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約束  作者: ヒロ
9/22

第9話 夜

遅くなりましたが、第9話目です!

友美の家に泊まることになった学。そこで…

 「学くんは、こっちの部屋で寝て。友美の部屋は隣だから」

 「すいません、ありがとうございます」


 僕のために友美のお母さんは部屋を用意してくれた。普段なら友美のお母さんが使っている部屋らしい。


「じゃあ学くん、おやすみなさい」

「はい。おやすみなさい」


 僕はベッドに座りながら友美のお母さんに言った。それと同時くらいに今度は友美がやってきた。


「学くん、夜中にこっそりと私の部屋に侵入しないでよ」


 友美は笑いながら僕にそう言った。友美は笑っていたが、冗談に聞こえなかった。


「侵入したら…どうなるの?」

「したいの?」


 今度は真剣な目で僕を見る。ここで『したい』なんて言ったら、一体どうなるのだろうか?


「しないよ。僕にそんな勇気あると思う?」

「確かにね~」


 そうキッパリと言われるのも何か複雑なんだけどな…


「じゃあ、おやすみ。また明日」

「おう。おやすみ」


 そう言って友美は部屋を出ていった。隣の部屋の戸の閉まる音がした。遅い時間だったので僕も寝ようと部屋の電気を消した。


「…………」


 シーンとなった部屋。僕は、なかなか眠れなかった。久しぶりに友美の家に泊まるということでの緊張はもちろん、壁一枚を挟んで向こう側に友美が寝ているのだ。僕は緊張しないわけがなかった。ふと、さっきの友美の言葉を思い出す。『夜中にこっそりと私の部屋に侵入しないでよ』ちょっとくらいなら…そんな気持ちが僕に生まれていた。でもいくら幼なじみとは言え、侵入は…そんな気持ちも生まれていた。そんなことを考えてしまい、余計に眠れなくなった僕。そんな時だった。


『ドンドン』


 隣から急に壁を叩く音がした。僕はビックリしてベッドから落ちそうになった。


「も~相変わらず学くんは臆病なんだから」


 まるで僕の反応を見ていたかのように友美が言う。


「と…友美! 驚かせるなよ!」


 僕の反応に友美は大笑いしていた。笑われたことが何か悔しかった。


「学くん、私の部屋に来たい?」


 少しして笑いが治まった友美が言った。


「お前、何言って…」

「だって、学くんには好きな人がいるんでしょ?」

「へっ?」


 僕は友美の言ってることがよくわからなかった。僕が何も言わずにいると、


「アルバイト一緒の子だよ。さっきキスしてた子」

「!!」


 あの場面を友美は見ていたのか…確かに僕は、あの時キスをした。半ば武美さんが強引にしたようなものだが…。


「友美、あれは…」


 僕は早く誤解を解こうと思った。しかし、上手く言葉が見つからない。


「私、学くんのことが好きだった。ずっと好きだった」


 今までに聞いたことが無いような友美の声。友美は泣いているのかもしれない。僕は胸が締め付けられているかのように痛かった。


「友美…そっち行っていい?」

「うん…」


 僕は友美の部屋に静かに入った。友美はベッドから身を起こして座っていた。僕は友美の前に立ち止まって深々と頭を下げた。


「学くん…」


 『ゴメン』という言葉すら言うことができなかった。僕はずっと片思いだと思っていた。友美が僕のことを好きになるわけがないと思っていた。だから友美が引っ越すことになった時、もう会えないと思った。何度も諦めた。無理だと思って諦めた。けど…諦めきれなかった。そんな時、僕は武美さんに出会った。それでも僕の気持ちは変わらなかった。武美さんに何をされても考えてしまうことは友美のことだった。僕の目から自然と涙が流れていた。友美を悲しませてしまった自分への怒り、友美の素直な気持ちが聞けた喜び、武美さんと中途半端な関係を持ってしまった申し訳なさ…僕の中にいろんな感情が湧いてきた。それが涙となって僕の目から流れていた。僕はしばらく、その場から動くことができなかった…。

読んでくださってありがとうございます!


友美の気持ちがわかり、様々な気持ちが溢れている学。

そんな学を待っているのは…?


第10話もお願いします!

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