第5話 一通のメール
更新遅くなりました…すいません!
第5話目です。
様子が変だった武美は? そんな学に…
「ゴメン。本当にゴメン」
バイトが終わって、いつも通り武美さんと帰っていると何度も『ゴメン』と言われた。僕自身は武美さんが遅れて来たことよりも昨日からの様子について聞きたいのだが…
「気にしなくていいですよ。僕も遅刻して武美さんに迷惑かけてますし」
「でも…」
「ほら、それにチーフも機嫌が良いのか、あまり怒ってなかったですし」
僕は必死だった。必死に話題を変えていこうとした。武美さんと話すのがこんなに緊張するなんて…多分、初めて話した時以来だろう。
「学くんは優しいね」
武美さんが突然そう言った。
「僕…ですか?」
「他に学くんってここにいる?」
「すいません」
僕がそう言うと武美さんは、まっすぐ前を向いて
「私ね…学くんのこと好きだよ」
と言った。僕は何が起きているのかわからず、動揺して何も言えなかった。
「学くんって何事にも一生懸命だし、優しいし…そういうところがすごく好き」
武美さんは僕の動揺なんて気にせず話を進める。
「昨日、お客さんと学くんが話しているところを見て、すごく辛かった。しかも幼なじみかもしれないなんて…」
幼なじみ…それは友美のことだ。昨日のお客さんが友美かはわからないが、友美に似ていたことは確かである。
「ねえ、学くん。私と幼なじみの子、学くんならどっちを選ぶ?」
武美さんにそう聞かれ、僕は困った。幼なじみで約束もしているが、連絡すらつかない友美とバイトで一緒になって仲が良くなった武美さん。正直、どちらかを選ぶなんて出来る訳がなかった。
「僕は…」
「ダメ! 選べないなんて言わないで!」
武美さんは、まるで僕の心がわかっているかのようにはっきりと言った。
「僕は…連絡もつかないし、行方もわからないけど…あの子が好きです。それに…あの子とは約束をしたんです」
「約束?」
「はい。正直、どんな約束をしたかはっきりとは覚えてません。でも、その約束は僕にとってもあの子にとっても…すごく大事な事だったはずなんです」
僕は、そう言って下を向いた。とてもじゃないけど、武美さんの目を見ることができなかった。その後、お互いの家に着くまで一言も話さなかった。
家に帰って来た僕は疲れが溜まっていたので寝ようと思った。学校の宿題があるが、優斗が見せてくれるだろう。しかし、なかなか寝付けない。目を閉じても武美さんの言葉が思い出される。本当に僕の選択は正しかったのだろうか…? そんなことを考えていると寝るどころか逆に目が覚めてしまった。
「はぁ~」
今日だけで一体、何回目のため息だろうか。自分でも嫌になってくる。その時、ふと携帯が目に入った。携帯を見るとメールが3通来ていた。1通目は優斗から。内容は宿題に関すること。明日も見せてくれるらしい。そろそろ自分で勉強しなきゃな…。2通目は武美さん。謝罪のメールだ。別に武美さんは悪いことをしたわけじゃないんだから気にしなくていいのに…。3通目は…あれ? 知らないメールアドレスだ。
「誰だろう?」
そう思いながら本文に目を通す。そこには…
『学くんへ
私が誰だかわかるかな?
<ヒント>
①あなたの友達です。
②あなたとたくさん遊んでいました。
③あなたの幼なじみです。』
僕は本文を読み終え、身体が震えた。間違いない…このメールは友美からだ。僕は『友美ちゃんなのか?』と返信した。すると…
『答えは明日の午後8時頃にわかるよ』
と返ってきた。午後8時…僕はバイトの時間だな。ということは、やっぱりあの友美に似ていたお客さんは…そんなことを考えながら僕は、いつの間にか寝てしまっていた。
ぐっすり眠り、起きると優斗からメールが来ていた。
『学、今日は学校休むのか?』
僕は、このメールの意味が全くわからなかった。僕は休むなんて言ってないのに…僕は近くにあった時計を見る。時計を見た僕は身も心も凍りそうになった。時計は…午後1時を指している。
「うわ! 何でこんな時間!?」
僕は急いで準備をして学校へと向かった。僕が学校に着いた時には、すでに3講時目が始まっていた。講義中の教室に静かに入る。そして近くの空いている席に座った。しまったな~今日の午前中の講義は出席点がある講義だ。勉強やテストが苦手な僕にとって出席点は非常に大事である。それなのに…
「学、どうしたんだよ。何かあったのか?」
今日の講義が終わり、優斗がやってくる。
「いや…ちょっと寝坊してさ」
「今日の遅刻って寝坊どころのレベルじゃないぞ…」
「起きたら1時だった」
今日の遅刻については僕自身が一番驚いている。
「まあ、バイトと友美ちゃんのことを考えすぎて疲れてんだろ。無理せずゆっくり休めよ」
「うん。ありがとう」
「じゃあ帰るか」
僕と優斗は帰る準備をして学校から出た。
午後6時。僕は、いつも通りバイト。武美さんとは最初こそ少し気まずかったが、僕が話しかけると笑って話してくれた。今日のバイトは午後10時まで。そして午後8時、もしかしたら友美に会えるかもしれない。
「学くん、ちゃんと仕事してる?」
「すいません。大丈夫です」
レジから武美さんに喝を入れられる。いつもとは違い、なかなか仕事に集中できなかった。僕は店にある時計を何回も見ていた。早く8時になってほしい。ただそれだけだった。しかし、僕の気持ちとは裏腹に時計の針はゆっくりと時を刻んでいく。そんな中、僕はできるだけ仕事に集中することにした。時間は、すぐに進むわけではないが、仕事をしていればいずれ8時になる。僕は8時になるまでじっと待った。
読んでくださってありがとうございます!
学に届いた一通のメール。はたして友美からなのか? 午後8時を気にして仕事にならない学に武美はどんなことを思うのか?
第6話もよろしくお願いします!




