第9話 夜
遅くなりましたが、第9話目です!
友美の家に泊まることになった学。そこで…
「学くんは、こっちの部屋で寝て。友美の部屋は隣だから」
「すいません、ありがとうございます」
僕のために友美のお母さんは部屋を用意してくれた。普段なら友美のお母さんが使っている部屋らしい。
「じゃあ学くん、おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」
僕はベッドに座りながら友美のお母さんに言った。それと同時くらいに今度は友美がやってきた。
「学くん、夜中にこっそりと私の部屋に侵入しないでよ」
友美は笑いながら僕にそう言った。友美は笑っていたが、冗談に聞こえなかった。
「侵入したら…どうなるの?」
「したいの?」
今度は真剣な目で僕を見る。ここで『したい』なんて言ったら、一体どうなるのだろうか?
「しないよ。僕にそんな勇気あると思う?」
「確かにね~」
そうキッパリと言われるのも何か複雑なんだけどな…
「じゃあ、おやすみ。また明日」
「おう。おやすみ」
そう言って友美は部屋を出ていった。隣の部屋の戸の閉まる音がした。遅い時間だったので僕も寝ようと部屋の電気を消した。
「…………」
シーンとなった部屋。僕は、なかなか眠れなかった。久しぶりに友美の家に泊まるということでの緊張はもちろん、壁一枚を挟んで向こう側に友美が寝ているのだ。僕は緊張しないわけがなかった。ふと、さっきの友美の言葉を思い出す。『夜中にこっそりと私の部屋に侵入しないでよ』ちょっとくらいなら…そんな気持ちが僕に生まれていた。でもいくら幼なじみとは言え、侵入は…そんな気持ちも生まれていた。そんなことを考えてしまい、余計に眠れなくなった僕。そんな時だった。
『ドンドン』
隣から急に壁を叩く音がした。僕はビックリしてベッドから落ちそうになった。
「も~相変わらず学くんは臆病なんだから」
まるで僕の反応を見ていたかのように友美が言う。
「と…友美! 驚かせるなよ!」
僕の反応に友美は大笑いしていた。笑われたことが何か悔しかった。
「学くん、私の部屋に来たい?」
少しして笑いが治まった友美が言った。
「お前、何言って…」
「だって、学くんには好きな人がいるんでしょ?」
「へっ?」
僕は友美の言ってることがよくわからなかった。僕が何も言わずにいると、
「アルバイト一緒の子だよ。さっきキスしてた子」
「!!」
あの場面を友美は見ていたのか…確かに僕は、あの時キスをした。半ば武美さんが強引にしたようなものだが…。
「友美、あれは…」
僕は早く誤解を解こうと思った。しかし、上手く言葉が見つからない。
「私、学くんのことが好きだった。ずっと好きだった」
今までに聞いたことが無いような友美の声。友美は泣いているのかもしれない。僕は胸が締め付けられているかのように痛かった。
「友美…そっち行っていい?」
「うん…」
僕は友美の部屋に静かに入った。友美はベッドから身を起こして座っていた。僕は友美の前に立ち止まって深々と頭を下げた。
「学くん…」
『ゴメン』という言葉すら言うことができなかった。僕はずっと片思いだと思っていた。友美が僕のことを好きになるわけがないと思っていた。だから友美が引っ越すことになった時、もう会えないと思った。何度も諦めた。無理だと思って諦めた。けど…諦めきれなかった。そんな時、僕は武美さんに出会った。それでも僕の気持ちは変わらなかった。武美さんに何をされても考えてしまうことは友美のことだった。僕の目から自然と涙が流れていた。友美を悲しませてしまった自分への怒り、友美の素直な気持ちが聞けた喜び、武美さんと中途半端な関係を持ってしまった申し訳なさ…僕の中にいろんな感情が湧いてきた。それが涙となって僕の目から流れていた。僕はしばらく、その場から動くことができなかった…。
読んでくださってありがとうございます!
友美の気持ちがわかり、様々な気持ちが溢れている学。
そんな学を待っているのは…?
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