第8話 友美の家
第8話目です!
武美からの突然のキスに戸惑う学。お互い気まずい中…
ようやく落ち着いてきた僕は今、起きたことを1つずつ思い出しながら確認をした。武美さんは僕に背を向け、遠くを見ていた。僕は、どうすればいいのかわからず、武美さんの背中を見ていた。その時だった。
「学くん!」
僕の後ろの方から聞き覚えのある声がした。僕は、ゆっくりと振り返る。そこには友美がいた。
「今、何時かわかってる?」
友美に言われ、携帯の時計を見る。時間は午後10時を過ぎていた。
「約束の時間は何時だっけ?」
「9時30分」
そうだった…すっかり時間を忘れていた。
「もう30分以上、待ってたんだよ? メールにも電話にも気付いてくれないし…」
携帯を開いてみる。電話もメールも何件も入っていた。
「ごめん…」
僕は正直、それどころじゃなかった。武美さんのことが気になって仕方なかった。武美さんの方を見ると武美さんの肩が小刻みに震えていた。
「あの…武美さん?」
僕が話しかけると武美さんは逃げるように走っていってしまった。
「今の人は?」
「一緒にバイトをやっている人だよ」
「そうなんだ。ふ~ん…」
友美は、そう言って何かを考え始めた。
「どうかした?」
「ううん。私のライバルになるなって思ってね」
「友美のライバル?」
「うん」
僕は友美の言っていることがわからなかった。友美と武美さんって初対面だよな…そんな風に思っていると、
「学くんは気にしなくていいの」
と言われた。ますますわからなくなってしまった。まあ、気にしなくていいって言われたし、気にしないようにしよう。今は友美と一緒にいれるだけで十分だ。
「今日はどうしようか?」
「僕さ、友美の家に行きたいんだけど…ダメかな?」
「う~ん、ちょっと待ってて」
友美は携帯を取り出し、どこかに電話をし始めた。多分、お母さんとかだろう。
「大丈夫みたい。お母さんも久しぶりに会いたいって」
「ありがとう。お礼言わなきゃ」
「そんなかしこまらなくてもいいのに…」
「小さい時にもたくさんお世話になったからさ」
友美のお母さんは、すごく優しい。僕のわがままを何度聞いてもらったかわからない。友美が引っ越す時もそうだった。だからこそ、ちゃんとお礼をしたいと思っていた。
「遅くなったら迷惑かけちゃうから行こうか」
「うん。多分、お母さんは何時でも学くんならいいって言うと思うけど」
友美はそう言ったものの、僕はできるだけ迷惑をかけたくなかった。僕たちは友美の家に向かって、ゆっくり歩き出した。
歩き始めて約10分。友美の家に到着した。僕はすごく懐かしく感じた。
「どうぞ」
ドアを開けて、友美が言う。
「お母さん、ただいまー。学くんだよー」
「おじゃまします」
中に入ると友美のお母さんがいた。なんと友美のお母さんは料理を用意してくれていた。そして僕を見て、
「学くん、久しぶりだね!」
と言って僕の手を握った。
「久しぶりです。まさか友美が帰ってきてるとは思いませんでした」
「たまたま仕事がこっちになってね。友美ったら、学くんに会いたいってうるさかったのよ」
友美のお母さんは、そう言って笑った。友美は顔を赤くして『もお!』と怒っていた。
「僕も友美と会いたかったので良かったです。それと今さらなんですが…小さい頃からありがとうございます」
僕の言葉を聞いた友美のお母さんは驚いた顔をしていた。
「そんなこと気にしなくていいのよ。こちらこそ友美と仲良くしてくれてありがとう」
そう言われた僕は急に恥ずかしくなった。僕は恥ずかしさで何も言えなかった。
「友美なんて小さい頃、毎日言ってたのよ。学くんのおよ…」
「ダメ!!」
友美は何かを察知したのか、そう叫んで友美のお母さんの口を塞いだ。顔は真っ赤になっている。僕は何が起きたのかわからず、ポカーンとしていた。
「学くん、気にしないで」
明らかにわかる作り笑いで僕を見る友美。その笑みが逆に怖かった。
「まあ、とりあえずゆっくりしてって」
友美のお母さんはニコニコしていた。僕は今の状況がわからなかった。
「まあ…いっか」
僕は、そう呟いて気にしないことにした。せっかく友美の家に来ているのに細かいことを気にしていたら楽しい時間も楽しくなくなる。結局、僕は友美と友美のお母さんの言葉に甘えさせてもらい、一晩泊らせてもらえることになった。
読んでくださってありがとうございます!
友美のお母さんが言いかけた『約束』。その内容は?
第9話もよろしくお願いします!




