第20話 真相
第20話目です!
絶体絶命の中、犯人を捕まえた学と友美。
犯人の正体は…? このような事件になってしまった理由とは…?
「どうして…」
僕は言葉を失っていた。そこにいた犯人は、
「学くん、友美…ゴメンね…でも、仕方なかったのよ…」
そう言って涙を流した。僕は未だに信じることができなかった。
「お母さん…」
友美がフラフラ横に揺れながら、こっちにやってくる。今にでも倒れそうだ。
「友美…ゴメンね」
友美は何も言わずに頷いた。僕はそんな光景を見て、これが本当に現実なのか疑った。そして自然と涙が流れ出した。
「どうして…どうしてなんですか!」
僕は思わず怒鳴っていた。いきなり怒鳴ったせいか友美と友美のお母さんは一瞬、身震いをした。それから友美のお母さんは一息ついて話を始めた。
「私はあなた方が許せなかった。友美を散々、傷つけて…記憶まで失って…誰がこんなこと許せると思う? 許せるわけないじゃない!」
そう言った友美のお母さんの表情はさっきまでの穏やかな表情から比べると別人のようだった。
「学くん…あなたもその1人なのよ。あなたと友美の関係を私は何度も見てきた。あなた方なら大丈夫だと思ってたわ。数日前までは。こっちに帰ってきて何日目だったかしら。友美が泣いて帰ってきたのよ。『学くん、付き合ってる人がいるみたい』って」
友美のお母さんは具体的な日にちを言わなかったが、きっと友美が初めて僕のアルバイトをしているコンビニに来た日のことだろう。
「そして…あなたが家に泊まりに来た日。あなたはアルバイト先の女の子とキスをした。それなのに友美とは何事も無かったように接した」
あの日の夜の会話も聞かれてたみたいだ…。僕は全てが事実なだけに何も言い返せなかった。
「それだけでも友美はたくさん傷ついた。なのにあなた方は…だから私がお仕置きをしたのよ…」
友美のお母さんの表情が再び殺意が宿ったような表情になる。
「私は…私は…たとえ友美が好きな人だとしてもあなたを許さない」
友美のお母さんは今にでも僕に襲いかかってきそうだ。
「もうやめて!」
突然の大きな声に僕は少し飛び跳ねた。
「友美…こんな人を許しちゃいけないわよ。あなたの心を弄ぶ人なんて…」
『バチン!』
「!!」
友美は思いっきり、自分のお母さんをビンタした。友美のお母さんも僕も呆気に取られた。
「友美…」
「お母さん、いい加減にして! 私は学くんを恨んだことなんて無いのに…お母さん、勝手すぎるよ! 私はどんなことがあったとしても学くんのことが好きなの! 約束だってしたんだから!」
「……約束…ね」
友美のお母さんは友美から『約束』という言葉を聞いて、そう呟いた。
「でもね、友美。学くんがその『約束』を覚えてるかわからないのよ?」
「……」
僕は何も言えなかった。それは自分が『約束』を覚えてないから…だけではない。友美は、あの事故で記憶を失った。それなのに僕と『約束』したことを覚えている。記憶を失った友美が覚えていて、自分が覚えていない…そんな自分自身が情けなく感じた。
「いいの…学くんが覚えてなくても…私が覚えてるから」
僕は胸が苦しかった。自分ではどうしようもない、今までに経験したことのない苦しさ…
「お母さん…お願いだから、もう罪を重ねないで…」
「……うん」
それから友美のお母さんは到着した警察に逮捕された。友美のお母さんは抵抗も何もせずにただ頷いて警察と一緒にパトカーへと乗った。最後に僕と友美を見た友美のお母さんの表情はすごく悲しそうに見えた。
「それじゃあ、お二人も警察署へ」
友美は入院中だったが、退院が近いこともあって許可が下りた。僕と友美は静かにパトカーへと乗った。
警察署での長い事情聴取が終わったのは朝方だった。僕も友美もほとんど寝ておらず、体力も限界の状態で警察署から出た。
「……」
お互いに疲れもあって何も話さずに歩いていた。ただ僕も友美も行こうとしてる場所は同じだった。
「着いたね」
友美が真っすぐ前を見ながら言う。
「僕と友美の一番の思い出の場所だもんな」
やってきたのは思い出の公園。お互いに考えてることは一緒だった。
「とりあえず…座ろうか」
「うん」
僕と友美は近くにあった赤いベンチに座った。しばらくの沈黙の後、先に話を切り出したのは友美だった。
「学くん…ゴメンね」
「何言ってるんだよ。友美は悪くないだろ」
「私…学くんにたくさん迷惑かけたよ。私のせいで学くんを危険な目に合わせちゃったし…」
「謝るのは友美じゃない。僕だ」
僕がそう言うと友美は空を見上げた。
「友美…?」
「学くん、小学生の時のこと覚えてる?」
「うん…全部は覚えてるわけじゃないけど、覚えてるよ」
僕は正直、小学生の時の事をあまり覚えていない。断片的に記憶が残ってるくらい。
「私ね…今でもハッキリと覚えてるんだ」
「何を?」
「私、小学生の時…死にそうだったんだよ?」
友美はわざと明るくそう言った。笑顔で話しているが、僕には友美の辛さが痛いほど感じとれた。
「友美…無理すんなよ?」
僕がそう言うと友美は我慢が限界に来たのか涙が一気に溢れ出した。そんな友美を見ながら僕は小学生の時のことを思い出していた。
読んでくださってありがとうございます!
犯人は友美のお母さんでした…。友美のことを一番心配したお母さん。
しかし…その心配は事件にまで発展してしまいました…。
我が子を思う故の事件…そんな中、学と友美は思い出の公園へ。
第21話目もよろしくお願いします!




