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約束  作者: ヒロ
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第2話 幼い頃の記憶

第2話目です!

引っ越し当日。学と友美は…?

 「友美ちゃん!」


 友美が過ごす日、僕は全速力で友美の家に向かった。最初は友美が引っ越すことが怖くて、会わないつもりだった。けど…このまま何も言わないで友美が行ってしまうのが嫌だった。僕が着いた頃には、友美は出発する直前だった。


「友美ちゃん!!」


 僕は急いで車に乗りかけていた友美に駆け寄る。


「学くん!」

「良かった…間に合った…」


 僕の息は完全に切れていた。咳き込む僕を見て、友美は僕の背中を優しくさする。


「大丈夫?」

「うん。大丈夫。これくらい何ともないよ」


 友美に会いたいと思った気持ちを考えればこれくらいのこと何ともなかった。


「学くん…ありがとう」


 友美は僕の背中をさすりながら言う。僕は恥ずかしかった。


「私、学くんとたくさん話せて、遊べて…すごく楽しかったよ」

「ぼ…僕も友美ちゃんとたくさん遊べて楽しかったよ!」


 ようやく呼吸が落ち着いてきた僕は深く息を吸いながら友美にそう言う。その後、友美の両親に無理を言って、30分だけ遊ばせてもらえることになった。その30分は今でも驚くほどあっという間に過ぎていった。


「友美ーそろそろ行くわよ」

「はーい。今行くよ」


 そう言って友美は僕を見る。本当に引っ越しちゃうんだと思うと涙が出そうだった。


「学くん、本当にありがとう。また一緒に遊ぼうね」


 友美は満面の笑みで僕に言う。


「うん。絶対にまた会えるよね?」

「じゃあ、約束しようよ。またいつか絶対に会うって」

「うん! 約束だね!」

「あと…私、大きくなったら学くんと…」


 僕の記憶はここで途切れている。この後、友美と別れてどうしたのか。僕は泣いたのか。何も記憶が無かった。まるでここの記憶だけ抜かれたかのように。











 気がつくと僕は自分の部屋で寝ていた。そういえば…優斗と別れた後、家に戻ってきた僕はすぐにベッドに横になってたんだっけ? そのまま眠ってたのか…。どうやら夢を見ていたみたいだ。友美と別れた時の夢…これで何回目だろうか。ゆっくり起き上がり、携帯電話を手に取る。時間は午後8時。メールが5通入っていた。全部、優斗。どのメールも僕のことを心配してくれたメールだった。


『学、今日のお前、何か変だったぞ? 体調でも悪いのか? 友美ちゃんのことが気になるのはわかるが…あまり思い詰めるなよ。今日は、ゆっくり休め。宿題は明日見せてやるから。じゃあ、また明日な』


 優斗は一番、僕のことをわかってくれている。僕がわがまま言っても、愚痴を言っても…何でも話を聞いてくれる。すごく優しい人だ。僕はメールを返して、再び目を瞑った。その時だった。


『ピーンポーン』


 インターホンが鳴った。こんな時間に誰だろう? 僕は、ゆっくり玄関へと向かう。


「はい?」

「何を呑気に過ごしてる!!」


 相手の叫び声で僕は完全に目が覚めた。


「うわ! 池田さん!? 何で家に!?」


 家にやってきたのはバイト先の先輩の池田裕也いけだゆうやさん。


「何で家にだと!? お前、今何時だと思ってるんだ!」


 そう池田さんに言われて、時計を見る。


「午後8時ですけど…あっ」


 言いながら気がついた。そういえば…今日のバイトって…


「やっと気がついたか。ほら、早く行くぞ」

「は…はい!」


 僕は、すぐに準備をして家を出る。今日のバイトは午後7時から。もう1時間も遅刻だ。バイト先に着いた時には午後8時30分。恐る恐る店に入る。


「すいません…遅れました…」


 入ると僕と同じ大学生の佐藤武美さとうたけみさんが僕に寄ってくる。


「こんばんは。学くん。あっちでチーフが待ってるわよ」

「…わかった。怒られてくるよ…」

「来て早々そんなにテンション落とさないでよ…」


 僕は奥の部屋に入る。


「おう。高橋」


 チーフが手招きをする。僕はゆっくり用意されていたイスに座る。


「遅れてしまってすいません」

「何で遅れた?」

「ちょっと…考え事をしてたら、寝坊してしまって…」


 僕は、これからどんなことを言われるのかビクビクだった。しかしチーフから返ってきた言葉は意外だった。


「そうか。まあ、これから気をつけてくれ。お前がいないと佐藤が大変なんだ。佐藤に謝っておけよ」

「は…はい」


 何かチーフって怖いイメージだったから安心した。


「じゃあ、今日も頼むぞ」


 そう言ってチーフが席を立つ。


「あ、そうそう。今度、遅刻したら許さんからな」

「はい…」


 前言撤回。やっぱりチーフは怖い。まあ、何度も遅刻したら怒られるのも当たり前だよな…気をつけよう。


「おかえり。どうだった?」


 持ち場に戻ると武美さんが心配そうに僕を見る。そんなに心配されてたのか…


「特に怒られなかったよ。『今度、遅刻したら許さん』って忠告はされたけど…」

「学くんも遅刻することあるんだね。何かあったの?」

「ちょっとね」


 そう言いながら、また友美のことを考える。今、どこにいるかだけでも知りたい。僕は友美のことを考えながらバイトをこなしていった。午後11時、仕事を終えた僕は帰る準備に入る。


「お疲れ様」


 少し遅れて武美さんがやって来た。


「今日も疲れたな…バイト、遅刻しちゃってゴメンね」

「ううん。気にしなくていいよ。でも、学くんが遅刻するとは思ってなかったな」

「バイトのことすっかり忘れてた…」


 今日は本当にバイトなんて頭の隅にさえ無かった。それくらい僕は友美のことを考えていた。

読んでくださってありがとうございます!


友美のことが頭から離れない学。それにしても…他の人に心配されるほど考えてるって…学にとって友美には相当な思い入れがあるんでしょうね。

第3話も頑張ります!

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