第10話 不安
遅くなりました!
第10話です!
友美の部屋に沈黙の空気が流れる。僕は友美の顔を見ることができなかった。
「ねえ、学くん」
「何?」
僕がそう言うのと同時に友美は僕に抱きついた。
「友美?」
「もう離れたくない…ずっと学くんといたい…」
友美のその言葉に止まっていた涙が再び流れ出した。こんなに僕を必要としてくれてる人なんて今までにいただろうか。そう考えると僕はすごく嬉しかった。
「友美…この1ヶ月間はずっと一緒にいよう。バイトが終わったら必ず友美のところに行く。約束だ」
「約…束」
友美は一瞬、驚いたような顔をした。僕にはどうしたのかわからなかった。
「そろそろ寝ようか。時間もかなり遅いし」
「うん。おやすみ」
僕は友美の横に寝た。僕が寝ようとしていると僕の頬に何かが触れた。
「学くん、大好き」
その言葉で触れたのは友美の唇だとわかった。
「ありがとう」
僕も友美の頬にキスをする。そうしながら僕と友美は眠りについた。
朝、目が覚めると一緒にいたはずの友美がいなかった。階段を降り、1階に行くと友美のお母さんがいた。
「学くん、おはよう。よく眠れた?」
「はい。おかげさまで疲れも取れました。本当にありがとうございます」
「いいのよ。毎日でも泊まってほしいわ」
言葉は嬉しいが、毎日となると友美のお母さんにいろいろと迷惑をかけてしまう。
「そう言えば…友美はどこにいるんですか?」
「友美ならキッチンにいるわよ」
友美のお母さんはそう言って、ニコッと笑う。僕はキッチンへと向かった。
「友美、おはよう」
「あっ学くん。おはよう」
「何してるの?」
「えっとね~今日はせっかくだからと思って…」
友美はそう言いながら弁当箱のふたを閉めた。そして、その弁当箱を僕の手に乗せた。
「これ…」
「私が作ったんだ。味は保証できないけど」
友美は先に起きて僕の弁当を作ってくれていた。嬉しくて涙が出そうだった。
「ありがとう」
「朝ごはんも作ったから食べて」
僕は友美の作ってくれた朝ごはんを食べて学校に行く準備をした。友美の作ってくれた朝ごはんはすごく美味しかった。朝ごはんを食べたばかりなのにすぐにでもお昼の弁当を開けたいと思うほどだ。そんな友美の作ってくれた弁当をカバンに入れ、学校へ行く準備が終わった。そして…
「本当にありがとうございました」
あっという間に時間は過ぎ、学校に行く時間になった。僕は友美の家の玄関で改めて友美のお母さんに深くお礼をした。
「また泊まりに来てね」
「はい。その時はよろしくお願いします」
「学くん、約束…守ってよ!」
そろそろ行こうかと思っていた時、友美が走って玄関にやってきた。友美のお母さんは気を遣ってくれたのか、静かにリビングへ戻った。
「大丈夫。ちゃんと守るよ」
僕が笑ってそう言うと、友美も笑って頷いた。
「じゃあ、いってきます」
「うん。いってらっしゃい!」
僕は本当は友美の家から出たくなかった。何か嫌な予感がした。もう会えない、そんな風に思った。
学校の昼休み。僕はいつも通り優斗とご飯を食べていた。ただ、いつもと違うことが1つある。
「学、お前の弁当…」
優斗が驚くのも無理はない。今日の弁当は僕の両親が作ったのではない。友美が作ってくれたのだ。
「別に普通だけど?」
そう言ったものの、僕は心の中で喜びながら弁当を口にする。優斗を見ると何故か笑っていた。
「どうかした?」
「いや、学にも春が来たかと思ってね」
「何言ってんだよ。いつもと変わらないって」
「最近の学の様子もおかしいしな~」
何となく予想はしていたが、本当にイジられるとは…
「ほら、のんびりしてたら昼休み終わるよ?」
「はいはい」
僕は強引にこの話を終わらせようとした。相変わらず優斗はニヤニヤしている。でも優斗には『友美と会った』なんて言えなかった。言ったら…優斗が離れていってしまう気がした。どうしてこう思うのかは自分でもわからない。けど、ただ単純にそう思った。
午後5時。今日のバイトが始まった。武美さんとは挨拶を交わしただけで何も話さなかった。バイト中は、まるで時間が止まっているかのように長く感じた。
「お疲れ様でした」
何とかバイトを終えた僕は、すぐに友美との待ち合わせ場所に向かった。待ち合わせ場所に着いたのは約束の時間の10分前だった。
「さすがにまだ来てないよな」
僕は近くにあったベンチに座って待つことにした。しかし、約束の時間になっても友美が来ない。約束に遅れることなんてほとんどないのだが…僕は、とりあえずあと10分待ってみることにした。
「遅いな~…」
10分経っても友美は来なかった。朝、友美と別れる時に感じた嫌な予感…僕は友美のことが心配になり、何度も電話をかけた。しかし、僕の耳に届いてくるのは無情にも呼び出し音だけだった。
「何で…」
約束の時間から1時間が経とうとしている。電話は呼び出し音のみ。友美が来る気配すらない。僕の頭の中はパニック状態だった。『嫌い』『もう会いたくない』そんな言葉が聞こえてきそうだった。そう考えると急に怖くなった。そして、気がつけば僕は走り出していた。何も考えず、ただその場から逃げ出したかった。
読んでくださってありがとうございます!
友美が来ない…一体何が?
不安に襲われる学…はたして友美はどこに…?
第11話もお願いします!




