表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

最後の夏の大会

あれからまた1年がたって、3年の夏を迎えた。


自分は結局、野球部を3年間続けたのは変わっていないが

変わったのは2年の秋からレギュラーになったことだ。


本来、守備が下手で補欠のはずなのだが

高校で努力して、守備の下手さを克服したことが、活かされたのだ。


少しチートな気がするが…


3年最後の夏の大会もいよいよ決勝まできた。


決勝は、中学3年の全生徒が応援に来ている。

もちろん、篠田さゆも来ている。


自分は2番サードで出場した。


だが、第1打席はショートゴロ、第2打席はセカンドフライ…


高校でやっていたとは言え、体が中学3年のため、パワーがない。

自分は高校3年間で一気に身長が伸びたため、今野球部の中では一番小さいのだ。

ミートだけではどうにもならない…


0対1と負けたまま、7回裏に突入。

この回に最低同点に追いつかないと、負けだ。


ノーアウトランナー1塁で自分に回ってきた。


サインは送りバントだ。


打ちたい…


打ちたい…


そんな気持ちから、一度タイムを要求し、監督のもとに行く。


自分「監督、打たせてください!」

監督「自信あるのか?」

自分「はい、あります!」


なぜか、普段全く自信のない自分だが、打てそうな気がしていた。


監督「わかった。何とかしてでも繋いでこい!」

自分「ありがとうございます!」


打席に向かう途中、応援にきてくれたみんなが自分の名前を呼んでくれている。


一気に緊張感が増す。


投手が1球目を投げた。


自分はバントの構えをして、サードとファーストがチャージしてくるのを確認。


結果は、ボール。


次だ、次で決める。


投手が2球目を投げた。


バントの構えから、引いて、思いっきり引っ張った。


カキーン…


見事三遊間を抜けて、レフト前ヒットとなった。


人生の中で、一番嬉しかった。


応援席を見ると、みんなハイタッチをしている。

篠田さゆが喜んでいるのも見えた。


このまま逆転サヨナラといきたい!


そう思ったが、後続が三者凡退で、試合は0対1で負けた。

夏が終わった…


涙が溢れて、止まらなかった。

本来、自分は補欠だった中学の野球生活では3年間一度も泣かないはずだった。

これだけ悔しいのか、これだけ野球は楽しいのかと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ