるみる結果を残し 盲学校全体から認知される存在となる
そして中学3年生の全国盲学校卓球大会で優勝、つまり日本一になってしまったのであった
「やったよ!遥ちゃん!」
「天音!お前 マジですごいな!」
全国盲学校卓球大会で優勝し注目されるようになったことでますます東条天音の存在が日本全土にまで広がりはじめた
ローカルテレビへの取材 NHKフォーラムの特集 中学という期待のスター候補生 若さもあり スポーツ新聞の一面の表紙にもなった
それに逆行する形で天音も多忙を極めた
「天音ちゃん 弁論大会の論題まだ決まってないでしょ?早く提出しておいてね」
「アー忘れてた!ごめん先生」
その様子を遠目でみていた僕はあのことを思い出す
愛花もテレビ取材と試合のプレッシャーで押しつぶされてしまったことを
(天音はもう完全に壊れ始めてる 僕がなんとかしないと!)
「遥ちゃん 生徒会のお仕事お願い!)
「あ!!はい!」
僕も生徒会のお仕事がだんだんと忙しさを増していっていく




